宅建士が独立開業すると費用はどれくらいかかる?独立のメリットや注意点、開業手順も解説

宅建士(宅地建物取引士)の資格がある人のなかには、独立を考える人も多いでしょう。この記事では、宅建士が独立開業するためにかかる費用や必要な免許、開業までの流れについて解説します。開業が失敗する理由や、開業するメリットについても解説するので、独立開業を考える人は参考にしてください。

独立開業に必要な資格と免許

宅建士が独立開業するには、宅建士(宅地建物取引士)の資格と、宅地建物取引業免許の取得が必要です。それぞれの概要について解説します。

宅建士の資格

宅建士になるためには、宅地建物取引士資格試験に合格する必要があります。試験に合格したら、受験した都道府県で宅地建物取引士資格登録を行い、宅地建物取引士証の交付を受けましょう。

宅地建物取引業免許の取得

宅地建物取引業免許とは、不特定多数の人を相手に物件の売買や貸借などを行う、宅地建物取引業を営むために必要な免許です。国土交通大臣あるいは都道府県知事から、宅地建物取引業免許の交付を受けます。

宅建士が独立開業したときの収入目安

宅建士が独立開業した場合、仲介手数料を全て収入に計上できるため、企業に属しているときよりも、高い収入が得られる可能性があります。なお、企業に属する宅建士の給与は、約34万円です。

※参考:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

宅建士が独立開業するときに必要な費用

宅建士が独立開業するためには、会社を設立する費用のほか、さまざまな費用が必要です。それぞれでかかる費用について解説します。

会社を設立する費用

独立開業して株式会社を設立する場合、収入印紙税や定款の認証手数料、登録免許税などの費用が掛かります。登録免許税は設立する会社の形態によって変わりますが、株式会社を設立する場合は、少なくとも約15万円が必要です。

※参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

設備費

事務所を構える場合は、賃貸費用や設備費用が必要です。賃貸費用には、敷金や礼金のほか、内装工事費や引っ越し費用などが含まれます。事務所に必要な設備の例は以下の通りです。

・応接セットやパーテーション、ロッカー、デスクなどのオフィス家具

・電話機やパソコン、複合機などのOA機器

・インターネット回線や電話回線

営業保証金あるいは弁済業務保証金

不動産業を営むためには、営業保証金を法務局や不動産保証協会などに預ける必要があります。営業保証金は、不動産保証協会に加入しない場合で1,000万円です。不動産保証協会に加入した場合、弁済業務保証金分担金として、60万円が必要です。

宅建協会加入費用

宅建協会に加入する場合は、約60万円の入会金が必要です。「全日本不動産協会」と「全国宅地建物取引業協会連合会」のいずれかの宅建協会へ加入しなくてはなりません。宅建協会に加入すると、契約書や重要事項説明書のフォーマット、国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営する不動産情報ネットワークシステム、レインズが利用できるようになります。

広告費

作成した自社ホームページを宣伝したり、不動産情報サイトに物件を掲載したりするためには、広告費が必要です。インターネット広告には、ホームページのスペースに画像や動画を掲載をするディスプレイ広告や、検索エンジンの検索結果に表示されるリスティング広告、SNSの画面に掲載されるSNS広告などがあります。

宅建士が独立開業する手順

宅建士が独立開業するためには、3つの手続きが必要です。手順に沿って、解説します。

宅建士証を交付してもらう

試験に合格して宅建士の資格を取得したら、資格登録をして、宅建士証の交付を受けましょう。実務経験が2年に満たない場合は、資格登録の前に、登録実務講習を修了させます。宅建士の試験に合格してから1年を過ぎて、宅建士証の交付を依頼する場合には、法定講習が必要です。

宅地建物取引業免許の申請、取得をして事務所を設ける

宅建士として独立開業するために、宅地建物取引業免許を取得しましょう。宅地建物取引業免許を交付する際には、事務所の所在地を記入しなければならないため、開業方法が個人・法人によらず、事務所を設置しなくてはなりません。個人開業の場合は、自宅の一部を事務所に併用できます。

保証協会に加入する

保証協会に加入し、営業保証金の供託金を支払います。不動産業界の2つの団体それぞれに、系列の保証協会があります。

・全国宅地建物取引業協会連合会(ハトマーク):不動産業界の団体としては、国内最大です。初年度にかかる費用の合計は、通常約155万円です。

・全日本不動産協会(ウサギマーク):47都道府県で、事業を展開している保証協会です。初年度にかかる費用の合計は、約132万円です。

※参考:宅建業・不動産業はじめるならハトマーク | 東京都宅建協会【公式】

※参考:入会諸費用について|全日本不動産協会東京都本部

宅建士が独立開業するメリット

宅建士が独立開業する場合、リスクを減らしたり、働き方を選べたりするメリットがあります。それぞれについて解説します。

在庫を抱えるリスクを減らせる

宅建士が仲介をメインとして独立開業すると、商品を売って利益を得る小売業界とは異なり、在庫を抱える必要がありません。在庫を抱える必要がないためリスク削減になり、自由に使える資金が減らないこともメリットにつながります。

自由な働き方を選択できる

企業に属している場合と比べて、独立開業すると勤務時間や勤務日数、休日取得などの融通がつきやすくなるので、自由な働き方が選択できるでしょう。従業員や取引先、仲介手数料も自分の裁量で決められる点もメリットです。しかし、仲介手数料は法律で決められた上限内に抑える必要があるため、注意が必要です。

宅建士の独立開業に有利な資格

宅建士が独立開業するときに、取得しておくと有利になる資格の「行政書士」「マンション管理士」について解説します。

行政書士

行政書士の主な業務は、官公庁に提出する書類および事実証明、権利義務に関する書類の作成代理です。これらは行政書士の独占業務のため、宅建業免許の申請も行政書士への依頼が一般的です。宅建士と併せて行政書士を取得すると、宅建業免許の申請をはじめとする行政手続きを自分でできるので、時間や費用の節約につながります。

また、宅建と行政書士の両方を取得していると、不動産に詳しい行政書士であるとアピールできます。

マンション管理士

マンション管理士は、マンションで起こるトラブルを住民(管理組合)側に立って、解決するアドバイザーです。管理組合との付き合いや話し合いを進めるうちに、マンションの売買や賃貸の相談から、仕事につながる場合もあります。また、住居の売買や購入などを考える顧客に、マンション管理士の立場から、的確なアドバイスができます。

独立開業が失敗する原因

宅建士が独立開業したからといって、すべてが軌道に乗るとは限りません。独立開業が失敗する原因について解説します。

固定費が高いため

独立開業で張り切りすぎるあまり、賃料の高い物件を借りたり、必要以上に人を雇ったりすると、固定費が経営を圧迫する結果につながります。収入が安定するまでは、なるべく固定費の削減を心がけましょう。

信頼がないため

企業に属しているときは、会社のネームバリューで得られる信頼から、集客や取引につながりますが、独立すると会社の看板やネームバリューなどの後ろ盾が無くなります。不動産の取引は金額が大きいため、個人としての信用を得られないと取引につながりません。集客を得るためには、工夫が必要です。

実務経験が足りないため

開業独立すると、契約や内見などの業務も自分でしなくてはなりません。契約に必要となる細かい実務に対する知識がないと、業務が回らなくなる可能性も考えられます。独立開業する前に、どれだけ実務経験を積めるかが重要です。

土地が安いエリアで開業したため

不動産売買の仲介手数料は、「土地の販売価格の〇〇パーセント」と決まっている場合が、ほとんどです。土地価格が高ければ、仲介手数料が上がり収入も増えますが、土地価格が安いエリアでは、仲介手数料も低くなり満足な収入が得られない結果になりかねません。しかし、人が多く土地が高い傾向にある都心部は、ライバルの不動産業者が多い点を、心にとどめておきましょう。

まとめ

宅建士が独立開業するためには、宅建士の資格と併せて、宅地建物取引業免許の取得が必要です。宅建協会の入会金や事務所の開設費、広告費など、まとまった費用が必要なことも覚えておきましょう。固定費の削減、集客、信頼の獲得が独立開業の成功につながります。

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