事業承継が失敗する理由とは|原因や失敗しないためのポイントなど徹底解説

昨今、経営層の高齢化の影響から、企業や事業の存続のために「事業承継」に取り組む企業が増えています。事業承継を成功させるには、失敗例や失敗してしまう要因を理解し、十分な準備と対策が必要です。

この記事では、事業承継における失敗例や失敗を回避するためのポイントなどについて解説します。事業承継でのトラブルを回避するためにも、ぜひお役立てください。

事業承継とは

事業承継(じぎょうしょうけい)とは、自分の子供や親族、従業員または第三者から後継者を選び、会社や事業を引き継いでもらうプロセスを指します。経営者が引退したり、突然亡くなったりするケースに備え、会社や事業を存続させるために取る方法の1つです。

会社や事業そのものだけでなく、関連する資産や人材、株式なども引き継ぐため、さまざまな手続きや対策が必要となります。

事業承継における「失敗」とは

事業承継は、うまくいけば会社や事業を存続させるのに有効な手段ですが、失敗するケースもあるので注意が必要です。

以下では、事業承継が失敗してしまう要因について解説します。

廃業する

事業承継によって、業績が悪化してしまったり、思ったような成果が出なかったりすると、廃業に追い込まれてしまうケースがあります。

また、事業承継の準備や手続きが上手くいかず、承継する前に急病により経営者が引退したり、突然亡くなったりした場合でも、廃業せざるを得ません。

業績が悪化する

業績の回復や改善を狙って事業承継したにもかかわらず、逆に悪化してしまうケースもあります。廃業は免れたとしても、そのまま回復できなければ、結局廃業につながるでしょう。

業績は悪くなかった会社や事業でも、事業承継によって低迷してしまうケースもあります。

退職者が増加する

事業承継では、経営者が他の人に代わるため、多少なりとも経営方針が変わるでしょう。そのため、従業員の同意を得られず退職者が増加してしまい、事業が進められない事態になる可能性もあります。

資金繰りが難航する

事業承継によって業績を回復させられなかったり、事業が思ったように成長しなかったりした場合、資金繰りが難航する場合があります。また、事業が不振に陥ると、金融機関からの信用が低下し、融資による資金調達が困難になるかもしれません。

事業承継の失敗事例14選

ここからは、事業承継による失敗事例を14選ご紹介します。

従業員の事業承継トラブル

子どもや親族のなかで後継者がいない場合、従業員から後継者を選ぶケースがあります。しかし、後継者として選ばれなかった他の従業員の不満につながり、トラブルに発展したケースも発生しています。

経営者の急逝による相続争い

事業承継の準備が不足している間に経営者が急逝してしまうと、事業承継が進められません。さらに、相続には相続人同士の協議が必要になり、その結果、相続争いへと発展してしまう可能性があります。

経営者の体調不良

経営者が体調不良や病気により指揮が取れない状態で事業承継が進むと、後継者への引継ぎが上手くいかず、社内が混乱してしまいます。社内が混乱した状態では事業が上手くいかず、従業員の不満にもつながり、退職者が増加してしまうことも考えられます。

後継者が見つからない

子どもや親族、従業員のなかで後継者が見つけられない場合、外部から選出が必要となります。また、居たとしても本人に引き継ぐ意思がないと、事業承継は進められません。後継者を決める間に、経営者の体力が限界を迎えるケースもあります。

引退した経営者が実権を譲らない

事業承継を早めに実施し、後継者に経営権を譲ったにもかかわらず、前の経営者が実権を譲らずに失敗してしまうケースもあります。後継者の不満が溜まってしまうと、経営にも支障が出てしまうでしょう。

引退した経営者による過干渉

事業承継によって後継者に経営を引き継いだ後、前経営者が過度に経営に完了して失敗するケースもあります。このようなケースだと、後継者が社内での信頼を得られず、前経営者がいなくなれば経営不振に陥ってしまいます。

古参従業員による反発

事業承継によって経営者が変わると、古参従業員からの反発を受けるケースがあります。前の経営者からの説明や理解の浸透ができていないと、従業員がついてきてくれず、経営不振に陥ってしまうでしょう。

事業承継後の業績悪化

事業承継がスムーズにできたといても、その後の業績が順調だとは限りません。業績悪化により経営がうまくいかなくなったり、従業員が離れてしまったりすると、廃業に追い込まれてしまう場合があります。

誰にも相談せず事業承継する

誰にも相談せず、経営者の独断で事業承継を進めてしまい、周囲から反感や不満を受けてしまうケースもあります。特に子どもや親族など、複数の候補者がいる場合、トラブルに発展する可能性があるので、あらかじめ相談・説明しておく配慮が必要です。

後継者の教育が上手くいかない

後継者の教育が上手くいかないまま事業承継してしまい、失敗に終わったという事例があります。後継者が経営の知識がない状態で、教育不足のまま事業承継してしまうと、後の経営がうまくいかなくなり、業績に影響が出てしまうでしょう。

理念を承継できなかった

事業承継の際に、後継者へ経営理念の引継ぎができておらず、失敗してしまうケースがあります。事業承継によって経営理念が全く変わってしまえば、従業員や取引先から反発され、事業に支障をきたしてしまうでしょう。

事業承継の対応が遅い

現経営者が事業承継を後回しにした結果、事業承継の時期を逃してしまい、引き継げなかったという事例があります。社会情勢の変化により経営不振に陥ったり、経営者の急病・急死により事業承継自体出来なくなったりすると、廃業に追い込まれてしまいます。

納税資金が確保できていない

子どもや親族への親族内承継の場合、企業価値によって相続税が発生します。相続税は高額になるケースもあるため、後継者が資金を確保できず、事業承継が失敗に終わるケースもあるでしょう。

後継者の資質不足

後継者に経営者としての資質が不足しており、事業承継後に業績の悪化や退職者の増加などが生じるケースもあります。そのため、後継者の選定は、慎重に行わなければなりません。

事業承継を失敗させないためのポイント

事業承継は、さまざまな要因から失敗のリスクがあります。

ここからは、失敗させないための対策に役立つポイントについて解説しますので、ぜひお役立てください。

後継者の意思を確認する

事業承継において、後継者の意思確認は最も重要です。後継者に選んだとしても、本人に意思がなければ教育も進まず、失敗につながってしまいます。後継者候補には引継ぎの意思を確認して、しっかりと教育しておきましょう。

できるだけ早めに引退予告をする

事業承継によって経営者の引退を見据えている場合、早めに引退予告をしておきましょう。後継者選びと従業員や関係者の理解をスムーズに進めるためには、早期から引退予告をして、事業承継に向けて十分な準備が必要です。

引退前から後継者を育てる

後継者には、経営者が現役のうちに教育しておく必要があります。経営スキルや経営方針の引き継ぐためにも、実際に経験を積んでもらいながら学んでもらうことも大切です。

事業承継計画は必ず作成する

事業承継の際には、事業承継計画を作成しておきましょう。的確に事業承継計画を立てておけば、後継者と事業の方向性などをすり合わせるのに役立ちます。作成にはひな形は使わず、専門家の意見を取り入れながら、自社の状況に合わせた計画を作成することがおすすめです。

節税・相続税対策をする

事業承継では、相続税などの多額の税金が発生する可能性があります。節税対策を怠ると、納税の負担により後継者が資金不足に陥り、事業承継が失敗してしまうかもしれません。

経営理念を確実に継承する

現在の経営理念を後継者に確実に継承しておくのも大事です。後継者が、経営理念を正確に理解していれば、事業継承後の経営が円滑に進む可能性が高まります。また、従業員からの信頼も得やすくなるでしょう。

株式を後継者に集中させる

株式は、後継者に集中するように準備しておく必要があります。後継者が株式を統一できず、分散してしまうと、議決権の行使が難しくなり、企業内での派閥争いが生じてしまうかもしれません。あらかじめ分散しないよう対策が必要です。

事業承継においてのリスクを理解する

前述の通り、事業承継にはさまざまな失敗要因があり、リスクがつきものです。そのため、事業承継を円滑に進めるためにも、どのようなリスクがあるのかを理解し、対策を講じる必要があります。

周りに相談しながら進める

事業承継は、経営者の独断で進めるとトラブルに発展しかねません。そのため、事業承継を考える際には、従業員や役員など、ステークホルダーとの詳細な協議が不可欠です。

国のサポートを受ける

事業承継による税負担などの資金面で不安がある場合には、国や自治体が実施しているサポートを活用するといいでしょう。特例事業承継税制や事業承継補助金など、事業承継を検討する企業をサポートする制度があります。活用要件を満たしている制度があれば、事業承継の準備と共に申請しておきましょう。

M&Aコンサルティングや仲介会社に相談する

後継者が子どもや親族、従業員などで見つからない場合、第三者に引き継ぐM&Aなどによって事業承継が可能です。その場合、単独で進めるよりも、M&Aコンサルティングや仲介会社に相談したほうが、円滑に進めやすくなります。

事業承継に踏み切れないときはどうする?

親族内承継や社内承継が適切な後継者が見つからず、事業承継を迷っている場合は、M&Aを検討してみるといいでしょう。M&Aとは、合併や買収により、第三者に会社や事業を引き継ぐ事業承継の方法の1つです。

後継者不足で廃業してしまうと、負債が残ったり、従業員の職が失われてしまったりするリスクがあります。しかし、M&Aによって事業承継を進められれば、譲渡益により引退後の資金が得られたり、適切な買い手の選定により企業や事業の拡大につながったりするなどのメリットが期待できます。

まとめ

事業承継は、十分な準備や対策をしておかなければ、さまざまな失敗リスクが生じます。そのため、早期から準備を始め、ステークホルダーとの話し合いや専門家の意見を取り入れるなどの対策が必要です。

事業承継を成功させ、会社を存続させるためにも、本記事でご紹介した失敗事例や成功のポイントを参考に、対策を検討してください。

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