事業承継とは?事業継承との違いや中小企業の経営者が知っておきたい基礎知識

経営者として事業継承をどうするのかは大きな問題です。人生100年時代とはいえ、ずっと会社の先頭を走り続けていくわけにはいかないからです。しかも事業継承には時間もかかります。社内が混乱せず、かつ通常業務も滞らないようにするためにはどうしたらいいのか、悩みは尽きないものです。そこで事業承継の方法やポイントをまとめてみました。全体像が理解できれば、それが事業継承の一歩となります。

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事業承継とは?事業継承との違い

事業承継とは、かんたんに言うと事業や会社を後継者に引き継ぐことです。株式の譲渡による承継が一般的ですが、他にも事業や関連する資産だけを譲渡するパターンもあり、その内容は様々です。

事業継承との違い

事業「承継」と似た言葉に、事業「継承」があります。「承継」は、経営理念や事業などを引き継ぐとき、「継承」は身分や権利などを次の人や組織に受け継ぐ際、使われることが多いようです。事業を受け継ぐ場合には、国が定める法律に、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(中小企業経営承継円滑化法)」があるように、「承継」を使うことが一般的といっていいでしょう。

構成要素(経営者・資産・知的財産)

事業承継で引き継がれるのは、大きく分けると「経営」「資産」「知的財産」の3つになります。
「経営」の承継とは、新しい経営者への引き継ぎです。これは家族や従業員の場合もありますし、別の組織ということもあります。「資産」の承継とは、株式や資金、許認可権など会社が所持している様々な資産の引き継ぎを指します。「知的財産」の承継とは、経営理念やビジネスのノウハウ、顧客や人脈などの無形の資産を引き継ぐことです。

承継の4つの選択肢

事業承継は大きく分けて4つの選択肢が存在します。以下でそれぞれを見ていきましょう。

①親族内承継

親族内事業承継は、経営者の妻や子ども、あるいは兄弟姉妹に経営を引き継ぐ方法です。もっとも多く見られる事業承継のパターンであり、経営者の理念や考え、人脈を継ぐことが比較的容易な方法と言えます。

②親族外承継

親族外承継は、親族以外へ事業を引き継ぐ方法です。長年会社の事業に携わってきた従業員や役員、専門性の高い外部人材などがその候補になります。
中小企業庁の調査では、これまでは親族が事業を引き継ぐことが一般的でしたが、近年は子どもにその意志が無いなど別の選択肢をとるケース、親族外承継が増加しています。1991年には11.9%だった親族外承継は、2019年には44.6%と大幅に増えています。

③M&A

外部企業に事業を売却するM&Aも事業継承のひとつです。買収先企業とのシナジーや資金力などの期待ができることや、従業員の雇用を守りやすいことなどがメリットで、比較的規模が大きく、将来性も大きい中小企業では有力な選択肢と言えます。

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④株式上場

株式を公開し上場して自社株を売るという方法もあります。株式を売却して得られる潤沢な資金が活用できるため、成長を目指す企業にとってはメリットが大きい選択肢になります。

事業承継を成功させるポイント

これまで見てきたように、事業承継には複数の方法があり、メリットやデメリット、リスクも様々ですが、成功のためのポイントやリスクに共通するものがあります。

①引き継ぎ者との十分なコミュニケーション

まずは引き継ぐ人や組織との十分な事前コミュニケーションが重要です。後継者として子どもなど親族を指名する場合では、新しい経営者として就任する前に入社してもらい、会社の事業について深く理解し、また先輩である社員たちともよい関係を築いているとよいでしょう。また事業内容や業務の進め方だけでなく、根本となる経営理念についても十分理解してもらうことが、成功には不可欠です。M&Aなどのように他の組織に事業承継が行われる場合でも、事前の準備期間などが十分あり、両社の間で十分なコミュニケーションができていることが望ましいと考えられます。

②資金や金銭面での課題のクリア

事業継承は会社にとって大きな変化となります。経営者の交代や組織の変更は、既存の事業にも当然大きな変更を及ぼすため、財務面での安定は必要不可欠な要素といっていいでしょう。事業承継に際して利用できる公的な補助金などの活用も検討するとよいでしょう。また家族への承継では、遺産や贈与に伴う税金の問題など、お金に関するトラブルも起こりがちです。専門家に相談しつつ、不明瞭なお金の動きなどはクリアにして望むことがポイントになります。

③しっかりとした計画作成

事業継承は思い立っても、すぐに実行できないことが多いでしょう。引き継ぐ人の育成まで含めると、かなりの時間を要するからです。また引き継ぐ人を支えるブレーンをどうするのかといった問題もあります。いずれにしてもしっかりした計画を立てて、地道に調整を進めていくことが必要です。

事業承継を成功させる注意点

①人選ミス

特に家族の間での継承で起こりやすい問題です。事業を引き継ぐのにふさわしくない人、まだ能力や経験が十分でない人に継承を行うことで、事業の継続がままならなくなったり、社員の人心が離れてしまったりすることなどもよくある話です。

②金銭面のリスク

ポイントでも上げたとおり、財務の安定性や透明性が確保できないことは事業の継続にとって大きなリスクとなります。遺産の相続を原因とした家族間の不和や、事業を引き継ぐ組織との金銭面での課題などは、事業承継が失敗する大きな要因になります。

③社内環境の混乱

事業継承では、会社のトップが変わります。特にオーナー企業の場合は、トップが変わることは大きな変化です。オーナーの人柄や実力、オーナーとの関係性に魅力を感じて働いている社員も多い中小企業では、こうした変化は人心が離れるきっかけになることもあります。ポイントにもあげておいたように、社内コミュニケーションを丁寧に行い、理解を深めることを怠ると、離職や退職が増え、事業の継続性が不安定になる可能性があります。

事業承継税制と補助金

事業承継税制とは

事業承継税制は、平成30年度税制改正時に拡充され、時限措置として設けられた制度で、中小企業の株式を相続や贈与で引き継いだ後継者が、一定の要件を満たすと相続税や贈与税の納税を猶予されるというものです。もともとは平成21年の税制改正でできた事業承継税制ですが、あまり利用が浸透せず、日本経済に与える影響も大きいことから、様々なインセンティブをつけて事業承継の後押しをしようということで拡充されました。
拡充の内容としては、対象になる株式が100%(改正前は発行済議決権株式総数の3分の2)になったこと。相続税の猶予割合が80%から100%になったこと。前任者と後継者は、改正前はそれぞれ1人しか認められていませんでしたが、現在は複数の株主から最大3名の後継者が認められるようになったこと、などがあります。

事業承継補助金とは

この活用を後押しする補助金が、事業承継補助金です。Ⅰ型「後継者承継支援型」とⅡ型「事業再編・事業統合支援型」の2種類があります。
Ⅰ型「後継者承継支援型」は、後継者が取り組む新たな事業における経費の一部を補助するもの。
Ⅱ型「事業再編・事業統合支援型」は、他社とのM&Aや事業統合などを行った際の新たな取組にかかる経費の一部を補助するものです。対象となる事業については、業種や資本金額、常勤従業員数などが定められているので、該当するかどうか検討する必要があります。

事業継承は、オーナー経営者の利益や想い、そして従業員の雇用や顧客へのサービスを持続させていくための重要な取り組みになります。十分な準備と検討をもってチャレンジしてください。

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