不動産DXが必要なこれだけの理由!DX導入のメリットと課題を解説

最近は、あらゆる業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が進んでいます。

それは不動産業界も同様で、必要性を感じていながら「何からどう始めればいいの?」と迷っている経営者様も多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産業界におけるDXの基本と導入によるメリット、そして課題を解決するためのポイントを徹底解説します。

 

不動産業界におけるDXとは?DX推進の背景と基礎知識

なんとなく必要になってきそうな不動産業界のDXについて、具体的に考えてはいないという経営者様は多いでしょう。

とはいえ、不動産業界のDXがどのようなものを指し、どのようなメリットをもたらすのか理解しなければ次の段階へは進めません。

まずは、不動産業界におけるDXの位置付けと、それを阻む業界特有の要因について考えてみます。

 

国土交通省も推進している不動産業界DX

IT化やデジタル技術の発展に伴って注目を集めるようになったDXは、経済産業省が旗振り役となって推進してきました。

そのような中にあってDX化が遅れているといわれているのが不動産業界で、宅地建物取引業法を所管する国土交通省も、DXを後押しすべくさまざまな施策を出し始めています。

より具体的には「不動産分野におけるDXの推進について」において、以下の点について規制緩和を行うとしています。

  • 宅地建物取引業法におけるアナログ規制の見直し
  • 宅地建物取引業免許申請等のオンライン化
  • 不動産取引オンライン化

これらは不動産業界特有の行政手続きに関するものですが、必要とされるDXの本質は業務プロセスの効率化とビジネスモデルの刷新にこそあります。

今後さらなる規制緩和とともに、不動産業の新たなビジネススタイルが生み出されるので、これに乗り遅れることは大きなリスクになると理解しましょう。

 

出典:不動産分野におけるDXの推進について

 

不動産業界のDXとはどんなことを指すのか

不動産業界におけるDXとは、業務にIT技術を積極的に導入することで物件や顧客の管理、書類で行っていた手続きなどをデジタル化することが入口になります。

あえて「入口」というのは、業務のデジタル化にとどまらず、業務プロセスの大変革や新しいビジネスモデルの創出までを目指す取り組みだからです。

不動産DXについてIT化と混同して語られることがありますが、DXとIT化は少しベクトルの異なる概念です。

IT化は既存の業務プロセスを効率化することにとどまりますが、DXは経済産業省が定義するとおり「ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」となります。

過渡期の今だからこそ、一刻も早いDXの検討が望まれる状況です。

 

不動産業界に残る不効率な業務

不動産業界においては、現在においても契約書や重要事項説明書などが紙媒体を用いて作成されたり、顧客や業者との連絡が音声通話で行われていたりと、かなりアナログな業務が残っています。

来客対応や内見対応などを含めて、業務の多くがマンパワーに頼っている側面が色濃く、考えようによっては「DXで改善の余地がいくらでもある」のが不動産業界です。

もちろん対面で行わなければならない業務は今後も残りますが、不動産業界特有の商慣習という固定概念は捨て去るべきでしょう。

 

深刻化する人手不足対策

不動産業界は非効率的な業務が多く残っていて、結果として長時間労働が常態化し、深刻な人手不足が見られます。

人手不足が深刻化すると、残業や休日労働が増えることになり、業界全体の離職率も高くなるという悪循環です。

不動産DXを推進することにより、業務の自動化や効率化を図ることができ、結果として人手不足対策にもなるでしょう。

 

多様化する顧客ニーズへの対応

ひと昔前まで、不動産探しといえば紙媒体あるいは不動産屋へ直接訪問するのが一般的でした。

しかし近年は、ほとんどの方がパソコンやスマホを利用して、インターネットの不動産情報を検索することが主流です。

また顧客ニーズも新築物件だけにとどまらず、中古物件・リノベーション物件・スマートホーム(IoTやAIの技術を活用した住居)など多様化しています。

これだけ扱うべき情報が多くなれば、従来型のアナログ業務では破綻してしまうのは自明です。

 

不動産DXで実現できるメリット

不動産DX メリット

うまく活用するという条件はつくものの、不動産DXによって享受できるメリットは少なくありません。

ここではDXで不動産業界が受けるメリットについて、より具体的に考えてみます。

 

業務の効率化による生産性の向上

不動産DXは、従来型のアナログ業務を大きく減らし、デジタルシフトすることで業務を大幅に効率化することが可能です。

不必要な業務を減らすことは労働生産性を大きく向上させ、利益率の向上や労働者負担の軽減などを実現できるでしょう。

具体的には、物件や顧客の情報の一元管理や契約書類の電子化、オンラインによる内見など、あらゆる業務を簡略化・スピード化することが可能です。

これは不動産業界にとって一石二鳥ともいえる改革で、ある意味でDXこそ業界で生き残っていく上で必須の取り組みだといえます。

 

顧客対応のオンライン化により可能になること

物件の説明や内見など今まで対面で行っていた顧客対応は、Web接客システムを活用することで多くの可能性が広がります。

例えば進学や就職、転勤などの場合、遠方から物件を探すようなケースが少なくありません。

従来であれば限られた時間の中で物件の内見や契約を対面で行っていたのが、オンライン化することによって顧客の負担だけではなく、不動産業者の負担も軽減できます。

 

契約手続きの電子化で大幅な時間短縮が可能

ひと昔前の不動産業界では、物件の売買や賃貸借に関する契約は書面で交わすことが必要でした。

しかし2022年5月から不動産取引における書面の電子化が全面解禁され、契約書の作成から締結までをオンラインで完結することが可能になっています。

顧客に来店してもらう手間を省けるだけではなく、不動産業者も業務を大幅に簡略化でき、印紙代や郵送料などのコストも削減可能です。

 

オンラインサービスによる顧客満足度の向上

不動産DXは、不動産業者の業務効率化だけにはとどまらず、顧客満足度の向上へも直結します。

以前までの不動産取引のように、顧客へ来店や物件の内見のため足を運んでもらう必要もなくなり、大きな負担軽減になるでしょう。

また、VR内見システムを活用することで、顧客は24時間いつでも気になる物件を疑似内見できます。

このようなサービスは、少なくとも業界で一般化するまでは自社のセールスポイントになるでしょう。

 

DXで新たなビジネスモデルを創出

不動産DXは、どちらかといえば既存の業務を改善し、生産性を上げることに注目が集まっています。

しかし不動産DXは、今までと違ったビジネスプラットフォームを生み出す可能性も秘めていて、うまく活用すれば他社に先んじたビジネス展開も可能です。

小さな不動産業者であればビッグデータの活用は難しいでしょうが、得意な地域における不動産市場の分析や予測サービスの提供は十分可能性があります。

また、AIを活用した不動産投資アドバイスや物件情報の蓄積など、新たな収益源を築くことも考えられるでしょう。

 

業界が抱える不動産DXへの課題とその解決策

不動産DX 課題

口で言うのは簡単でも、今までのスキームにDXを融合させるのは簡単なことではありません。

そこで、ここからは不動産DXについて考えられるハードルと、その解決策について説明します。

 

DXの導入コストと人材難

不動産DXを推進しようとする際に立ちはだかる最大の壁が「システム導入のコスト」と、「IT人材の不足」の2つです。

システム導入にかかる設備投資とランニングコストは、決して軽視できるものではありません。

また、アナログ業務が多かった事業者ほど、システムを管理できるIT人材の確保は難しいのが現実です。

多額なコストをかけながら結局はシステムを使いこなせず、いつの間にかアナログ業態に戻っていたという事態は絶対に避けなければなりません。

 

今までのアナログ業務の刷新が難しい

不動産会社の多くには独自ルールがあり、それをDXの推進に合わせて刷新していくのは、思っているより大変な作業になります。

社内業務だけではなく、不動産取引には地域によって慣行の違いも大きく、一気にDXを推進するのはリスクが大きいかもしれません。

独自ルールに染まった社内環境をDXの旗印だけで一変させることは、大きな反発を招く可能性もあります。

特に中小の不動産会社にとっては、大目標を定めながらIT化の延長でDXをゴールとするやり方が無難なケースもあるでしょう。

 

システム選定のポイントと問題解決策

不動産DXといっても、実際にシステムを導入するとなると「何をどうしていいのか分からない」となりがちです。

最初に考えておくのは、不動産DXを活用してどのような会社にし、それを顧客や社員へどう還元するのかという点でしょう。

その上でシステム選定を進めますが、大きく分けると「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。

クラウド型は、システム提供会社のサーバー内に自社領域を持ち、そこへアクセスすることで使用するものです。

それに対しオンプレミス型は、自社でサーバーを持ち管理するシステムで、自社専用ともいえるシステムになります。

現実的には初期投資を抑え、月額料金だけで利用できるクラウド型がオススメですが、さまざまなシステムが提供されているので迷うことも多くなるはずです。

その悩みを解消するためには、できるだけ多くの選択肢を考え、多くの実例を知っておくことが必要となります。

イメージや先入観だけで決めてしまうのはリスキーなので、多くの資料を比較検討しましょう。

 

まとめ

不動産業界はDXが遅れているといわれますが、昭和スタイルの「紙だけ」という不動産会社はほとんどないでしょう。

ある程度進んでいるであろうIT化の先に待っているのが不動産DXであり、残念ながらこれを無視することはできません。

不動産DXが一般化してからでは手遅れになりかねないので、「できることから始める」という気持ちで、不動産DXを検討しましょう。