経営戦略におけるフレームワークには何がある?種類やそれぞれの特徴を解説

企業が継続的に成長するためには、経営戦略が欠かせません。急激な社会の変化に対応する意味でも、経営戦略の重要性が高まっています。経営戦略の立案には、フレームワークの活用が有効です。この記事では、フレームワークの基本や経営戦略に活用するメリット、立案の流れを解説します。フレームワークの種類と特徴もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

経営戦略におけるフレームワークとは?

フレームワークは「枠組み」「骨組み」と直訳されます。まずは、経営戦略におけるフレームワークの意味や目的、ビジネスシーンにおける用途を見ていきましょう。

フレームワークの意味や目的

フレームワークとは、意思決定や分析、課題などについて整理するための枠組みのことです。決められた枠組みのなかに落とし込むことで、客観的かつロジカルな判断が可能となります。共通認識を持ち、スムーズに議論したい場合にもフレームワークは重宝します。

ビジネスにおけるフレームワーク

フレームワークは、ビジネスの場で短期間に成果を上げるために用いられます。具体的なシーンとしては、マーケティングや商品企画、そして経営戦略の立案などが挙げられます、フレームワークの活用によって思考が論理的にまとめられ、他者との意思疎通が円滑になります。

経営戦略と似た用語

経営戦略と似た用語として、次の2つがあります。

・経営戦術

・戦略経営

そもそも「経営戦略」とは、ビジョンや目的を達成するための中長期的な方針を意味します。一方、「経営戦術」は、経営戦略を実践するための短期的な施策のことです。「戦略経営」は、戦略の策定・戦略の実行・戦略の評価について、3ステップで経営を進めていくときに用いられる用語です。戦略経営は、戦略的経営と呼ばれることもあります。

フレームワークを経営戦略に活用するメリット

フレームワークを経営戦略の立案に活用するメリットは次の3つです。

・情報が整理しやすくなる

・共通認識を持ちやすい

・社内外の情勢を踏まえた経営戦略が立てられる

経営戦略を考える際は、社内体制や技術力、組織風土などの内部環境を理解していないと、現状と乖離した方針を打ち出してしまうリスクがあります。また、戦略の根拠となる外部環境の認識にバラつきがあると、情勢を踏まえた経営戦略が立案できません。

フレームワークがあれば客観的な分析ができ、複数人でも認識を共有しやすいため、矛盾のない経営戦略が組み立てられます。

経営戦略に役立つフレームワーク

ここでは、経営戦略に役立つフレームワークの特徴を解説します。さまざまな種類を知っておくことで、最適な方法が選びやすくなります。

「SWOT分析」

SWOT分析では、以下にあげる4つの要素を組み合わせて分析を行います。

・Strength(強み)

・Weakness(弱み)

・Opportunity(機会)

・Threat(脅威)

多くの企業で採用している有名なフレームワークで、自社の内部環境と外部環境を一度に分析できるのが特徴です。

・内部環境:Strength(強み)、Weakness(弱み)

・外部環境:Opportunity(機会)、Threat(脅威)

SWOT分析を用いることで、「自社の強みとチャンスとなる機会がクロスする事業は、積極的に展開していく」などの戦略が立てられます。

「3C分析」

3C分析では、以下にあげる3つの要素について分析を行います。

・Custome(顧客)

・Company(自社)

・Competitor(競合)

各要素の分析により、顧客が望んでいるモノ・コト、自社が展開できるサービス・商品、競合他社の状況を把握できます。SWOT分析と組み合わせると、機会や脅威といった流動的な要素を含めた分析が可能です。

「ファイブフォース分析」

ファイブフォース分析では、次の5つの要素を分析します。

・競合他社の脅威

・新規参入の脅威

・代替品の脅威

・売り手の交渉力の脅威

・買い手の交渉力の脅威

フォース(force)とは、「力」「エネルギー」を意味する用語で、フレームワークにおいては「脅威」を表します。外部環境のなかでも脅威に重点を置いて分析することで、自社のポジションを明確にできます。

「VRIO分析」

VRIO分析は、以下にあげる4つの要素用いて、自社の経営資源を分析する手法です。

・Value(経済的価値)

・Rarity(希少性)

・Inimitability(模倣困難性)

・Organization(組織)

内部環境の分析に特化したフレームワークで、競合優位性や自社のウィークポイントが把握できます。

「4P分析」

4P分析では、以下にあげる4つの要素に着目して自社の課題を洗い出します。

・Product(製品・サービス)

・Price(価格)

・Place(販売場所・チャネル)

・Promotion(販促活動)

商品・サービスの販売戦略にも活用できるため、経営戦略の場だけでなく、マーケティングや営業の現場でも多く用いられている手法です。企業視点の4Pに対して、顧客視点の4Cと呼ばれるフレームワークもあります。

「PEST分析」

PEST分析では、以下にあげる4つの要素から自社の置かれた現状を分析します。

・Politics(政治)

・Economy(経済)

・Society(社会)

・Technology(技術)

法改正や税率変更、技術革新といった外部環境に特化したフレームワークで、マクロの視点から自社への影響を考えることが可能です。対象範囲が広いため、期間や分野をあえて絞ることで分析の負担が軽減できます。

「STP分析」

STP分析では、以下にあげる3つの要素から自社のターゲットを明確にします。

・Segmentation(セグメンテーション)

・Targeting(ターゲティング)

・Positioning(ポジショニング)

市場を細分化し、自社が参入すべきセグメントを明確にできるため、販促戦略で用いられることの多いフレームワークです。経営戦略では、競合がいない市場や自社の強みを生かせる分野を把握するのに役立ちます。

「基本競争戦略」

競争戦略を大きく分けると、次の3つに分類できます。

・コストリーダーシップ戦略

・差別化戦略

・集中戦略

上記の3つをまとめて、基本競争戦略と呼びます。基本競争戦略は、事業の優位性を示すためのフレームワークです。コストリーダーシップ戦略では、開発費用の最適化や独自の販路開拓により、低コスト商品を提供することで自社のポジションを確立していきます。

「7S」

7Sでは、以下にあげる7つの要素から組織を評価します。

・Strategy(戦略)

・Structure(組織構造)

・System(システム)

・Shared value(共通の価値観)

・Staff(人材・スタッフ)

・Style(スタイル)

・Skill(スキル)

要素ごとに細かく分析することで、企業が抱える課題に気づくことができます。7つの要素は、それぞれ以下のハードとソフトに分けられます。

・ハードの3S:Strategy(戦略)、Structure(組織構造)、System(システム)

・ソフトの4S:Shared value(共通の価値観)、Staff(人材・スタッフ)、Style(スタイル)、Skill(スキル)

「PDCAサイクル」

PDCAサイクルは、以下に上げる4つの工程で構成されています。

・Plan(計画)

・Do(実行)

・Check(評価)

・Act(改善)

継続的な業務改善を図るためのシンプルで使いやすいフレームワークです。経営戦略においては、効果測定やブラッシュアップなどで活用できます。

経営戦略の立案の流れ

経営戦略の立案の大きな流れは、次のとおりです。

1.経営理念・ビジョンを明確にする

2.企業の外部環境を分析する

3.企業の内部環境を分析する

4.戦略オプションを立案・選択する

5.戦略を実行する

6.戦略を見直す

戦略オプションでは、ターゲットとする市場や自社のポジションなどを検討していきます。戦略を実行したあとは、PDCAを回してブラッシュアップしていきます。

経営戦略のレベル

経営戦略を策定する際は、次のレベルを考慮する必要があります。

・全社的な企業戦略

・企業内の事業ごとの事業戦略

・企業内の機能ごとの機能別戦略

企業戦略は最も高い階層にあり、中長期的な視点で会社のビジョンや方針を考えていきます。中間層にあるのが事業戦略です。企業戦略に則って、それぞれの事業部ごとの戦略を立案していきます。

最後に、「企画」「営業」「マーケティング」などの機能に分けて、目標を達成するための具体的な取り組みに落とし込んでいきます。戦略に階層をもたせることで、現場の業務に企業の方針を反映することが可能です。

フレームワークを用いる際の注意点

経営戦略を立てるのに役立つフレームワークですが、間違った使い方をしてしまうと高い効果は見込めません。ここでは、フレームワークを用いる際の注意点を解説します。

フレームワークはあくまでも分析手段と心得る

フレームワークは、「あくまでも経営戦略を立案する上での分析手段」と心得ることが重要です。企業の安定した経営のために分析をしていたはずが、いつの間にかフレームワークの研究自体に注力してしまうケースもあります。フレームワークは目的ではなく手段だということを忘れず、ツールとして上手に活用しましょう。

また、経営戦略を策定する手段はフレームワークだけに限りません。ブレインストーミングやマインドマップ、マンダラチャートを使っても思考を整理することが可能です。

目的や事業内容にマッチするものを選ぶ

フレームワークは、目的や事業内容にマッチするものを選ぶことが大切です。フレームワークは種類が多く、それぞれで得意不得意も異なります。たとえば、外部環境の把握ではファイブフォース分析やPEST分析、内部環境の把握では4P分析やVRIO分析といったフレームワークが向いています。

複数のフレームワークを組み合わせる方法もおすすめです。ただし、対象範囲が広くなるほど分析に時間がかかり、精度の低下も懸念されます。分析を行うときは、ある程度の期限を設けて、効率的な実施を心がけましょう。

まとめ

フレームワークを活用することで、客観的かつロジカルに経営戦略が立案できます。フレームワークには、外部環境の分析に向いているものや自社の強みが把握できるものなど、さまざまな種類があります。1つにこだわるのではなく、目的に合わせて使い分けることで、企業の成長に役立つ分析が行えます。

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