
不動産管理会社で従事するためには、不動産関連の知識が必要になりますが、実は特定の資格は必要ありません。
しかし不動産管理に関わる資格を取得し、業務の幅を広げることで、競合他社との差別化になり、収入アップや転職に有利になるのはもちろん、独立開業の足がかりにもなるでしょう。
不動産管理に役立つ資格を取得し、有利な条件での就職・転職を成功させ、将来の独立開業につなげましょう。
この記事では、不動産管理の業務内容と、取得しておきたい資格10選について解説します。
資格取得のメリットや開業する際の手順も紹介しますので、不動産管理に興味がある方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
不動産管理の業務内容
一見同じように見える不動産会社にも、分譲住宅の販売を専門とする会社もあれば、不動産仲介業や賃貸管理業を営む会社もあり、その事業内容はさまざまです。
この章では、まず不動産管理の業務について解説していきます。
不動産管理業とは?
不動産管理業とは、建物を所有するオーナーに代わって、アパートやマンション、ビルなどの管理を業として請け負うことをいいます。
実は、賃貸物件を管理するだけであれば、特別な資格は必要ありません。中には、オーナー自らが管理しているケースもあります。
ただし管理すべき戸数が多かったり、オーナーに別の本業があったりする場合は、管理会社(不動産会社)へ業務を依頼するのが一般的です。
不動産管理業の主な業務
不動産管理業を営む場合、賃貸仲介業も行うケースが多く、その場合は業務の範囲は多岐にわたります。ここでは、主な業務を具体的に紹介します。
- 管理物件の広告宣伝活動および空室対策
- お問い合わせ対応・内見対応
- 賃貸借契約(更新契約を含む)業務
- 家賃の入金管理・回収(滞納者への督促)
- 入居者対応(設備の故障やクレームへの対応など)
- オーナーへの報告業務
- 建物の定期点検・設備の保守点検
- 原状回復工事の発注・敷金の精算
- 共用部分の清掃・点検
- 長期修繕計画の作成・オーナーへの提案
- 建て替えの提案
不動産管理で重要とされる資格3選
先述のとおり、不動産管理業を営む際に必要な資格はありません。しかし不動産や建物の維持管理に関する知識は必要になるでしょう。
もし管理会社へ就職・転職や不動産管理業での独立を検討しているのであれば、関連する資格取得を目指しましょう。
この章では、不動産管理業を営む上で、取得しておきたい重要な資格を3つ紹介します。
宅地建物取引士(国家資格)
不動産管理業に役立つ資格の中でもっとも重要で、かつ知名度が高い資格といえば、宅地建物取引士(以下「宅建士」)が挙げられます。
宅建士とは、不動産取引や実務における専門知識を持ち、不動産取引が公正であるかチェックする国家資格者のことをいいます。
不動産売買契約や賃貸借契約における重要事項説明と記名、37条書面(契約書)への記名は宅建士の独占業務です。もし不動産管理業と一緒に仲介業を行うのであれば、宅建士は欠かせません。
【宅建士の独占業務】
- 重要事項説明
- 重要事項説明書への記名
- 37条書面(契約書)への記名
また宅地建物取引業を営む場合、従業員5人に対し1人以上の宅建士を配置する必要があるため、宅建士の需要は高く、保有する従業員へ資格手当を支給している会社もあります。
宅建士は不動産会社や管理会社はもちろんですが、金融や保険、建設業界などでも重宝され、保有していれば出世や転職の場面でも有利に働くでしょう。
参考:【公益社団法人 全日本不動産協会 東京都本部】3. 宅地建物取引士とは
賃貸不動産経営管理士(国家資格)
不動産管理業に関連する資格に、賃貸不動産経営管理士(以下「賃管士」)があります。
創設時(2007年)は民間資格でしたが、2011年に公的資格という位置づけになり、2021年には国家資格になりました。
200戸以上を管理する不動産管理業者は、賃貸住宅管理業の登録をする必要があり、業務管理者(要件を満たす賃貸不動産経営管理士など)の1名以上の設置が義務づけられています。
不動産管理業で独立開業する際には必要ないとしても、将来的には必要な資格になるでしょう。
国家資格になってから試験問題は難化傾向にあり、令和7年度の合格率は29.5%でした。試験範囲の7割程度が宅建と重複するため、ダブル合格を目指す人もいます。
不動産管理会社への転職や独立開業を目指すのであれば、もっとも取得しておきたい資格といえるでしょう。
出典:【一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会】令和7年度 賃貸不動産経営管理士試験の概要
マンション管理士(国家資格)
マンション管理士とは、マンションの維持管理に関する専門家であり、管理組合などマンションの住民の立場に立ってコンサルティングを行います。
具体的には分譲マンションの大規模修繕の計画や、管理規約の見直し、管理組合の運営についてアドバイスするのが主な業務です。
マンション管理士は国家資格であり、有資格者以外はマンション管理士を名乗ることはできません。
「〇に対して〇人以上」などと配置が義務づけられている資格ではありませんが、不動産関連の資格の中でも比較的難易度が高く、取得することで一目置かれるでしょう。
ちなみに、令和7年度の合格ライン(合格最低点)は42/50点で、合格率は11.0%でした。
出典:【公益財団法人マンション管理センター】令和7年度マンション管理士試験の結果について
不動産管理に役立つ資格7選
宅建士や賃管士はすでに取得している、もしくはさらに業務の幅を広げたいと考えている方のために、この章では不動産管理に役立つ資格7選を紹介します。
管理業務主任者(国家資格)
マンションの管理会社は、30の管理組合に対して1人以上の管理業務主任者の配置を義務づけられています。
管理組合と管理委託契約を結ぶ際は、重要事項について説明し、重要事項説明書や管理委託契約書へ記名をすることになっていますが、これらは管理業務主任者の独占業務です。
管理組合の運営サポートや会計・収支の報告、建物のメンテナンスや大規模修繕工事の計画も大切な業務です。
分譲マンションの管理会社では必須の資格のため、不動産管理に関連する資格の中でも人気の高い資格といえるでしょう。
ちなみに令和7年度の合格ライン(合格最低点)は36/50点で、合格率は19.6%でした。
出典:【一般社団法人マンション管理業協会】令和7年度管理業務主任者試験結果報告
不動産鑑定士(国家資格)
不動産鑑定士は弁護士や公認会計士と併せて「三大国家資格」と称されるほど、難易度が高く、高度な専門的知識を必要とします。
国や企業、個人から依頼された土地の評価や、不動産資産の有効活用の提案などが主な仕事です。
不動産鑑定士は、不動産会社のみならず、金融機関や大手企業からも重宝される資格です。確実にキャリアアップにつながり、独立開業後には安定した収入を見込めるでしょう。
ちなみに令和7年度の合格者は173名で、合格率は17.6%でした。
出典:【国土交通省】 令和7年不動産鑑定士試験の合格者が決定しました
公認不動産コンサルティングマスター
公認不動産コンサルティングマスターとは、いわば宅建士や不動産鑑定士の上位資格で、受験できるのは宅建士・不動産鑑定士・一級建築士のいずれかの資格登録者です。
宅建試験の出題範囲にはない、経済や金融、建築などの知識も問われることから、総合的な知識の積み重ねが必要になります。
知名度はそれほど高くありませんが、不動産のプロと呼ぶのにふさわしい資格といえるでしょう。
令和7年度の合格率は45.4%で、合格者は508名でした。
出典:【公益財団法人不動産流通推進センター】公認 不動産コンサルティングマスター
【公益財団法人不動産流通推進センター】 令和7年度 不動産コンサルティング技能試験
ファイナンシャル・プランナー(国家資格)
ファイナンシャル・プランナーとはいわば「お金の専門家」で、不動産や住宅ローン、資産運用、教育資金などに関するアドバイスを行います。
体的には不動産資産の運用や購入、老後の生活設計などの場面で、相談されるケースが多いでしょう。
1級から3級までありますが、業務に役立てるのであれば、2級以上の取得が望ましいでしょう。
参考:【日本FP協会】ファイナンシャル・プランナー(FP)とは
土地家屋調査士(国家資格)
土地家屋調査士とは、土地建物の測量を行い、法務局へ登記申請手続きをするのが主な業務です。
具体的には、土地の境界(隣の土地との境目)がどこか分からないときに、測量して正しい境界を特定(筆界特定)したり、建物を新築した際に最初の基本情報を登録する「表題登記」を行ったりします。
土地の売買や建物建築時には欠かせない資格で、土地家屋調査士の独占業務です。
ちなみに令和7年度の合格者は489人で、合格率は10.14%でした。
出典:【法務省】令和7年度土地家屋調査士試験筆記試験の合格点等について
JSHI公認ホームインスペクター(住宅診断士)
ホームインスペクターとは、住宅の欠陥や劣化状況を目視で確認し、改修すべき箇所を見極めて、メンテナンス方法などをアドバイスする専門家です。
建物を所有するオーナーに対してメンテナンスの時期や費用目安を提案できれば、アパートやマンションの価値を維持しやすくなり、単なる不動産管理会社との差別化になるでしょう。
ホームインスペクターと名乗るためには、公認ホームインスペクター資格試験に合格し、認定会員として登録する必要があります。
全国にあるテストセンターにて、CBT方式で受験でき、合格率はおおむね30~40%を推移しています。
司法書士(国家資格)
司法書士とは、不動産の所有権移転登記や相続登記などを担う、登記業務のスペシャリストです。
例えば売買仲介まで事業を広げた際は、登記申請の代行まで行うことができるため、業務の幅も広がり、顧客開拓にもつながるでしょう。
ちなみに令和7年度の最終合格者は751人で、合格率は5.2%です。数多くある資格の中でも、合格への道のりは狭き門であることが分かります。
資格を取得するメリット

不動産関連の資格を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、代表的なメリットを4つ紹介します。
顧客からの信頼獲得
大切な資産の管理を任せてもらうような場面では、顧客から信頼を得ることが大切ですが、信頼関係はそう簡単に築けるものではありません。
しかし有資格者だったらどうでしょうか。同じ説明であったとしても、提案には説得力が増し、信頼関係を築きやすくなるでしょう。
他社との差別化
他社との差別化をはかるために、従業員の中に有資格者がいることをアピールするのも一つの方法です。
例えば不動産管理業には特別な資格は必要ありませんが、宅地建物取引士がいれば、不動産売買や賃貸の相談もでき、ファイナンシャル・プランナーがいれば、資産運用についても提案できます。
もし複数の資格を保持していれば、会社からも重宝され、開業時にも業務の幅が広がるでしょう。
収入アップ
企業によっては特定の資格を保有している従業員に対し、基本給とは別に資格手当や一時金(合格した際に一度支給される)を支給していることがあります。
また資格を持っていることが評価され、昇給や昇進につながることもあるでしょう。
独立開業への足がかり
宅地建物取引士を取得すれば、不動産管理業はもちろん、不動産仲介業での独立の足がかりになります。
また不動産鑑定士やマンション管理士などは特に難易度は高いですが、資格保持者が比較的少ないこともあって競合が少なく、独立したい方におすすめの資格といえるでしょう。
もちろん資格を取得したからといって、事業に成功するとは限りません。得意分野なども考慮し、自分が何を目指すのか考えて、資格を選択することをおすすめします。
不動産管理業で独立・開業する手順

不動産管理業で独立を検討している方のために、開業するまでの手順を、5つのステップで紹介します。
参考:【公益社団法人全日本不動産協会】不動産業で独立する方法を8ステップで解説|年収の目安や失敗の原因も紹介
開業資金を準備する
開業資金がどのくらい必要になるのか、まずは試算してみましょう。独立開業を果たした人の多くは、500万円未満で開業していますが、少なくとも200万円程度はかかります。
自己資金で足りないときは、日本政策金融公庫の創業融資や金融機関の融資の利用を検討しましょう。
事務所を探す
開業資金の目途がついたら、事務所を探しましょう。
ただし宅地建物取引業免許を取得する場合は、事務所のレイアウトなども審査の対象になります。
事務所専用の出入り口が必要で、ほかの会社や居住空間と独立していることなどが条件になります。
事務所を借りる前に、条件を満たしているのか確認するようにしてください。
法人設立
個人事業主でも独立開業はできますが、社会的信用や節税効果を考えて、多くの方は法人化を選んでいます。
法人格で開業する場合は、法務局で設立登記を行った後、管轄する税務署へ届出をすることになります。
なお株式会社を設立する場合、手数料や登録免許税などで24万円ほどかかります。
ちなみに個人事業主の場合は税務署へ「開業届」を提出すればよく、手続きに費用はかかりません。
賃貸住宅管理業の登録・業務管理者の設置(200戸以上管理する場合)
賃貸住宅の管理戸数が200戸以上になる場合は、業務管理者の配置と、賃貸住宅管理業の登録が必要です。
200戸以上の管理物件があるのにもかかわらず、登録せずに不動産管理業を営んでしまうと、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科せられることになります。
管理物件の戸数は、常に把握しておくようにしてください。
開業(開店)
いよいよ開業です。お客様が来店された際の対応をシミュレーションし、笑顔で迎えられるよう準備しておくと安心です。
不動産管理業で独立・開業を目指すならフランチャイズがおすすめな理由
不動産管理業で独立開業する場合、フランチャイズへ加盟する方法があります。個人で開業する場合と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。
最後に、不動産管理業での独立開業に、フランチャイズへの加盟がおすすめである理由を紹介します。
本部による開業サポートがあるから
不動産管理業で独立開業する場合、特別な資格は必要ありません。しかし将来的には賃貸住宅管理業の登録が必要になるとき(200戸以上管理する場合)が来るでしょう。
もし開業や事業を広げるために必要な手続きを怠れば、ペナルティを科されるおそれがあります。また店舗を構えるエリアの選定を間違えれば、経営を軌道に乗せられず、お店をたたむことになるかもしれません。
その点FC本部の開業サポートがあれば、堅実でかつスムーズに開業準備を進められ、安心して事業を拡大できるでしょう。
不動産売買・仲介のフランチャイズを展開するハウスドゥでは、異業種からの参入率が全体の約69%(※1)と比較的高く、全国FC大会の上位入賞者における異業種企業の割合は約56%(※2)となっています。
業界未経験からでも、独立開業できる環境が整っていることをお分かりいただけるでしょう。
業界経験者はもちろん、未経験からの独立開業をサポートしますので、ご興味がございましたらぜひ資料請求からお問い合わせください。
※1:2026年2月末現在 ※2:2025年11月末現在
FCのブランド力で集客しやすいから
集客率を上げる方法として、フランチャイズのブランド力を借りる方法があります。知名度のあるFCの商標を利用することで、他社との差別化になり、オーナーからも信頼を得やすくなるでしょう。
ただし、ブランド力だけで自動的に集客できるわけではありません。
本部のブランド力を看板として活かしつつ、地域に根ざした地道な営業活動を積み重ねていくことこそが、独立を成功させる本当の鍵となります。
マニュアルやノウハウを提供してもらえるから
フランチャイズへ加盟すれば、経営ノウハウや営業マニュアルを提供してもらえるため、トライアンドエラーを繰り返す必要がありません。
ただしフランチャイズ本部のすべてが、加盟店を手厚くサポートしているとは限りません。セミナーや研修制度など、サポート体制が充実しているかを確認しておくとよいでしょう。
ハウスドゥでは、資料請求していただいた皆さまに、ハウスドゥオリジナル「不動産マニュアル」と特典資料をプレゼントしています。
また無料で「お役立ち資料」をダウンロードできますので、不動産管理業に興味がある方は、ぜひご視聴ください。
まとめ
特定の資格がなくても不動産管理業を営むことは可能ですが、資格を持っていることで顧客から信頼を得やすくなります。
独立開業を検討している方はもちろんのこと、不動産業界で就職や転職を考えているのであれば、業務の幅や可能性を広げるためにも本記事で紹介してきた資格取得をおすすめします。
もし不動産管理業で開業を目指しているのであれば、開業サポートや経営支援に定評のあるハウスドゥへの加盟をぜひご検討ください。