シナジー効果とは?経営者が抑えておきたいシナジーの種類・効果や事例を解説

昨今、様々な企業が業務提携をしたという話を聞くことも多いのではないでしょうか。これらの目的には「シナジー効果」があります。これは異なる事業を行う企業同士が融合することで、相乗効果を生むことです。今やこの効果無しでは経営の多角化は難しいとさえいわれます。シナジー効果には様々な種類や効果があり、経営戦略には欠かせないものです。経営者が押さえておきたい内容を、実例を交えて具体的に解説していきます。

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シナジー効果とは

シナジー効果とは、相乗効果のことです。複数の企業が協力することで、1+1=2ではなくもっと大きな効果をもたらすことを指します。より活性化するといっても良いでしょう。
実際にシナジー効果が求められるシーンとして、下記3つをご紹介します。

売上・事業の拡大

協力し合う双方の企業が、互いの強みを活かすことでさらなる売上アップや事業拡大を目指したい。

コスト削減

双方の企業がもつ流通経路やノウハウを活かすことで、様々なコスト削減に繋げたい。

顧客網の共有

双方の企業がもつ既存顧客へアプローチし、互いに販路を拡大させたい。

シナジー効果の種類と効果

①事業シナジー

一つ目は事業シナジーです。さらに細分化すると3つに分類されます。

・コスト削減
複数の企業や事業が協力し合うことで、重複している部分を統一化し、コストを削減することができます。例として流通経路の統一などが挙げられるでしょう。

・スケールメリット
これも結果としてコスト削減へ繋がるものです。例として商品の仕入れを複数社で同時に行ったり、同一の商品を一度に生産してコストを下げたりできるメリットのことを指します。

・人材の活用
2つの事業が統合したことで、より人事面が活性化します。例としてノウハウの共有や、効率的な人材配置の実施が挙げられるでしょう。

②財務シナジー

財務シナジーの効果には、「余剰資金活用」「節税効果」があります。

余剰資金活用とは、企業のM&Aによって得た余剰資金を有効活用すること。節税効果とは、企業のM&Aなどで繰越欠損金や債務を受け継ぎ、結果として節税効果を生むことを指します。

例えば、財務状況が不安定な会社が、資金力のある企業の傘下に入った場合、財務の安定につながるでしょう。

③組織シナジー

組織シナジーとは、複数の企業が協力することで生まれる効果の事です。
主だった効果として、販促効果UPによる生産性の向上や、多部門の協力・連携による生産性の向上が挙げられます。個々の実力が連携することでさらに発揮されるといえます。

シナジー効果を生み出す方法

シナジー効果を生み出す方法には、大きく分けて下記4つの方法があります。

①多角化戦略

多角化戦略とは、既存の主力事業とは別の分野への進出や、シェアの拡大を目指す事業戦略のことです。主に「水平型」「垂直型」「集中型」「集成型」4つのタイプに分類することができ、それぞれに特徴がありますので、詳しく解説していきます。

・水平型多角化戦略

水平型多角化戦略とは、これまで展開してきたマーケットに似た市場へ、新たな製品を投入する戦略を指します。すでにあるマーケットと似た市場を利用する為、リスクを押さえ、既存の技術を活かすことができるのが特徴です。
例としては、これまでスマートフォンを生産してきた会社が、タブレット端末の生産も行うなどが挙げられるでしょう。
しかし、大きな利益を生むことが難しく、ローリスク、ローリターンの戦略であるといえます。

・垂直型多角化戦略

垂直型多角化戦略とは、既存製品の上流工程(組み立て)や、下流工程(販売)などへ事業を展開することを指します。
これまでに培った事業である点と、既存の流通経路や販路などを活かす戦略のため、ローリスク、ローリターンであるといえるでしょう。
例えば、住宅販売を主とする企業が、建築資材の開発から販売までを行うといったものです。

・集中型多角化戦略

集中型多角化戦略とは、既存の生産技術を活かし、別の市場へも事業を拡大する戦略のことです。特殊技術などを活かし多方面へ進出出来ることが特徴でしょう。
例えば、精密な時計の部品を生産する企業が、半導体部品の生産も行う例などが挙げられます。

・集成型多角化戦略

集成型多角化戦略とは、技術面、市場ともに、全く別の事業に進出することを指します。
代表的なものは、自動車事業が通信事業へ進出したことなどが挙げられるでしょう。
当然ながら新規の市場であるため、ハイリスク、ハイリターンであるといえます。しかし、業種の異なる事業を営むことで、何か別の事業の経営が悪化した場合にリスク分散出来るといった見方もできます。

②業務提携

業務提携とは、お互いの資本はそのままに、業務上で協力関係を築くことを指します。経営資源を共有することで、シナジー効果を得ることを目的としています。

この提携には様々な種類があり、良く耳にするものに「販売提携」「技術提携」などがあります。例としてこれら2つの特徴を紹介していきます。

・販売提携

販売提携とは、契約内容をもとに、他社の保有するチャネルなど販売資源を活用する方法です。
この販売提携にはいくつか種類があり、代表的なものは「販売店契約」「代理店契約」「フランチャイズ契約」などです。

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・技術提携

技術提携とは、他社が保有する知的財産(ライセンス)を、契約内容に基づき、自社の製造や開発に活かす提携方法です。協力する会社の技術を取り込むことで、技術力の向上や、新規開発にもつながります。

③グループ一体経営

グループ一体経営とは、関連会社や子会社などを一つの組織として経営することを指し、ホールディングス化ともいわれます。特徴として、組織全体が意思統一された経営哲学によって稼働します。メリットは、事業を分けることでリスク分散ができることや、すべてのグループ企業が同じブランドイメージを持てる部分です。
しかし、すべてのグループ会社が有益でないこともあります。デメリットとしては、事業の損益などを巡り、グループ会社内で対立が発生するケースなどが挙げられるでしょう。

④M&A

M&Aとは、「Mergers(合併) & Acquisitions(買収)」の略称の事です。

「合併」は2つ以上の企業が統合されることを指します。一方「買収」は株式の取得などにより、他の会社を買い取ることです。

メリットは、候補となる会社はたくさんあり、さらに相性によっては大きなシナジー効果を生むことが可能です。また、代表者の高齢化や後継者不足も解消することが出来るでしょう。

しかし、売り手側が大企業に買収されるなどした場合、待遇や働き方の変化による従業員への負担や、モチベーションの低下を招くこともあります。これらがデメリットといえるでしょう。

シナジー効果の企業事例と注意点

シナジー効果の企業事例およびそれぞれの注意点について、3つご紹介していきます。また、成功している企業は、シナジー効果を発揮させるためにどのような事をしているのかもあわせて説明していきます。

シナジー効果の企業事例

①ソフトバンク

1990年代より積極的にM&Aを行っています。2000年代にはブロードバンド業界へと進出。さらに2004年には「日本テレコム」や野球球団の「ホークス」などの買収を行い、販路の拡大のみならず、認知度アップのシナジー効果を発揮させました。また、2006年、ボーダフォンを買収したことで、ついに携帯電話事業へと参入、さらに大きく事業を前進させたといえるでしょう。近年では、2016年に3.3兆円で買収した英国半導体企業の「ARM」を、2020年に米国大手「NVIDIA」へ4.2兆円で売却したことも話題となっています。

②ビックカメラ

都心地域をメインに店舗展開をしていた「ビックカメラ」は、2012年に同じ家電量販店である「コジマ」を買収し、地方への販売網を強化、シナジー効果を発揮しました。また2012年衣料品販売大手「ユニクロ」と提携し、同年9月に新宿駅東口に「ビックロ」をオープン。互いの企業がこれまでに培った経営ノウハウを、新しい店舗に応用しています。

③JT(日本たばこ産業)

1999年に米国の「RJRナビスコ社」より米国外たばこ事業を、さらに2007年には英国のたばこ事業大手「ギャラハー」を買収しました。これらの買収により、売上、販売に大幅なシナジー効果を発揮。それまでの売上本数を10倍にまで拡大させます。
その後もロシア、フィリピンなどのたばこメーカーを買収し、さらに事業を拡大しています。

シナジー効果の注意点

上記3つの事例は、どれもシナジー効果を発揮したM&A(買収)の成功事例といえるものばかりです。

しかし、買収したからといって必ずしも良い成果を得られるとは限りません。M&Aの成功率は、30~50%程度といわれることもあります。なんと失敗している企業の割合のほうが多いのです。買収や提携をする以上、将来性やノウハウなど、互いの長所を活かせる「マッチング」が大切であるといえます。そして、それを実行に移すタイミングを見誤らないことが重要でしょう。

効果をきちんと見越してプラン実施を

シナジー効果を発揮させるには様々な方法があります。成功を生むためには「目的・目標」を定め、自社に合った多角化戦略を立てることが必要です。まずはどの効果を得ることが最良なのか、きちんと判断して実施することがポイントになるでしょう。

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