開業届とは?個人事業主が提出するメリットや提出方法を解説

不動産で独立したり、事業をスタートしたりするときには、さまざまな手続きが必要です。その1つに開業届の提出があります。開業届は必ず提出しなければいけない書類ではありませんが、きちんと提出することで得られるメリットは多いです。本記事では、開業届の概要や提出するメリットなどを解説します。提出手順や作成方法も見ていくので役立ててください。

開業届とは何か

開業届とは、個人が事業を開業したことを税務署に報告する書類です。正式名称は個人事業の開業・廃業等届出書で、提出しない場合でも罰則を受けることはありません。

個人事業の開業届には2種類ある

個人事業の開業届は、個人事業の開業・廃業等届出書と個人事業税の事業開始等申告書があります。ここでそれぞれの違いを確認しましょう。

種類1:個人事業の開業・廃業等届出書

一般的に開業届と呼ばれる書類が、個人事業の開業・廃業等届出書です。前述のとおり、税務署へ提出することで、個人が事業を始めたことを報告できます。提出期限は開業してから1ヶ月以内で、青色申告などに必要です。

種類2:個人事業税の事業開始等申告書

個人事業税の事業開始等申告書は個人で事業を開始したことを、都道府県税事務所に報告するために必要になる書類です。都道府県ごとに提出先・提出期限が異なるので、提出の際はよく確認しましょう。

開業届は提出しなければいけないのか

開業届を税務署に提出することで得られるメリットは多いですが、前述のとおり、提出しなくても罰則を受けることはありません。開業したことによる気持ちの区切りや、けじめとして開業届を提出する人も多いです。

開業届を提出するメリットを解説

では開業届を提出するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここで、4つのメリットを解説します。

青色申告ができる

開業届を提出していれば、青色申告で確定申告ができるようになります。確定申告には白色申告と青色申告の2つの種類があり、青色申告の方が白色申告よりも節税効果が高いという違いがあります。確定申告で青色申告をするためには、青色申告承認申請書と開業届の提出が必要です。

事業用の口座を開設できる

あらかじめ開業届を提出しておくことで、屋号を名義にした事業用の口座を開設できます。個人名義の口座を事業用として使用することもできますが、屋号名義の口座の方が取引先からの信用を得やすくなります。また、プライベートと事業とで口座を分ければ、経理作業がしやすくなるため、開業届を提出して事業用の口座を開設する人も多いです。

職業の証明ができる

会社に雇われて働くときは、社員証や在職証明書などが発行されるため職業の証明が簡単にできます。しかし、個人事業主の場合はありません。個人事業主は開業届の写しを提出することで、自分の職業を証明できます。保育園などへの申請で職業の証明として、開業届が必要になるケースもめずらしくありません。

融資審査などに利用できる

金融機関の融資審査を受けたり、オフィスを契約したりする際は事業の証明が必要になります。開業届は事業の証明ができる書類です。開業届を提出していないと事業の証明ができず、融資や契約を断られる恐れもあります。将来、融資やオフィスの契約を考えている場合は、早めに開業届を提出しておくと安心です。

開業届を提出して個人事業主になるデメリットとは

ここまで開業届を提出するメリットを見ていきましたが、デメリットもあります。

失業手当を受け取れない

開業届を提出すると求職者とみなされなくなるため、失業手当を受け取れなくなります。失業手当とは、雇用保険の加入者が失業・退職した際に受け取れる給付金です。開業届を提出することで給付金の受給要件を満たせなくなるため、注意してください。

扶養から外れる可能性がある

配偶者などの扶養に入っている人は、健康保険料を支払う必要がありません。しかし、開業届を提出したり、年収が一定額を超えたりすると扶養から外れる可能性があります。扶養から外れると、自分で健康保険料を納付しなければいけません。

申告の手間がかかる

開業届を提出して確定申告を青色申告でする場合、白色申告と比べると会計処理に手間がかかりやすいです。記帳など簿記や会計の知識がない場合は、時間がかかりやすいため気を付けてください。会計ソフトなどをうまく活用することをおすすめします。

開業届の提出手順を解説

開業届を提出する場合は、書類を作成して必要書類とあわせて税務署へ提出する必要があります。実際の提出手順を確認しましょう。

手順1:開業届を作成

まずは、管轄の税務署の窓口や国税庁のホームぺージで開業届を入手しましょう。紙の開業届に手で情報を記入する方法だけでなく、e-Taxを通してパソコンで開業届を作成する方法もあります。

手順2:必要書類と合わせて税務署へ提出

開業届の作成が完了したら、マイナンバーが確認できるものとあわせて税務署へ提出します。青色申告で確定申告する場合は、青色申告承認申請書も開業届と一緒に提出しましょう。書類を提出する際、印鑑は必要ありません。詳しい提出方法については後述します。

手順3:控えを保管する

開業届の原本は税務署へ提出しますが、控えは自分で保管しておく必要があります。税務署の窓口で開業届を提出した場合は、その場で控えが交付されますが、郵送で提出した場合は控えが後日返送されます。e-Taxで提出した場合は、送信後にデータと受信通知を合わせて印刷・保管するようにしましょう。

開業届の作成方法・書き方を解説

ここでは、開業届の具体的な作成方法や書き方を解説します。

開業届の作成方法

開業届の作成方法は自分で作成する方法と、ソフトを活用してオンラインで作成する方法の大きく2種類に分けられます。自分で作成する場合は、税務署の窓口や公式ホームページなどで、指定のフォーマットを入手して情報を記載します。ソフトを活用してオンラインで作成する場合は、フォーム入力などで必要な情報を選択・入力していきましょう。画面に沿って質問に答えていくだけで開業届が作成するソフトもあるため、初めて手続きする人におすすめです。

開業届の書き方

開業届の記入欄に従って情報を記載していきます。記載する情報としては、開業届の提出先や提出日、納税地の住所、氏名、生年月日、個人番号、職業・屋号などがあります。事業の概要も簡単に記載しましょう。

また、給与等の支払の状況を記載する欄があるので、あらかじめ専従者や使用人の人数を確認しておくと、開業届の作成がスムーズに進みます。

開業届の提出方法とは

開業届ができたら、税務署へ提出します。提出方法は税務署の窓口、郵送、e-Taxの3つあります。

税務署に持ち込む

税務署の窓口で提出する場合は、平日8:30~17:00の間に開業届を持っていきましょう。土・日・祝日は税務署が開いていないので注意してください。ただし、時間外でも時間外収受箱に開業届を投函できます。窓口で提出する場合は、受付印を押した上で控えが返却されるので大切に保管しましょう。

郵送で提出する

郵送で提出する場合は、納税地を所轄する税務署の住所を記載して郵便に出します。開業届の原本だけでなく、開業届(控用)、マイナンバー確認書類のコピー、切手を貼った返信用封筒を同封するようにします。

e-Taxで提出する

e-Taxを活用すれば、オンラインで開業届の提出ができます。データを受け付けたメールが受付印の代わりになるので、印刷して失くさないように保管しておきましょう。

開業届以外に提出が必要になる書類とは

事業をスタートするときには開業届を提出しますが、他にも提出が必要になる書類があるので、ここで確認しておきましょう。

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書とは、青色申告で確定申告をする場合に必要になる書類です。青色申告の方が、白色申告よりも節税効果の高い確定申告が可能です。青色申告承認申請書は開業届とあわせて提出が必要になるので、同時に手続きするとよいでしょう。

職種の許認可に関する書類

飲食店営業許可、動物取扱責任者、宅地建物取引業などの業種は、届出や許認可が必要です。業種によって職種の許認可に関する書類の提出が必要か否か異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。

その他の書類

従業員などを雇って給料を支払う場合は、他にも書類提出が必要です。源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書や、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書、といった書類が必要になる可能性があるので、忘れずに対応しましょう。

まとめ

開業届とは、個人が事業を始める場合に税務署に提出する書類です。提出しなくても罰則を受けることはありませんが、節税効果が高い青色申告ができるようになるなどのメリットがあります。個人で事業をスタートする場合、開業届以外にも提出が必要になる書類があるので、事前にきちんと確認しておきましょう。

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