会社設立時の決算月の決め方とポイントなど実施内容や変更方法も解説

日本企業の大半は決算月を3月としていますが、別段3月にすべきという規程はありません。決算月を決める際には、企業の業種や繁忙期、節税対策、財政状態などを考慮した上で考える必要があります。そこで今回は、日本の各企業の決算事情や決算月を決めるポイントなどをまとめました。既に定めてある場合は変更の手順もご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

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決算月とは?

決算月とは、一事業年度の区切りの最終月のことを指します。「5月1日から翌年4月30日」を一事業年度とした場合、4月が決算月となります。日本には3月決算の企業が数多く存在しますが、「3月でなければいけない」という訳ではありません。
また、一事業年度の期間は1年以内と決まっていますが、それ以外の制限は特にありません。1年に2回決算を行う企業も存在します。(全体の約0.7%程度)

令和2年度に公表された国税庁の統計によると、 276万社が法人税の届けを提出しています。そのうち、決算月を3月とする企業が約50万社(全体の約18.3%)、9月とする企業が約30万社(全体の約10.9%)でした。

資本金が大きくなればなるほど、3月を決算月にしている会社がほとんどです。1億円未満の企業に絞った場合の3月決算の割合は約17.9%、1億円以上の企業に絞った場合だと52.2%という結果になりました。

海外に事業を展開する企業は12月決算のメリットが大きいため、12月に変更する企業も増えてきているようです。海外の暦の1月〜12月にあわせて、海外の子会社を統一する狙いです。

引用元 :国税庁統計年報【令和2年】「決算期別の普通法人数」

決算月の決め方のポイント

「何月を決算月に決定するのか。」これは、会社の経営や実務に大きな影響を与えるため、会社にとって非常に大切なポイントです。企業の事業内容や形態・経営状況に応じて懸念点やメリットが異なるため、優先すべき点をおさえていきましょう。

①自社の繁忙期を避けて設定する

繁忙期は、利益や売上の見通しがはっきりしません。決算月の2ヶ月後には、法人税や消費税の申告や納税をする必要があります。繁忙期と決算期が重なってしまうと、

  • 予想よりも売り上げが伸びず、赤字となってしまった
  • 予想をこえる売り上げとなり、節税対策をする時間が足りない

といったリスクもあります。
繁忙期と申告期限の日程が同時期に重なる場合に最も注意したいのは、申告の期限に遅れることです。1日でも申告期限を過ぎてしまうと延滞税が課せられる可能性があります。手が回らないことのないよう、マンパワーを考慮しましょう。
また、売り上げの変動が大きく見通しが立ちづらい業種や、繁忙期と決算作業のリソースが不安な企業は、繁忙期を避けることをおすすめします。

②税理士の繁忙期を避ける

各事務所の専門性にもよりますが、一般的に会計士や税理士は11月〜5月が繁忙期です。個人の確定申告や他の企業の決算・法的調書作成や年末調整などの対応が多くなります。
税理士業界の閑散期である6月〜10月頃に設定すると、より丁寧かつ正確な対応が期待できます。

③資金繰りから逆算し資金に余裕のある月にする

現金残に余裕のある時期にすることで、法人税の納付に備えることができます。決算の2ヶ月後には、法人税・法人住民税・事業税などを納付する必要があり、大きな支出が発生します。資金不足の場合は銀行借入によるコストがかさみますし、資金調達に失敗した場合は延滞税による利息も発生します。こういった事態を防ぐためにも、資金にゆとりのある月に決算期を設定し、余裕を持って納税をすると良いでしょう。

④消費税免税となる期間を考慮する

会社設立時の資本金が1,000万円未満の企業の場合、開業から2年度目までの消費税の納税が免除になります。しかし、ここで気を付けたいのが開業後2年間ではなく、開業から2年度目までの消費税が免税期間であるということ。開業日と決算日が近い場合は、免税のメリットを最大限に受けることができません。

<例>
1999年6月に開業、9月を決算月の場合:1999年9月迄が1年度目・2000年9月迄が2年度目となり、15ヶ月間の納税免除
1999年4月に開業、3月を決算月の場合:2000年3月迄が1年度目・2021年3月迄が2年度目となり、24ヶ月間の納税免除

したがって、1,000万円未満の企業の場合は消費税免除期間を考慮することをおすすめします。なお、設立時の資本金が1,000万円以上の企業の場合も、設立日以降6ヶ月間の課税売上高が1,000万円以下となる見込みの場合は、税金の支払いは免除されます。
簡単にご説明しましたが、これらは少し複雑な制度です。会社によっては、免税の制度を使わないことでメリットが最大化されるケースもあります。消費税免除を優先する場合は、税理士や会計事務所によるアドバイスをうけると良いでしょう。

決算月に実施すること

決算月には、一事業年度の会社の業績を確定するために必要な作業が存在します。この作業を決算処理といいます。業務内容は次の5つです。

①利益額算定と節税の検討及び実施

利益額や来期見込みを明確にしておくことで、今後の経営方針や資金の割当てがしやすくなります。また、余計な税支出を抑えるためにも、小額資産(30万円以内の減価償却資産)の購入や賞与の支給の検討もできます。期日までに会計事務所などへ相談するなどして、事前に確認をしておきましょう。

②仮払金・仮受金の整理や売掛金の再請求

科目に振り分けていない仮勘定が多くなってしまっている場合、まとめて処理を行う必要があるため、仮払い・立替で未精算・未回収になっているものや税金の納め忘れなどを確認します。
仮払金や借受金が財務諸表に載っていると銀行に指摘を受ける可能性もあるため、できるだけ余裕を持った勘定科目引き当てと正確な収支の算出を行いましょう。

③不要資産の処理や売却

不要な固定資産の有無を確認します。固定資産を処分して特別損失に計上できると、節税対策になります。不要な資産は、事前に処理しておくと良いです。

④現金残高の確認

決算日における勘定科目の金額を確定し、現金残高と現金出納帳の残高が合っているかを確認する作業を行います。税務調査時には現金チェックをされるので、不明瞭な現金過不足には注意が必要です。雑損失や雑収入で処理を行う・小額でない場合は税理士に相談するなどして対応をしていきましょう。

⑤棚卸作業

決算日には、商品や製品・材料・仕掛品の在庫確認を実地で行います。期末における正確な在庫量を調べて在庫金額を把握すると同時に、損益を確定させるためです。
さらに棚卸し作業は損益確定のみならず、過不足ない追加発注や不要分の処分が行うことができます。計上漏れがないよう、現物をしっかり確認した上で一覧表を作成しましょう。

決算月の変更方法

決算月は、必要な手続きを行うことで変更することも可能です。会社設立後に事業運営を進めていく上で、当初思い描いた通りに経営が進まない懸念もあるでしょう。その場合は決算月の見直しも視野にいれましょう。

①株式会社の場合は株主総会で決議をとる

決算月を変更する場合は、株主総会の特別決議をとって「事業年度の変更」を行う必要があります。
事業年度は定款に記載があるため、定款変更にあたり株主の決議が必要となるためです。

株式総数の過半数が出席する株主総会を開催し、議決権の3分の2以上の賛成をもって事業年度の変更が成立します。(有限会社の場合には議決権の4分の3の賛成)

また、小規模な同族会社の場合は株主総会を開催せずに書類作成のみを行うケースもあります。その場合は株主総会議事録を作成することで届出の準備は完了します。
※事業年度を変更するにあたって役員の任期も変わってくる場合は、定款の役員の定めを確認する必要があります。

②異動届出書と議事録を税務署へ提出

事業年度は登記に記載する事項ではないので、法務局へ届け出る必要はありません。決算期変更の際は、所轄税務署・都道府県税事務所・市区町村の役所等へ「異動届出書」を提出することで変更が完了します。
異動届出書(ダウンロードはこちらから)

事業年度を変更する際に税務署等に提出する書類は、以下の通りです。

  • 異動届出書
  • 株主総会の議事録
  • 変更後の定款のコピー

③主要取引先や金融機関へ事業年度変更の連絡

主要な取引先や銀行等の金融機関に、事業年度変更の連絡を行いましょう。また、許認可事業などを行っている事業の場合は、管轄する省庁等へ届け出る必要があります。
その他の細かい作業や作業に関するメリット・デメリットに関しては、顧問税理士に相談すると良いでしょう。会社の実情や受けたいメリットを十分に考慮した上で、決算月の変更を行ってください。

まとめ

会社の決算月をいつにするかは、企業の資金繰りや意思決定・節税対策などに大きく関わってくる重要な課題です。これらを考慮せずに決めてしまうと、損失の発生や業務環境の悪化に繋がり、資金繰りが立ち行かなくなることも考えられます。
決算期を決める・変更する際には、慎重に検討を行い、必要に応じて会計士や税理士に相談をすると良いでしょう。

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