従業員持株会とは?制度の仕組みや会社側と従業員側のメリットやデメリットを解説

東京証券取引所がまとめた資料によれば、調査対象3,206社の従業員持株会が保有する株式の時価総額5兆6319億円にもなります。しかし従業員持株会がどのようなもので、企業や従業員にどんなメリット・デメリットがあるのは意外と知られていません。そこで配当やモチベーション、議決権など、企業や従業員に関連するポイントを中心にまとめてみました。

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従業員持株会とは

従業員持株会とは、給与や賞与から一定の金額を天引きし、組合を通じて従業員が自社の株を取得するという仕組みです。従業員にとっては財産形成になり、また配当金を受け取ることができます。会社側にとっては、従業員の自社株取得を容易にし、財産形成を助成する制度です。自社株取得に際し会社側は拠出金の給与控除や奨励金などのインセンティブをつけることで、従業員に購入を促すことができます。

従業員持株会の会社側のメリット

従業員持株会の制度を使うことで、会社側にはどんなメリットがあるのでしょうか。

経営者の相続財産を減らすことができる

まず経営者の相続財産を減らすことができるという、事業承継におけるメリットがあります。株式を社外に流出させることなく、経営権に影響しない程度の株を従業員持株会に売却することで、自社株の評価額を減らすことができ、結果として会社を引き継ぐ人の税負担を減らすことが可能になります。

経営の安定化

また経営が安定するというメリットも見逃せません。
従業員(従業員持株会)が自社の株を保有することは、安定株主が増えるということ。従業員は自らの仕事であり生活を支えるためにも、会社の経営には基本的に賛同している場合が多いでしょう。また社外からの敵対的買収への防衛策としても有効な手段にもなります。

従業員の意識の向上

従業員にとっては、会社の業績や利益が上がるほど、取得した自社株の配当が多くなり、価値も上がります。従業員であり、株主でもあるという立場は、仕事へのモチベーションや意識が高まり、経営者と近い目線で会社の仕事に従事するということになるでしょう。また給与や賞与の代わりとして持株配当が増えれば、福利厚生としての機能も果たすことになり、組織の価値も高まっていくでしょう。

従業員持株会の会社側のデメリット

議決権の問題

株主となった従業員は、株主総会の議決権をもっていますので、議決権保有率によって、帳簿閲覧権や提案権、代表訴訟提起権を行使することができます。経営に影響が及ばない程度で従業員持株会を設置する場合がほとんどなので、こうした問題は防ぐことはできますが、場合によっては安定的な経営を阻害する可能性も出てくるでしょう。対策として、持株会に対して議決権をなくすという対応が考えられます。

配当

配当の負担もデメリットのひとつと言えるでしょう。従業員持株会に対して配当を出すことが求められますので、たとえ業績不振になっても配当を出し続ける必要があります。その負担が経営へ影響することが考えられるのです。もし配当が出せなくなってしまうと、株を所持している従業員の会社への信頼は低下し、仕事へのモチベーションも下がってしまうおそれがあります。

従業員持株会の従業員側のメリット

では従業員にとってはどんなメリットがあるのでしょうか。

資産形成

従業員にとってのメリットとして上げられるのは、自社株とその配当という資産形成の新たな選択肢が手に入ることです。従業員持株会に入ることで、毎月一定額が自社株投資にあてられ、また配当も定期的に入り、手間も少なく魅力的な資産形成になるでしょう。会社側が自社株の購入を促すために、奨励金などのインセンティブを付すことも、資産形成にとってはプラスとなるでしょう。

働く意欲

従業員にとっては、会社での仕事における成功が、自分の所持している資産と連動していることで、仕事へのモチベーションアップに繋がるというメリットもあります。これは従業員が経営者と近い目線で仕事ができるということとも言え、パフォーマンスも向上すると言えるでしょう。

従業員持株会の従業員側のデメリット

一方でデメリットもあります。
会社が倒産する可能性です。会社の倒産は従業員にとって仕事が無くなるだけでなく、積み立ててきた資産も失うことを意味します。自社株は会社での仕事のモチベーションとしても機能する一方で、仕事も資産も会社に依存してしまうという危険性があると言えるでしょう。
また一般的な株式投資とは違い、価値の上下を見てトレードをするような行為は難しく、キャピタルゲインも無いということで、比較的自由度の低い資産形成の方法と言えるかもしれません。

従業員持株会の導入する際の留意点

導入にあたっての留意点にはどんなものがあるでしょうか。
設立する従業員持株会は組合とすることが一般的です。組合の仕組みを使うと、登記や官公庁への届け出の手続きがないため比較的容易に設立が可能です。
また、組合の設立にあたっては設立発起人が必要になります。発起人は、設立後の理事長及び理事会の役員になる人が選ばれることが多いようです。自社株に関連する業務は総務が担うことが多いので、総務部長が理事長候補になることが一般的です。
留意点としては、配当金の支払い基準をはっきりと示すこと。自社株は第三者に売却できないため、持株会の会員は配当によるリターンしかありません。配当額の割合が明確に示されていない、従業員の不信感や不安がうまれ、持株会の運営にも、業務にも支障が出るおそれもあります。
また、従業員が退職などで持株会を脱退する場合の買取価格も明確にしておくことがあります。買取価格に不満がでるケースなどは極力避けたほうがいいので、規約などで価格の算出方法を明記しておくのがよいでしょう。
そして持株会に参加できる条件を従業員にはっきりと示しておくことも大切です。勤続年数が何年以上なら持株会に参加できるか。他にどんな条件があるのか、明確にしておくのがよいでしょう。

従業員の離職や転職を防ぎ、会社の経営を安定させるためにも、持株会に関するルールをはっきりと示すことは重要なポイントになります。

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