経営戦略と人事戦略の違いとは?それぞれの重要性を解説

経営戦略と人事戦略には密接な関わりがあります。一方で、経営戦術や事業戦略、戦略人事など似た用語も多く、正しく理解できていないケースも少なくありません。この記事では、経営戦略と人事戦略について、それぞれの概要や手順、似た用語との違いを解説します。経営戦略と人事戦略を連携させる重要性もまとめているので、ぜひ参考にしてください。

経営戦略とは

企業の継続的な成長のためには、経営戦略が欠かせません。まずは、経営戦略の定義と重要性を見ていきましょう。

経営戦略の定義

経営戦略とは、企業がビジョンや目的を達成するための計画です。経営資産であるヒト・モノ・カネの分配が最適化できるよう、中長期的な方針を作成します。また、施策を実行するための仕組みづくりも経営戦略の1つです。企業全体の戦略が策定できたら、事業部や現場レベルごとの戦略に落とし込んでいきます。

経営戦略の重要性

経営戦略が重視されるのは、企業を取り巻く環境の変化が年々激しくなっていることも理由の1つです。インターネットの発達やグローバル化により、市場の動向や顧客ニーズは、刻々と変わっています。従来通りの経営ではスムーズにいかないケースも増えているため、新しい時代を見据えた経営戦略が必要とされています。

経営戦略と経営戦術・事業戦略との違い

続いて、経営戦略と経営戦術・事業戦略との違いを解説します。同じような言葉ですが、それぞれに明確な違いがあります。

経営戦術との違い

経営戦略と経営戦術の違いは、対象となる期間にあります。経営戦略は長期的な視点から設計されますが、経営戦術は短期的な行動の指針という位置づけです。基本的に、戦術は戦略をベースに立案されるため、経営戦術は「経営戦略を実現するための施策」といえます。

事業戦略との違い

経営戦略と事業戦略の違いは、対象となる規模にあります。経営戦略は企業全体の長期的な成長方針ですが、事業戦略は事業部や部門ごとに細分化された方針です。立案の順番としては、まず経営戦略を決め、そのあとに具体的な事業戦略に落とし込んでいきます。

経営戦略を立てる手順

ここでは、経営戦略を立てる手順を3つのステップで解説します。経営戦略は、企業の方向性を決める重要な方針です。内部環境や外部環境を分析しながら、計画的に策定していきましょう。

経営理念・目標を策定する

まずは、企業の存在意義やビジョンを明確化するために、経営理念を決定します。経営理念は、文章になっていても、キャッチコピーのようなものでも構いません。実際に、日本企業の経営理念には、さまざまなパターンが存在します。経営理念が決まったら、実現に向けた具体的な目標を定めていきましょう。

戦略ドメインを決める

続いて、戦略ドメインを決定します。ドメインとは「領土」「領域」を意味する用語で、戦略ドメインは「企業が製品・サービスを展開する事業領域」を指します。戦略ドメインの策定には、自社の強みや競合の脅威といった多角的な分析が欠かせません。経営戦略に役立つフレームワークなどを活用しながら、企業の利益につながる領域を見つけていきましょう。

経営戦略を固める

最後に、戦略ドメインに基づいて経営戦略を固めていきます。経営戦略の策定は、トップダウン方式で進めるのが基本です。内部環境と外部環境の分析を行い、自社の状況を正しく把握することで、企業の成長につながる戦略が立てられます。事業部や部門ごとの具体的な目標を決めるときは、経営戦略と矛盾やズレが生じないよう注意しましょう。

人事戦略とは

労働人口が減少し、人手不足が社会問題となっているなかで、人事戦略に取り組む企業が増えています。人事戦略とは、人材に関わる業務を見直すことで、企業の生産性を高めていくための計画です。人材の採用や配置、育成をはじめ、人事にまつわるすべての業務が人事戦略の対象となります。また、人事体制や組織体制の構築なども人事戦略に含むケースが多いです。

人事戦略の重要性

デジタル技術の発達により、価値観が多様化したことも人事戦略が重視される大きな要因です。ここからは、人事戦略が重視される具体的な理由を2つ紹介します。

人材の定着と離職防止

労働市場が流動化し、転職が容易となったことで、人材の定着に課題を抱える企業が増えています。従来の人材マネジメントが通用しないなかでは、人事戦略による解決が必要不可欠です。たとえば、スキルアップを評価する仕組みづくりや副業の解禁などの施策によって、従業員のエンゲージメントを高めることができれば離職防止につながります。

タレントマネジメントに役立つ

タレントマネジメントとは、従業員のスキルや能力を組織内で横断的に活用する手法です。タレントマネジメントでは、人材を大切な経営資源の1つとして捉え、効率的な活用方法を検討していきます。人事戦略を立てることで、適材適所の人員配置が可能となり、企業としての生産性向上も期待できます。

人事戦略と戦略人事の違い

人事戦略と似た用語に、戦略人事があります。字面は似ているものの、目的や権限の範囲が異なるので意味を押さえておきましょう。

人事戦略の遂行に戦略人事が必要

人事戦略は、社内人事の範囲内で業務の生産性を上げるための施策を講じる手段です。一方、戦略人事は、企業が掲げるビジョンの実現を目的としており、人的経営資源の適切な管理を目指します。

戦略人事はトップダウンで決められることが多いのに対し、人事戦略は担当部門の権限で施策の実行が可能です。人事戦略は戦略人事をもとに、日々の業務の効率化を図っていきます。

人事戦略を立てる手順

ここでは、人事戦略を立てる手順を4つのステップで解説します。議論や意思決定をスムーズに行うためには、SWOT分析やロジックツリー分析などのフレームワークも活用しましょう。

経営戦略と連動した目標を立てる

人事戦略では、経営戦略と連動した目標を立てることが重要です。経営戦略に「新規事業の拡大」が含まれているのであれば、実現に向けた採用活動や人材育成の施策を打ち出す必要があります。目標を考える際は「新規事業のために200人採用する」「全従業員の20%をIT人材として育成する」など、具体的な数値を決めていきましょう。

現状と課題を把握する

次に、自社の現状と課題を把握します。フレームワークを用いることで、現状と課題を効率よく可視化することが可能です。従業員へのヒアリング・アンケートを実施する場合は、長期的にデータを収集することで、正確な判断がしやすくなります。

人事におけるペルソナを定める

ペルソナとは「仮面」を意味するマーケティング用語で、実在しているかのような詳細な人物像のことです。人事戦略では「自社に必要なスキルや価値観を備えたペルソナ」を設定します。ペルソナを定めることで採用や人員配置の基準が明確化され、配属後のミスマッチ防止にも効果的です。

具体的な人事計画を決定する

最後に、具体的な施策や人事計画を決定します。人事計画では、採用活動や人員配置、人材育成に一貫性を持たせることが大切です。現状や課題を踏まえて、現実的な解決策に落とし込んでいきましょう。

経営戦略と人事戦略を連携させる重要性

人材は企業活動を支える大きな要素です。経営戦略を実現し、企業が成長を続けるためには、人事戦略の立案と実行が重要です。高いコストをかけて優秀な人材を確保しても、活躍できる場がなければ会社の利益にはつながりません。

また、知識やスキルを生かせない部門への配属は、従業員のエンゲージメントを低下させるおそれがあります。人事戦略を検討する際は、経営戦略に役立つような方向性になっているかをしっかりと確認しましょう。

 

まとめ

環境の変化が激しい時代において、市場での競争力を高めるためには、優秀な人材の確保が不可欠です。人事戦略を立てるときは、経営戦略と連動した施策を打ち出すことで、自社が抱える課題の解決が期待できます。

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