株式譲渡とは?メリットとデメリットなど手続き方法や税務上の注意点を解説

事業を拡大する方法の一つとして、株式譲渡によるM&Aがあります。株式譲渡は、会社の事業を丸ごと継承できる最もシンプルな方法です。株式譲渡の方法やメリット、デメリットを解説したうえで、実施する場合の流れや注意点をご案内します。なお、こちらで紹介する税制面での情報については、法改正により数値が変わる可能性がございます。株式譲渡を具体的に考える段階になりましたら、税理士等に詳細ご相談ください。

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株式譲渡とは

株式譲渡とは、株式を第三者に譲渡することです。株式譲渡の目的は、包括的な会社の売買です。買い手は、株主総会の議決権の絶対多数を取得することで経営権を握ります。よって会社の一事業だけを買収するときではなく、会社のなにもかも、全てを引き継ぐときの手法として有効です。株式譲渡により、資産、人材、権利、契約、取引関係など全てを継承することになります。

株式譲渡には、以下の3つの種類があります。

公開買付

株式公開買付(TOB)は、買い手側が売り手側の株式を市場外で大量に買い、経営権を取得する株式譲渡法です。買い手側と売り手側の合意のもとで行われる公開買付を友好的TOB、非合意で行われるものを敵対的TOBといいます。

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市場買付

売り手と買い手が上場企業の場合、公開取引市場内で株の売買ができます。ただ、株式の動きが周囲に丸わかりとなってしまうため、株価に影響を与えてしまうというデメリットがあります。

相対取引

相対取引は、市場を通さず株主から直接株を譲渡してもらう方法です。情報の拡散を、最小限に抑えられます。株主が分散しているような場合は個別交渉しなければならず、成立までに時間がかかってしまうかもしれません。一方で、経営者が大多数の株を有しているような中小企業の場合は、話がスムーズに進むでしょう。

株式譲渡のメリット

株式譲渡のメリットは、以下の5つです。

事業譲渡よりも手続きがシンプル

株式ではなく事業そのものを売買する事業譲渡の場合は、引き継ぐものを細かく特定する必要があります。また、従業員や取引先、金融機関などと新しく契約を結び直さなければなりません。元の会社が持っていた許認可があれば、新たに認可を取り直す必要があります。

しかし、株式譲渡では、株式の譲渡に関する契約を結ぶだけです。譲渡される資産や債務を特定したり、様々な関係者と契約書を交わし直したりする必要はありません。

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ブランドや人材をそのまま引き継げる

売り手企業がそれまで培ってきたブランドや人材、取引先との関係、サプライチェーンなどを手続きなしで丸ごと譲渡してもらうことができます。事業譲渡の場合は一から契約をし直すため、主要取引先だったところからNOが出たり、金融機関と新たな契約を結びづらかったりする可能性があります。

繰越欠損金を引き継げる

株式譲渡は会社の一切を引き継ぐため、繰越欠損金があれば、それも引き継ぐことになります。買収後、黒字が発生しても、繰越欠損金が利益を上回らない限り、税金は発生しません。しかし、事業譲渡の場合は繰越欠損金を引き継げないので、この面での節税効果はありません。

買収時の取得税がかからない

事業譲渡の場合は、資産や設備を買い取ることで取得税が発生します。しかし、株式譲渡は株の保有者を書き換えるだけなので、取得税は発生しません。

売り手側の税負担が軽減されるため話を進めやすい

売り手側が個人保有の株式を譲渡する際は、法人保有の株式譲渡と比べて、譲渡して得られた現金への課税率が低くなります。また、事業譲渡よりも株式譲渡のほうが、一般的には節税になります。このため、株式譲渡のほうが、売り手と話を進めやすいといえるでしょう。

株式譲渡のデメリット

株式譲渡のデメリットは、以下の3点です。

資産だけではなく債務も引き継ぐ

事業譲渡の場合は、不採算事業や債務だけを売り手側に残して、採算性のとれる事業だけを引き継ぐことが可能です。しかし、株式譲渡の場合は、債務もそのまま引き継ぎます。

簿外債務があった場合も引き継がなければならない

事業譲渡では、契約条項に記載されていないものについては引き継ぐ必要がないため、M&A後に簿外債務が見つかった場合、支払いの義務はありません。しかし、株式譲渡の場合は、会社の一切を引き継ぐため、簿外債務があった場合でも支払いをしなければなりません。

資金調達が課題になる場合がある

株式譲渡の対価は、多くの場合、現金です。手持ちの現金や資産活用では間に合わない場合、金融機関から融資を受けなければなりません。どの機関から、どれほどの調達が可能かを確認しておかないと、交渉が進んでも先立つものがないということになります。売り手側に分割での支払いを交渉するという手もあります。

株式譲渡の注意点と手続き方法

株式譲渡の注意点と、手続き方法について解説します。

株式譲渡の注意点

株式譲渡で特に注意が必要なのが、税制面です。メリットやデメリットで挙げた点にも注意が必要ですが、他にも例えば税務上の「のれん」の扱いについても、株式譲渡と事業譲渡では違います。

税務上の「のれん」とは、買収した子会社株式の時価純資産額を上回って買い取った部分の金額です。ブランドイメージや特殊技術、良好な取引関係といった売り手会社の付加価値を評価して上乗せした部分といっていいでしょう。この「のれん」に相当する金額は、事業譲渡の場合、一定の条件を満たせば均等償却の対象となりますが、株式譲渡であればその対象になりません。

M&Aは税制において、他にもさまざまな規定があり、専門家でなければ全体像をつかむのは難しいでしょう。M&Aの仲介会社や税理士等に相談し、事業譲渡、会社分割など他の買収方法と比べ、どの程度の節税メリットがあるのかを全体的に把握しておく必要があります。

株式譲渡の手続き方法

売り手側、買い手側がお互いに買収、売却の意志を表明し、最終的な合意契約書が取り交わされたことを前提に、株式譲渡の手続きの流れをご案内します。

・株式の譲渡制限を確認する
株式の売買に制限事項があるか否かを確認します。株式譲渡制限があり、株主総会の承認を受けなければならない場合は、それに従います。

・株式譲渡承認請求を行う
会社側に、株式を譲渡するための承認請求を行います。会社側はそれを受け、取締役会や株主総会を開催し、協議を行います。

・株式譲渡契約を取り結ぶ
取締役会や株主総会の承認を得、株式譲渡への障壁がなくなったら、正式に株式譲渡契約を取り交わします。

・株主の名義を書き換える
株式の譲渡が済んだら、会社側に株主名簿の改変を求め、名義を書き換えます。

株式譲渡は事業譲渡と引き比べ、メリット・デメリット・節税面をトータルで考えて

以上のように、株式譲渡は株の名義を書き換えるだけのシンプルな手続きで、会社を売買することができるものです。しかし、手続きはシンプルでも、メリットやデメリット、税制面で気をつけなければならないことがあります。それら一つひとつを引き比べ、疑問が生じたらそのつどアドバイザーとなってくれるM&Aの仲介会社や、税理士等に相談しましょう。

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