管理職には、「人材を育成する側」としての役割が求められます。しかし、管理職に求められるスキルは一般の従業員とは大きく異なるため、経験を積んだからといって自動的に身に付くものではありません。優秀な人材を育成するためには、まず優秀な管理職を育成する必要があります。
そこで、本記事では管理職の人材育成を徹底解説。管理職に求められる役割やスキル、管理職の人材育成におけるポイントなどを紹介します。
この記事の目次
そもそも管理職とは?
管理職の人材育成について解説する前に、まずは管理職の定義や範囲を紹介します。
管理職の定義や範囲
管理職とは、部署・課・チームなどの一定範囲における決定権を有する人材のことです。
呼び名は会社によって異なりますが、部長や課長、マネージャーなどの肩書を与えられるケースが多いでしょう。
しかし、実際のところ、管理職というポジションに明確な定義はありません。法律で定められた「管理監督者」についても、役職の有無や肩書きではなく、その人の働き方の実態によって判断されます。
管理職と一般従業員の違い
管理職と一般従業員の違いは、主に「責任」と「裁量権」の大きさです。
管理職は一般従業員と比べて与えられる裁量が大きく、働き方や取り組み方を自分で決定できる傾向があります。
しかし、裁量が大きい分、管理職が示した方針や指示は部下やチーム全体に影響を与えるため、大きな責任をともないます。
管理職に求められる役割・仕事
管理職に求められる役割はさまざまありますが、大きく分けると以下の6つです。
・目標設定
・進捗管理
・業務改善
・人材育成・マネジメント
・チームビルディング
・経営理念やビジョンの浸透
目標設定
組織単位でも個人単位でも、成果を出し続けるためには目標設定が不可欠といえるでしょう。
部門や課、チーム単位での目標を設定し、部下個人の目標設定をアシストすることも管理職の仕事の1つです。
進捗管理
管理職は自分の担当業務だけでなく、プロジェクト全体やメンバー個人の進捗に気を配らなければなりません。
また、人員の配置や業務の割り振り、予算の管理など、業務が円滑に進行するための管理を担います。
業務改善
管理職は、チーム全体のパフォーマンスを向上させるため、業務改善に取り組むことも仕事の1つです。
PDCAサイクルを回しながら業務内容や進め方を見直し、業務の効率化を図ります。
h3:人材育成・マネジメント
人材育成やマネジメントも、管理職の重要な役割の1つです。
なお、人材育成とマネジメントには、以下のような違いがあります。
人材育成 | 従業員の強みやキャリアプランを把握し、成長を促すこと |
マネジメント | 組織やチームの目標を接待するため、従業員に適切な役割を与えて指導すること |
部下とコミュニケーションをとりながら、それぞれの強みやスキルに応じた役割を与え、成長を促します。
チームビルディング
チームビルディングとは、それぞれの従業員が持つスキルやノウハウなどを最大限に発揮し、目標を達成できる「強いチーム」をつくるための取り組みです。
チームビルディングの成功には、管理職のリーダーシップが不可欠とされています。メンバーの強みを活かすスキルや、コミュニケーション能力など、幅広いスキルが求められるでしょう。
経営理念やビジョンの浸透
企業が最大の成果を上げるためには、組織として目指すべき方向性を全員が共有する必要があります。しかし、経営層と一般従業員には心理的な距離が生まれやすく、理念やビジョンの浸透がうまくいかないケースも多いものです。
経営層と従業員の間に立ち、組織の理念やビジョンを伝えることも管理職の仕事といえるでしょう。
管理職に必要な3つのスキル
管理職には、ヒューマンスキル・テクニカルスキル・コンセプチュアルスキルの3つのスキルが求められます。
1.ヒューマンスキル
他者との良好な関係の構築・維持に必要なスキルです。
ビジネスパーソンにとっては必須スキルといえますが、管理職にはより高いヒューマンスキルが求められます。リーダーシップを発揮してチームを先導することはもちろん、メンバーの話に耳を傾ける「傾聴力」も必要です。
2.テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、担当する業務の遂行に必要な能力全般を指します。
例えば、営業職なら商品知識やプレゼン能力、ITエンジニアならプログラミングの知識やスキルなどが該当します。
3.コンセプチュアルスキル
ものごとの本質を見極め、論理的に捉える能力のことです。
コンセプチュアルスキルが身に付くと、一見まとまりのない事象同士の共通項を見つけることで、プロジェクトを成功させるポイントや、トラブルの根本原因などを発見できるようになります。
管理職にとっては、とくに必要なスキルといえるでしょう。
管理職に求められる姿勢
管理職となる人には、以下のような姿勢が求められます。
プレイヤー意識からの脱却
これから管理職を目指す人が、まずするべきことは、プレイヤー意識からの脱却です。
「自分の仕事をこなせばよい」という考えから抜け出し、チームや組織全体のパフォーマンスを考えられるよう、意識改革に取り組む必要があります。
他部署やチームとの連携に取り組む
管理職は、部署やチームなど、組織における単位ごとの代表者です。ときには組織の利益を最大化するために、代表者として社内調整を求められる場面もあるでしょう。
そのため、管理職にはほかの部署やチームの代表者と駆け引きする折衝力や、垣根を超えた連携に取り組む姿勢が必要です。
管理職の人材育成におけるポイント
管理職の人材育成では、以下のポイントを押さえることが重要です。
・管理職研修を実施する
・プレマネジメント経験の機会を設ける
・適切にフィードバックする
・管理職としての目標を設定する
管理職研修を実施する
管理職として必要なスキルは、年齢を重ねれば自動的に身に付くものではないため、学びの機会を設けるとよいでしょう。人材育成スキルや労務管理スキルなど、管理職に必要なスキルを習得できる研修を候補者に対して実施します。
自社リソースでの対応が難しい場合は、外部研修の活用もおすすめです。
プレマネジメント経験の機会を設ける
プレマネジメントとは、管理職になる前に、その準備としての経験を積むことです。具体的には、管理職の1つ手前(リーダーなど)として、管理職としての役割を体験・練習することを指します。
いきなり管理職に抜擢する場合と比べて、無理なく段階的にステップアップできるというメリットがあります。管理職としての適性を見極める意味でも効果的です。
適切にフィードバックする
誰しも初めは初心者なので、管理職に就任したあとも「マネジメントは適切だろうか」「メンバーへの指示は問題ないだろうか」と試行錯誤は続いていきます。
管理職としての成長を促すためには、上司や部下からのフィードバックが不可欠です。管理職としての働きぶりを定期的に評価し、適切にフィードバックしましょう。
管理職としての目標を設定する
管理職は部下の目標管理も仕事のうちですが、管理職として自分自身の目標を立てることも重要です。
とはいえ、管理職の役割はチームの成果を上げることなので、最終的な目標はチームの業務効率や売上などにつながる場合が多いものです。管理職が自身の目標を設定する際は、上記のようなチームの目標を達成するために、自分が取り組むべきことをセットで考えるとよいでしょう。
管理職の目標設定における具体例
管理職の人材育成における目標設定としては、以下のような例が考えられます。
・業務効率化に取り組み、◯ヵ月後までに残業時間を月◯時間削減する
・課長と月◯回のペースでミーティングし、部の売上目標を◯%以上達成する など
具体的な数字を掲げたうえで、達成するまでの期間や実行する頻度を設定することが大切です。
管理職に向いている人の特徴
以下のような特性を持つ人は、管理職に向いている可能性が高いでしょう。
経営者視点・従業員視点の両方からものごとを考えられる
管理職は、一般の従業員と比べて経営層に近い位置にあるため、経営者視点が求められます。一方、管理職には経営層と従業員のハブとしての役割もあり、従業員目線での感覚も必要です。
経営者と従業員、双方の視点を持てる人は、管理職に向いているといえるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
管理職になると、なにかと人とコミュニケーションをとる機会が増えるものです。部下への指導や部署間の折衝などにも、コミュニケーション能力が不可欠です。
そのため、管理職を目指す人には、高いコミュニケーション能力が求められます。
体力・精神力に自信がある
管理職の仕事には大きな責任がともなうため、精神力に自信がない人はストレスに負けてしまう場合があるでしょう。
自分の仕事とマネジメントを同時並行で進めることになるため、ある程度の体力も必要です。
管理職に不向きな人の特徴
上記とは反対に、以下のような特性を持つ人は、管理職にあまり向いていない可能性が高いでしょう。
なんでも自分でやってしまう人
部下に適切に仕事を割り振ることも、管理職の仕事の1つです。
「自分でやったほうが早い」と考えてしまう人や、「仕事は1から100まで自分でやらないと不安」という人は、管理職には不向きといえるでしょう。
マルチタスクが苦手
自分の仕事を進めている最中にも部下に助けを求められるなど、管理職の仕事はマルチタスクになりがちです。
そのため、とっさの頭の切り替えが苦手な人は、管理職になると苦労する可能性があります。
まとめ
管理職には、プロジェクトの進捗管理やマネジメントなど、さまざまな役割が求められます。企業の組織力を高めるためには、管理職の人材育成が不可欠です。
管理職研修を実施したり、プレマネジメントの機会を設けたりと、管理職にとって必要なスキルを段階的に身に付けられるような道筋をつくれるとよいでしょう。
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