近年「不動産テック」という言葉を聞く機会が、急激に増加しています。この記事では、不動産テックの基本情報から注目される理由、成長の流れ、おもなサービス・商品、活用するメリットなどを解説しています。自社への不動産テックの導入を検討している人は、参考にしてください。
この記事の目次
そもそも不動産テックとは?
不動産テックとは、そもそもどのようなものでしょうか。定義やビジネスモデルを解説します。
不動産テックの定義とは?
不動産テックとは、「不動産」と「テクノロジー」を合わせた造語です。インターネットやIT、テクノロジーの力によって、不動産売買や賃貸などに新しい仕組みを作ったり、取引の新しい在り方を目指したりすることです。
不動産業界だけでなく、消費者にとっても変革に繋がります。近年では数多くの企業が不動産テックに参入し、新たな技術を活用したサービスを提供しています。
不動産テックのビジネスモデルとは?
不動産テックは、ビジネスモデルが幅広いことが特徴です。たとえば、管理・仲介業務支援サービスやAIによるマッチングの推進、価格の可視化、VRでの疑似内覧、IoTを活用したスマートホームなどが当てはまります。また、不動産業界だけでなく、フィンテックや建築テックなど、他業種のテクノロジーとも関係性が深くなっています。
不動産テックが注目される理由
不動産テックは近年、急激に注目を集めています。注目される、おもな4つの理由を解説します。
不動産業界のデジタル化の遅れ
不動産業界全体として、デジタル化が遅れています。不動産取引業務を定めた「宅地建物取引業法」が原因の1つであり、不動産取引の際には宅地建物取引士を所持する人物が宅建士証を見せ、口頭と書面で重要事項を説明しなければなりません。
2017年からは国土交通省によって「IT重説」の運用が始まり、非対面での説明が可能となりましたが、あまり普及しておらず業界全体としてのデジタル化は遅れています。不動産業界にはステークホルダーが多く、すべての足並みが揃わなければデジタル化は難しいでしょう。
情報が不透明
一般的には、取引される商品・サービスについて、取引する両者が豊富な情報を保有する状態が理想的です。不動産業界では仲介業者が多くの情報を持っている一方で、不動産のオーナーや消費者は情報不足であるケースが多いため、不利となる場面が数多くみられます。
取引する双方で保有する情報量に偏りがある「情報の非対称性」は、長年にわたって不動産業界の問題とされています。
データベースの不備
総務省による「平成30年住宅・土地統計調査」では、日本国内の空き家は約849万戸、空き家率が13.6%と、ともに過去最高を記録しました。空き家の増加は、地域の問題だけでなく社会問題となっています。
従来の不動産システムでは取引履歴やリフォーム歴、管理状況などがデータベース化されていないため、中古物件市場の動きが円滑でないことが1つの原因とされています。
参考:統計局ホームページ/平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果
新たな価値の創出
以前は建築や設備など、ハード面への要求が多かったものの、近年ではサービスをはじめとしたソフト面や新しい価値が重要視されています。たとえば、シェアオフィス事業を展開する「WeWork(ウィワーク)」では、コワーキングスペースを活用した働き方やユーザー同士のネットワークなど、新たな価値を生み出すことに成功しました。
情報を透明化したり現在の業務を効率化したりすることに限らず、テクノロジーを活用して生活の変革に繋がる、新たな価値を創出することが期待されています。
不動産テック成長の流れ
不動産テックの市場規模は、世界的に右肩上がりで成長を続け、今後も成長が期待されています。どのように不動産テックが始まったのか、またアジアと日本国内での成長について詳しく解説します。
不動産テックの始まり
不動産テックは2010年頃、アメリカで注目され始めました。わずか4年後の2014年には、不動産テック関連のベンチャー企業による累計資金調達額が、10億ドルに到達しました。
2016年頃までにテクノロジーを駆使した業務管理支援や価格の可視化、不動産情報のデータベース化などに取り組む企業が誕生し、近年のアメリカでは年間200兆円もの市場規模となっています。
アジアでの不動産テック
アジアでも、不動産テックの成長が続いています。なかでも中国では著しく、アジアの不動産テック企業の約30%が中国企業ともいわれます。また、シンガポールでは2014年に国として「Smart Nation Singapore」を掲げ、デジタル技術やデータを活用してスマートシティ化を目指すと発表しました。
日本の不動産テック
日本国内でも、不動産テックを提供する企業が次々に誕生しています。不動産市場は40兆円もの市場規模があるため、大きなポテンシャルがあると期待されています。2019年には、国内初の不動産テックに特化したファンドが設立されました。今後も、日本の不動産テック市場は成長すると予想されています。
不動産テックの主なサービス・商品
不動産テックには、どのようなサービス・商品があるのでしょうか。代表的な4つを解説します。
AIによる解析
物件情報といったビッグデータをAIで解析し、得られた結果を幅広い用途で活用できます。物件の情報や周辺情報、階数、方位などの情報からAIが価格を予測して算出したり、チャットボットを活用して物件検索ができたりします。AIを活用することで、マッチングの精度向上が期待できるでしょう。
IoTによる利便性向上
IoTとは、身の回りのあらゆる品をインターネットに接続する仕組みです。鍵や照明、エアコンなどの遠隔操作が可能になり、不動産の利便性が向上すると期待されています。
スマートフォンといったデバイスで解錠・施錠する「スマートロック」では、鍵の受け渡しが不要になるだけでなく、セキュリティの強化にも繋がることもメリットです。入居者向けだけでなく、不動産業務を支援するツールもみられます。
VR・ARによる疑似内覧
VR(仮想現実)を活用すると、多忙で内覧に行けない人でも疑似内覧が可能です。不動産企業としても、契約の機会損失を防げます。
また、AR(拡張現実)を活用すると3D空間に間取りを再現でき、入居前に家具や家電、使用材質のレイアウトをシミュレーションできます。VRやARの活用によって、契約前の不安を解消したり、契約後のトラブルを予防したりする効果が期待できるでしょう。
ブロックチェーンによる情報管理
ブロックチェーンとは、取引のデータをインターネット上の、複数のコンピューターによって記録を共有し、正しい記録を蓄積する仕組みです。記録の改ざんが難しく、不動産業界だけでなく、さまざまな分野で活用されているものです。たとえば、不動産ポータルサイトでブロックチェーンを活用して情報管理をしたり、権利移転記録の実証実験を進めたりされています。
また、ブロックチェーン上で契約情報を記録する「スマートコントラクト」では、条件を満たすと契約が自動更新され、不動産取引の効率化に繋がることが期待されています。
不動産テックを活用するメリット
不動産テックを活用すると、情報の管理や生産性向上にメリットがあります。それぞれを詳しく解説します。
情報の一元管理が可能
不動産テックを導入することで、各企業がそれぞれ持っていた情報を1つのデータベースに集約し、情報を網羅できます。取引する両者が透明性の高い情報を共有できるため、取引が活性化すると期待されます。情報を一元管理することで物件情報の共有も円滑になります。
生産性向上に繋がる
不動産業界では、契約書の作成や管理、従業員の教育などに業務時間を取られる場面が多くみられます。不動産テックを導入することで従来時間がかかっていた業務を短縮でき、その時間を他の業務に当てられるようになります。業務の短縮により、結果として生産性向上に繋がるでしょう。
まとめ
不動産テックとは、インターネットやIT、テクノロジーの活用により、不動産売買や賃貸などに新たな仕組みを作ったり、取引の新しい在り方を目指したりすることです。アメリカで注目され始め、日本でもさらに成長すると期待されています。
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