
フランチャイズとは、本部と加盟店によって成り立つビジネスモデルで、そこまでは多くの方が理解しているはずです。
しかし、より掘り下げてフランチャイズを見ていくと、業種や本部によってさまざまな特徴があることが分かります。
本記事では、フランチャイズの基本と注意点を踏まえながら、フランチャイズ経営を検討する上でのポイントを解説します。
この記事の目次
フランチャイズというシステムの基本
消費者側から見たフランチャイズの大きな特徴は、どこであっても画一的なサービスを受けられるということです。
では、フランチャイズはなぜこのような特徴を持つことになったのでしょうか。
まずは、フランチャイズの成り立ちと特徴を踏まえ、そのシステムの基本的なことから説明します。
フランチャイズという仕組みの始まり
フランチャイズとは、本部が持つ商標・商号を使用する権利や、開発した商品・ノウハウを加盟店に提供し、同一のブランドとして展開するビジネスです。
このビジネススタイルの例として挙げられるのは、今でも街で見かけることの多い「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」です。
KFCの創業者ハーランド・デイヴィッド・サンダーズ(愛称がカーネル・サンダース)は、自らが作りだしたフライドチキンのレシピを、ほかのレストラン経営者や従業員に教え、売れたチキン1本につき5セントを受け取りました。
また、この契約にはケンタッキーフライドチキンという名称と、カーネル・サンダースの肖像を広告に使う権利も含まれていて、現代のビジネスフォーマット型フランチャイズの原型となりました。
成功しやすい優れたビジネスモデルを加盟店に提供し、その対価を受け取ることがフランチャイズの基本です。
フランチャイズが広がった理由
フランチャイズというビジネス形態は、コンビニエンスストアのような小売業だけではなく、飲食業・サービス業・不動産業など、あらゆる業種で見られます。
フランチャイズが広がった大きな理由は、本部の直営店だけではなし得ないようなスピードでブランドを拡大できるからです。
先ほど紹介したKFCの事例では、フランチャイズを始めた1952年から8年の間に、北米で400店舗を超えるフランチャイズチェーンに成長しています。
この成長速度は本部だけのメリットに見えますが、加盟店にとっても大きな利益となります。
加盟店側の視点で考えれば、大きな成長を見込めるフランチャイズ本部を見つけることが、成功をたぐり寄せるポイントです。
フランチャイズでよく使われる用語
フランチャイズを語るときに、あまり聞き慣れない用語を目にすることがありますが、これを理解することも重要です。
もっとも基本的なものでは、商標・商号やノウハウを提供する本部のことを「フランチャイザー」、提供を受ける加盟店のことを「フランチャイジー」と呼びます。
フランチャイズ加盟に興味があるなら、少なくとも以下の用語を深掘りして理解することをおすすめします。
| ロイヤリティ | 本部から商標・商号の使用を許諾され、ビジネスノウハウの利用をする対価として本部へ支払う対価。 |
| 加盟金 | フランチャイズに加盟するため本部へ支払う金銭。商標やノウハウ、開業支援の対価。 |
| 違約金 | 債務不履行があった場合に支払うことが定められている金銭。 |
| テリトリー権 | 本部が加盟店に特定の営業エリアでの営業を保証することで加盟店が持つ権利。 |
これらは、フランチャイズビジネスで使われる用語の一例ですが、何より重要なのはフランチャイズ契約書の内容です。
日本ではフランチャイジーを守る特別な法律はないので、ほとんどのトラブルはフランチャイズ契約書に従って解決されます。
つまり、契約内容や用語の理解などが不正確であれば、それだけで大きなリスクとなり得ます。
フランチャイズが一般的な業種
フランチャイズは、あらゆる業種でみられるビジネスモデルですが、大まかな分類ごとの加盟店数と売上高は以下のとおりです。
| 業種 | 店舗数 | 売上高(百万円) |
| 小売業 | 107,804 | 20,858,827 |
| (小売業のうちコンビニエンスストア) | (57,019) | (12,030,433) |
| 外食業 | 51,501 | 4,331,497 |
| サービス業 | 93,478 | 3,062,510 |
フランチャイズで存在感が高いのは、店舗数と売上高の両面でコンビニエンスストアです。
16のコンビニチェーンでこの店舗数を実現していて、そのうちセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの上位3社が90%以上を占めています。
小売業には、「菓子・パン小売」「家具・家電・家庭用品関係小売」「医薬品・書籍・スポーツ用品・中古品等小売」なども含まれますが、社会インフラといえる存在となったコンビニが突出している状況です。
外食業もフランチャイズの多い業種ですが、545とチェーン数も多く、原材料費の高騰や人手不足の影響が深刻になっています。
サービス業に分類される事業は、非常に多岐にわたっているので、この大分類で理解するのは難しいかもしれません。
かつては花形だった「DPE・印刷・コピーサービス」は、完全に斜陽化している一方で、「レジャーサービス・ホテル」「学習塾・カルチャースクール」「介護サービス」などは、堅調に店舗数を伸ばしています。
最近は、ハウスクリーニングや不動産業も注目を集めていて、これらの小分類ごとの特徴については、後ほど個別に詳しく解説します。
フランチャイズのメリットとデメリット

フランチャイズは、本部が作り上げた成功モデルを利用できることが特徴ですが、そこにはメリットだけではなくデメリットも存在します。
そこで、フランチャイズのメリットとデメリットについて、加盟店と本部の視点から、それぞれ考えてみましょう。
加盟店側のメリットとデメリット
フランチャイジーとして開業するメリットは、販売・営業方法や集客のノウハウなどのビジネスモデルがパッケージになっていて、経験がなくても事業を始めやすいことです。
本部から提供されるノウハウを忠実に遂行することで、開業直後から一定以上の集客を図れます。
また、開業時に多くのエネルギーを割かれる広告・販促活動や、サービスや商品の開発などは、ほぼ本部任せで済むので目先の経営課題に集中できるでしょう。
一方でフランチャイジーは、本部の事業方針と違うことはできないので、事業でオリジナリティを出すことはほぼ不可能です。
一国一城の主とはいえ、フランチャイジーにとっては窮屈に感じられることが多くなります。
本部側のメリットとデメリット
フランチャイザーは、多くの場合「儲かる」ビジネスモデルを構築していて、直営店で商売をしたほうが利益は上がるはずです。
それなのに、あえてフランチャイズチェーンを構築するのは、加盟店の資本を利用して事業を急拡大できるからです。自社展開より大幅にコストを抑えることができます。
また、フランチャイズチェーンの急拡大は、ブランド価値自体を高めることになり、これは本部だけではなく加盟店にとっても大きなメリットです。
さらに、フランチャイザーとなり加盟店にノウハウを教える対価として、加盟金や毎月のロイヤリティが収入となるのもメリットです。
加盟店が頑張るほど本部の利益も上がるのが、フランチャイズの基本的な仕組みです。
ただ、加盟店が不祥事などを起こすと、フランチャイズチェーン全体のイメージ低下につながるなど、運営・営業を任せるリスクがデメリットとなります。
フランチャイズ契約の注意点を知っておこう
フランチャイズビジネスは、すべてが本部と加盟店の契約に基づいて遂行されるもので、契約内容を知ることが極めて重要です。
法治国家においては、契約した内容について「知らなかった」という言い訳は通用しません。
ここでは、フランチャイズというビジネス形態ならではの契約内容について、特に注意すべきポイントを説明します。
フランチャイズ契約で注目するポイント
フランチャイズ契約は、本部と加盟店が守るべき事項が網羅されていて、加盟店側は初期費用に目が奪われがちになります。
加盟金は、業種やフランチャイズ本部によって大きく異なりますが、一般的には10万~1,000万円で平均すると100万~200万円です。
この加盟金は、契約時に一度だけ支払う費用で計算しやすいのですが、そのほかの開業費用にも注目しましょう。
特に飲食業や小売業などのように、大きな設備投資が必要なフランチャイズ契約には注意が必要です。
なお、ほとんどの場合、フランチャイズのブランドイメージに合わせた内外装が求められ、開業資金の計画が狂うことも考えられます。
初期費用に関する契約内容は、検討段階からしっかり精査しておくことが大事です。
ロイヤリティなど開業後の費用負担は重要
フランチャイジーは、開業することはスタート地点に過ぎず、そこから先の事業活動が本番です。
開業後に発生するロイヤリティや、仕入れに関する項目など、本部へ支払うべき費用についてはしっかりチェックしましょう。
また、広告にかかる費用など追加で負担を強いられる場合があるので、開業後の費用負担を確認することは重要です。
フランチャイジーは、本部の統一的な事業を求められるので、これらの費用負担は避けられません。
事業計画にすべてを落とし込めるよう、細かい部分まで確認しておきましょう。
意外と見落としがちな違約金や中途解約金
よい業種のフランチャイズ本部を見つけた段階では、多くの加盟者は事業をやめるときについては考えないと思います。
しかし、フランチャイズ事業であっても思わぬ計画違いや、予期せぬ事態は起こり得ます。
その段階になって、違約金や中途解約金の存在を知るようでは手遅れです。
違約金は、基本的にフランチャイズチェーン全体の利益を守るために規定されていて、競業避止義務や秘密漏えいの禁止に関わるものです。
また、契約途中の解約では中途解約金を請求されることが定められていて、設定額が不相当に高額ではないかしっかり確認しましょう。
選ぶべき業種やフランチャイズ本部の特徴
フランチャイズで成功するためのポイントは、業種とフランチャイズ本部選びにかかっています。
では、選ぶべき業種やフランチャイズ本部とはどのようなものなのか、基本的な考え方について説明します。
将来性や現実的な課題を考える
フランチャイズチェーンの多くは、すでに成功しているビジネスモデルを展開しているので、開業後の収支はある程度想像がつくことでしょう。
しかし、5年先や10年先を考えると、現在とは違ったビジョンが見えてくるはずです。
例えば学習塾などは、少子化の影響が今後とも続くことが確実で、2025年1~9月の学習塾事業者の倒産件数は37件で、同じ期間としては過去最多になっています(帝国データバンク調べ)。
また、就業人口の減少はあらゆる業種に影を落としており、特に多くの人手が必要な業種にとって難しい課題です。
日本市場の将来なども含めて、業種やフランチャイズ本部を選びましょう。
本部のサポート体制をしっかりチェック
フランチャイズは、経験がない業種であっても本部サポートで事業展開できることが最大の魅力です。裏を返せば、本部のサポート体制が十分でない場合は、フランチャイズのメリットがないとさえいえます。
本部のサポート体制というのは、フランチャイズ加盟店数では分からない部分なので、実際に加盟店の声を聞くことで判断することをおすすめします。
本部サポートは、開業前だけではなく開業後こそが重要なので、本部を選ぶうえで外せないポイントです。
フランチャイズ事業に向いている人と不向きな人
フランチャイズで開業し成功する人には、いくつかの特徴がありますが、不向きな人についても同様です。
フランチャイズ事業に向いている人には、以下のような傾向が見られます。
- ビジネスモデルを忠実に実践できる
- 本部と良好な関係が築ける
- 事業主としての責任感がある
フランチャイズのメリットは、本部がつくり上げたビジネスモデルを再現できることです。それをしっかり踏襲することが成功の近道です。
それに対して、以下のような方にはフランチャイズ事業は向かないといえるでしょう。
- 自分色を出したがる
- 目先の利益に目を奪われてしまう
- 本部のルールを守れない
もし、オリジナルの革新的なビジネスアイディアがあれば、独力で開業し成功したほうが大きな利益が得られます。
しかし、それは簡単なことではありません。基本的に、「他人のビジネスアイディアを利用するのがフランチャイズ」と理解しましょう。
業種ごとに必要なフランチャイズ開業資金や運転資金

開業する上で気になるのは、開業資金や運転資金など、現実的なお金の問題です。
フランチャイズといっても、この資金的な部分は業種や本部によって大きな違いが見られます。そこで、フランチャイズ開業に必要な開業資金と運転資金を、代表的な業種ごとに紹介します。
業種ごとに必要な開業資金
フランチャイズの開業に必要な加盟金、初期投資は、業種ごとに大きな違いがあります。
主な業種ごとの平均的な開業資金は、以下のような金額です。
| 業種 | 細目 | 開業資金 |
| 飲食業 | ファーストフード | 約300万~2,000万円 |
| 居酒屋 | 約900万~2,500万円 | |
| 宅配ピザ | 約1,500万円 | |
| 小売業 | コンビニエンスストア | 約100万~300万円 |
| ファッション・雑貨 | 約50万~500万円 | |
| 美容・健康業 | ヘアサロン・エステ | 約500万~2,000万円 |
| フィットネスジム | 約500万~3,000万円 | |
| 教育・学習 | 学習塾・予備校 | 約500万~1,000万円 |
| 幼児教育 | 約400万~1,000万円 | |
| サービス・運輸業 | ハウスクリーニング | 約200万~300万円 |
| 運送業 | 約100万~300万円 | |
| 買取サービス | 約500万円 | |
| 不動産業 | 不動産斡旋・仲介 | 約500万~1,500万円 |
加盟するフランチャイズ本部や事業規模によって大きな差があり、業種ごとに安く済ませる方法も存在しています。
コンビニエンスストアは、初期費用こそ安く抑えられていますが、開業後に毎月発生するロイヤリティが高いことが特徴です。
この金額はあくまで相場なので、具体的には本部に資料請求、あるいは公式サイトで確認してみましょう。
長く続けるために運転資金の把握が重要
フランチャイズは、独自開業と比べてスタート時から一定以上の売上を見込めるところが魅力ですが、それでも運転資金は余裕を持っておきたいものです。
フランチャイズ以外の一般的な開業では、運転資金として毎月必要な支払額の6カ月分が必要だとされています。
必要な支払額には、営業上必要な支払いだけではなく、借入金の返済額やオーナー自身の生活費も含めて計算しましょう。
もちろん、開業後に事業がいち早く軌道に乗りさえすれば問題はないのですが、スタート時こそ万全な体制をとることが重要です。
業種ごとのフランチャイズ事業の実態
フランチャイズといっても、業種ごとに特徴が大きく違っていて、その特徴を知ることがフランチャイズ選びの基本になります。
ここでは業種に見られるフランチャイズ事業の特徴と、その収益性や将来性について説明します。
コンビニエンスストア
フランチャイズの代表的存在であるコンビニエンスストアは、12兆円を超える市場規模を持っており、今でも緩やかに成長しています。
ただし、国内店舗数はほぼ飽和状態に達していて、量の拡大から質の拡大へ変化する転換点に入っています。
大手3社の競争は苛烈で、フランチャイジーとして新規開業することはリスキーです。
人手不足の影響で、フランチャイズオーナーの苦労も大きく、複数店舗を経営している加盟店以外にとっては、完全にレッドオーシャンだといえるでしょう。
参照:https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/result/pdf/202502S.pdf
ハウスクリーニング
ハウスクリーニングは、フランチャイズ事業の中でも成長している市場で、2025年の市場規模は8,000億円に達すると予想されています。
この背景には、高齢化社会と女性の社会進出による個人需要の高まり、安定している法人向けサービスの両面があります。
初期投資も少ないハウスクリーニングは、低リスクで始められるフランチャイズ事業だといえます。
一方で「一人親方」的な色合いが濃く、オーナー自身の体力と技量による差が大きく出てしまう業種です。
不動産業
不動産業といっても、その業態は開発・流通・管理・投資の4種類に分けられ、フランチャイズが関わるのは流通における仲介・斡旋です。
これはさらに、賃貸物件の仲介か不動産売買の仲介の2つに大別されます。
こうした不動産業の隠れた魅力は、建物を除けば取り扱う不動産物件の総数が減らないことであり、有力なFCブランド下であれば、これからも成長が見込める点でしょう。
しかし、不動産市場全体では成長が見込めても、人口の集中する都市部と、逆に人口減少の止まらない地方とで市場の二極化が進んでいるのが実情です。
だからこそ、不動産業でフランチャイズを考えるのなら、どこで開業するかという点、そしてどのFC本部に加盟するのかということが、成否を握る重要なポイントとなるのです。
買取専門店
中古品の買取専門店は、リユース市場の拡大や高齢化による生前整理などにより、堅調に伸びています。
また、物価高騰の影響もリユース品のニーズを高めていて、非常に魅力的な業種です。
それに伴って、買取専門店のフランチャイズも急激に増えており、安定した集客を維持できるのかが重要になっています。
安定した集客には、FC本部の広告活動が大きな影響を与えるので、本部の成長力・収益力が加盟を検討するバロメーターになるでしょう。
まとめ
新規に事業を始めるとき、もっとも難しいのは「集客できるビジネスアイディア」と「消費者からの知名度」を持つことですが、フランチャイズは2つとも解決できる開業方法です。
ただし、フランチャイズは本部選びが成否の半分を握っていて、フランチャイズ開業を考えているなら、まずはそこに注目しましょう。
また、日本の抱える社会問題もフランチャイズ事業に影響するので、業種ごとの将来性も考慮すれば、開業リスクを最小化することが可能です。