Post Merger Integrationとは?M&Aに重要なPMIについて解説

M&Aにおいて欠かせないのがPMI(Post Merger Integration)です。買収の効果を最大化するための統合プロセスという意味のこちら工程は、M&Aの中でも重要視されています。
購買担当者としてはPMIが大切なことは理解していても、具体的に何をすれば良いのか分からない人も多いのではないでしょうか。PMIの重要性や、企業価値を向上させるための具体的な実施内容などをお伝えしていきます。

PMI(Post Merger Integration)とは

それではまずはPMIの意味と、それが重要だとされる背景についてお伝えしていきます。

PMIの意味

PMIとは、M&Aを行った後に企業や事業の統合を最大限に効率化するための各種の統合プロセスのことを意味します。統合する対象の範囲は、理念などの経営の部分、業務や組織に関わる部分、企業風土や文化など意識の部分と多岐に渡ります。

PMIが重要と言われる背景

このPMIが重要とされる背景には、従来大企業で行われてきたM&Aが小型化および多様化したためです。
小型化としては、中小企業でもM&Aが実施されるようになってきたこと、事業単位でのM&Aが増えてきたことなどが要因として挙げられます。また近年では中小企業の後継者不足による事業承継系のものが増えてきています。
中小企業庁のデータによると2017年の中小企業のM&Aは3000件超と過去最高になっており、特に中小企業では500件を超えるなど2012年の3倍の数になっています。今後もこの傾向は続くと予想されます。

PMIの重要性

M&Aでは買収から合併までのプロセスを重要視することが多いです。ところが実際は、合併後にシナジー効果をできるだけ早く出せることが大切です。
合併直後は会社全体が戸惑うことが多く、そのため統合に対する準備が不十分な場合、認識のずれに伴う重大なミスやシステム障害などが発生し、業績悪化を招くなどM&Aをすることが返って企業の価値を損なってしまう事態になりかねません。

そこで今回は3つの観点からPMIの重要性をお伝えします。

経営統合(理念・戦略、マネジメントフレームの統合)

統合とは結婚のようなものです。家庭でもお互いの育ってきた環境や生活の細かい部分まですり合わせが必要なように、企業間でもそれぞれの理念や戦略、そしてマネジメントフレームを合わせていく必要があります。
統合に向けての交渉の時点からトップや幹部同士で、お互いの経営面を把握しておくことが重要でしょう。

業務統合(業務・インフラや人材・組織・拠点の統合)

先ほどの項目が幹部級のタスクだとすれば、こちらの業務統合は現場レベルでの必須項目です。
業務のノウハウ、仕事の流れ、組織体制や人事制度、法務面などお互いの会社の内容を把握して経営統合に活かします。
このため買い手と売り手双方の会社の従業員は何度もミーティングを行い、認識と実際の業務内容をすり合わせることも重要です。これが不十分ですと統合後に現場で混乱が起きてしまう可能性があります。

意識統合(企業風土や文化の統合)

最後に大切なのが意識統合です。異なる企業風土や、文化を持つ企業同士が合併するので異なる仕事の流れや習慣があるはずです。
ここに関しては社員の働きやすさにも直結する部分なので、しっかりと経営幹部がすり合わせを行い、繰り返し社員に相互理解を求めていく姿勢が大切でしょう。

PMIの実施内容

PMIの重要性がお分かりいただけたところで、次は具体的な実施内容について説明していきます。
異なる企業が一つになるので、やるべきことはたくさんあります。今回はその中でも先ほどの重要性の項目を意識して、大きく5つの内容に分けて見ていきます。

①経営会議の設計

双方の経営幹部が集まり、今後の方針を決めたり統合後のビジョンの作成をしたりする場を定期的に設けることが良いでしょう。ここで決められたことが各従業員にも浸透していくので、すり合わせはお互いが納得する形で密に行いましょう。

②マーケティング、ブランド戦略再構築

買い手、売り手ともに新会社へ移行すると新しいマーケティングやブランドの戦略が必要になってきます。ここで決めたことを元に現場は動いていくので、統合後のシナジーをすぐに発揮するためにも、統合後の向かうべき方向を決めておきましょう。

③業務管理システムの統合

異なる会社ですので、統合前に使っているシステムももちろん同じとは限りません。このシステム統合は失敗すると業務が滞ってしまう事態にもなります。そうすればM&Aのシナジーが得られないばかりか従業員に不安な気持ちを抱かせてしまいます。最新の注意を払いシステムの統合をしましょう。

④業務フロー・業務ルールの確立

現場がより迅速に新しい体制へ移行するためには、合併した後の業務フローやルールを事前に策定していくことが大切です。従業員が動きやすいものをお互いの実務担当者レベルで作り出すと良いでしょう。

⑤社内研修やワークショップの実施

互いの従業員間に一体感を作り出すことも大切です。共通の意識を持つために社内研修やワークショップを定期的に実施することがおすすめです。
互いに時間を共有することで一体感が生まれ、統合後もスムーズにコミュニケーションを取ることができるでしょう。

M&Aで失敗しないために

最後にM&Aで失敗しないためのポイントを3つお伝えしていきます。

①事前の交渉を綿密に行う

経営陣なら方針や戦略、従業員なら業務フローやシステムなど会社に関わるさまざまな立場でお互いの業務や習慣を打ち合わせして、統合していく必要があります。
そのため事前の交渉には十分に時間を使って、お互いが納得するものを決めていくことが大切です。M&Aは買収の調印までのプロセスが重要視されがちですが、統合後にスムーズに新体制に移っていくこれらの下準備が欠かせません。

②経営者同士で良好な関係を維持していく

M&Aは買う側と売る側(買われる側)にどうしても立場が分かれてしまいます。たとえ買う側であっても、高圧的な態度などは両社の関係を崩してしまいかねません。
現場レベルの融和はもちろん大切ですが、そのためにもまずは経営者同士で良好な関係を構築し維持していくことが重要になってきます。

③従業員に対しての統合後の計画を周知していく

統合後はどちらの会社の従業員も少なからず不安を感じるものです。特に売り手の企業はその不安は大きいでしょう。
そこで統合後の体制移行や、今後の業務内容、人事制度などを社員全員と共有し、場合によっては1on1でのミーティングなどで不安を払拭していきましょう。これを怠ると優秀な人材の流出にもつながり、せっかくの統合のシナジーを得にくくなりかねません。

理想的なM&Aを実現するために

今回はM&Aの大切なプロセスであるPMIについてお伝えしてきました。
お互いの企業同士の様々なレベルで緊密なすり合わせをすることが、理想的なM&Aを実現するために必要です。