商工会議所とは?商工会との違いは?目的や役割・加入するメリデメを解説

「独立して起業したい」、「新しくお店を始めたい」と検討しているとき、商工会議所へ加入する必要があるのかと考えたことはないでしょうか。
そもそも何をしている団体なのか、商工会との違いは何かなど、疑問に思う方もいらっしゃると思います。また実際加入してからのメリットとデメリットについても解説していきます。
そして加入する為の方法や、注意点についてもご案内します。

商工会議所とは?

商工会議所とは、「会員制の組織」であり、「非営利の経済団体」です。商工会議所法に基づき設立された特別認可法人で「中小企業の活力強化」と「地域経済の活性化」の実現を目的に組織されています。主な活動として、地域振興や、地方創生などがあります。また、個人事業者や中小企業に対し、経営相談や、補助金などの案内、IT化支援、グローバル化する社会に対応した、中小企業国際化支援なども行っています。各都市や地元企業の発展のための、フォロー的役割を担っているといってよいでしょう。

一方、良く似た組織に商工会というものがあります。
商工会は商工会法に基づいて設立された公的な組織のことです。商工会議所と同じく、営利を目的とせず、地域・地元企業の発展のための役割を担っています。2つの組織の大きな違いとして、商工会議所は原則として市の区域に設立された公的団体であるのに対し、商工会は主に町村部に設立された公的団体です。簡単に違いを表すとすれば、商工会議所の方が、商工会より規模が大きく、その理由の一つとして国際的な活動など幅広い事業を展開している点が挙げられます。

商工会議所の事業内容

商工会議所が行う事業は、大きく分けて以下の9つです。
次に挙げる事業を行い、地域活性や、中小企業への支援を行っています。

政策提言活動

政策提言活動で、商工会議所が担うのは以下の2つです。

①会頭コメント
会頭コメントとは、商工会議所の会長が発する意見の事です。自国だけではなく、他国が発表した政策などにおいても意見を述べています。コメントは経済問題はもとより政治、国際、社会問題にまで至ります。例としてバイデン氏が米国大統領に就任した際も会頭コメントを発表しています。

②意見・要望
地域が抱える問題を解消するために、民間機関と力を合わせ意見や要望を伝える活動を指します。対象としては景気対策、経済運営、経済構造改革のほか、中小・小規模企業の振興、ベンチャー企業の育成、税制問題、労働問題、国民生活、環境問題などがあります。「労働賃金の値上げ」などもこれに該当します。

中小企業振興

中小企業振興とは、中小企業の活動支援の事です。
以下に2つの支援内容を紹介します。

①事業展開サポート
開業に必要な手続きや資金の調達方法、確定申告のやり方、店にお客様を呼ぶにはどうするかなど相談することができます。

②融資(マル経融資)
マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)とは、商工会議所等で、経営指導(原則6ヵ月以上)を受けた人に対し、無担保・無保証人で、日本政策金融公庫が融資を行う国の制度です。

地域振興

地域振興とは、地域おこしとも呼ばれ、下記3つのことが代表として挙げられ、これらを実行するための活動のことを指します。

①地域経済力の向上
②地域の意欲向上
③地域人口の維持

国際交流

商工会議所は、他国との交流や貿易のために下記の事に取り組んでいます。

・二国間・多国間経済委員会
二国間・多国間経済委員会とは、積極的な民間経済外交を促進するために設けられた委員会です。主に貿易の拡大や投資・技術移転等を促進するための支援を行っています。

・日商FTA/EPA情報局
FTA・EPAとは国同士で決めた輸出入や投資に関する協定の事です。商工会議所では「EPAに基づく特定原産地証明書の発給」を行っています。

・全国商工会議所中国ビジネス研究会
全国商工会議所中国ビジネス研究会とは、中国に特化したビジネスを支援するサービスです。中国ビジネス法務や中国EC市場の最新動向など、オンラインでのセミナーを開催しています。

・貿易証明(原産地証明書)
貿易証明(原産地証明書)とは、輸出入の際の貨物の国籍を証明する書類を指します。日本では商工会議所が唯一の指定発給機関になります。

検定試験

・各種検定試験の実施
商工会議所では、各種検定試験を実施しています。
実施されている試験の種類は以下のようなものがあります。

◆試験一覧
・簿記
・日商プログラミング
・販売士
・日商PC
・日商ビジネス英語
・そろばん(珠算)
・電子会計実務
・DCプランナー
・キータッチ2000
・ビジネスキーボード
・日商マスター

◆ネット検定で施行している検定試験
・日商PC
・日商簿記初級
・日商原価計算初級
・電子会計実務検定試験
・日商ビジネス英語検定試験
・ビジネスキーボード認定試験
・キータッチ2000テスト
・日商プログラミング検定試験

商工会議所会員向け事業

・PL(製造物責任)保険
2020年6月に終了し、PL補償を含んだ総合的な保険「ビジネス総合保険制度」へ一本化されました。ビジネス総合保険制度とは、賠償責任(PL賠償、リコール、情報漏えい、サイバー、施設賠償、業務遂行賠償等)リスクの補償、事業休業の補償、財産・工事に関わる補償を一本化して加入することが出来る保険制度です。特徴として、「補償内容の重複や漏れがないか心配」「どの保険に入ったらいいかわからない」「保険ごとの契約手続きが面倒」等の保険に関する不安や疑問を解決することができます。また、PLリスクのみを保証するプランもあります。

・個人情報漏えい賠償責任保険
「ビジネス総合保険制度」へ一本化されました。

・休業補償
経営者本人とその従業員が、病気やケガで働けなくなった場合に、休業前の所得と公的補償の差額をカバーしてくれる保証制度のことです。特徴として、仕事以外で発生したけがや病気にも対応してくれます。また、自営業者や家事従事者も加入する事ができるので、労災保険の給付を受けることが出来ない方にとってもおすすめの制度です。

・チェンバーズカード
チェンバーズカードとは、商工会議所会員のために開発されたクレジットカードを指します。特徴の一つとして、従来のクレジットカードの機能やサービスに加えて、商工会議所が独自に付加した各種の優待サービスが利用することができます。

産業振興(調査・研究)

・LOBO(早期景気観測)調査
LOBO(早期景気観測)調査とは、地域や中小企業が感じる景気や、経営課題を調査することを指します。「LOBO」とは「CCI(Chamber of Commerce and Industry)- QUICK SURVEY OF LOCAL BUSINESS OUTLOOK」(商工会議所早期景気観測)からとった略称です。調査結果を元にデータとしてまとめ、経済対策に関する政策提言・要望活動などに活用することを目的としています。

・まちづくりの推進に関する総合調査 など
まちづくりの推進に関する総合調査とは、地域の現状を知るための調査を指します。より良いまちづくりを目的とし、現状の把握、評価、進捗の確認をしています。

情報化推進(IT事業)

情報化推進(IT事業)とは、昨今推し進められているテレワークや、業務のデジタル化を推進する事業です。商工会議所では中小企業に対し、IT活用の実態調査、これらを導入する際に利用できる補助金の案内や、サポートを行っています。また、サイバーセキュリティやIT化による経営戦略などの各種セミナーも開催されています。

・電子認証取次事業
日本では、e-Japan戦略により書類の電子化が進み、その中に電子証明書というものがあります。電子証明書とは、信頼できる第三者(認証局)が間違いなく本人であることを電子的に証明するもので、書面取引における印鑑証明書に代わるものです。商工会議所では、以下の二社と提携し、取り次ぐサービスを展開しています。

<取次提携先>
①株式会社帝国データバンク
②セコムトラストシステムズ株式会社

広報活動

・商工会議所活動をPR
商工会議所では、様々な資料や媒体を利用し、日常活動のPRに努めています。会頭コメント、提言や重要な意見・要望を記者発表し、場合によっては資料の配布を行うなど、商工会議所の考えや日常活動を分かりやすく紹介しています。他に「会議所ニュース」など機関誌の発行によるPRも行っています。

商工会議所に加入するメリット・デメリット

商工会議所に入会する事により、様々なサービスを受けることができます。それらを利用することで得られるメリットを3つご紹介します。

メリット1 会員限定のサービスを受けることができる

商工会議所に入会することで利用できるサービスがたくさんあります。いくつかの例として、開催するセミナーへの参加、電子証明書の割引、提携クレジットカード作成による各種優待サービスなどを受けることができます。

また、ビジネス総合保険加入による保証制度は、損害賠償のみならず、休業補償まで賄うことが出来ます。そして仕事以外で発生したケガや病気にも対応してくれる点は、一つの魅力と考えられます。

メリット2 資金調達

事業を始めるとついて回るのが資金の事。商工会議所に入会することで、マル経融資という制度から、融資を受けることができます。

メリット3 新たな人脈の構築

商工会議所が行うセミナーやイベントを通し、様々な業種の方と繋がることができます。自身の事業以外の方とつながりを持つことが出来ることは、大きな魅力です。ジョイントベンチャーなどで業務提携出来る相手を探す場としても重宝するでしょう。

デメリット1 入会金の発生

商工会議所に入会するには費用が発生します。東京商工会議所を例にすると、入会には一律3,000円の費用が掛かります。

デメリット2 年会費の発生

商工会議所に入会すると、以降年会費が発生します。
東京商工会議所を例にすると、費用は会社の規模によって決まり、資本金500万円以内であれば1万5千円です。年会費については、地域によって仕組みの違いがある為、最寄りの商工会議所に問い合わせをしてみるのが良いでしょう。

デメリット3 目的を持って行動する必要がある

入会金、年会費など商工会議所に入るためには費用が掛かります。メリットと思える部分を活用できれば良いですが、何もしなければ単に費用分のみ資金がマイナスとなってしまいます。自身が積極的に、目的をもって行動する必要があることは覚えておきましょう。

商工会議所に加入する方法と注意点

商工会議所に加入するためにはいくつかの条件があります。
ここでは、加入する方法と注意点について解説していきます。

入会資格

東京商工会議所を例に挙げると、23区内で営業している商工業者であること。そして事業を営む、法人、団体、個人事業主であり、加入する地域で6か月以上営業をしている必要があります。

営業が6か月未満でも入会できる所もあるので、一度各商工会議所に確認してみましょう。また、営業地域が異なる場合、通常会員ではなく、特別会員として入会できることがあります。

入会方法

①最寄りの商工会議所に問い合わせる
②ネットで資料請求を行う
③ネットで申し込み

②、③については、入会しようと考えている地域の商工会議所が、ネットサービスに対応しているか事前に確認してみましょう。

注意点

商工会議所に入会するときの注意点は、すべての事業者にとって確実に有益なサービスが得られるとは限らないということです。デメリットで挙げた通り、入会すると会費などコストが掛かります。自身が入会した場合、このコスト分の恩恵を受けることができるか、事前に確認しておきましょう。

メリットとデメリットを引き比べ、商工会議所への加入を検討しよう

商工会議所は、入会すると様々なサービスを受けることが出来、内容も魅力的なものが多いです。しかし、それら恩恵を受けるためには会費が掛かります。自身の業種に合った内容であるか、掛かるコストと併せ、事前に確認をしておくと良いでしょう。