事業承継補助金は個人事業主でも利用可能?申請手順や加点ポイントを紹介!

個人事業主として事業を営むうえで、事業承継やM&Aを考えている人もいるかもしれません。しかし、手続きを進めるためには、買収費用に加え贈与税・相続税など多額の費用が必要となります。事業承継やM&Aに向けた資金調達でぜひ活用したい補助金が、事業承継・引継ぎ補助金です。

この記事では、個人事業主が利用できる事業承継・引継ぎ補助金の種類や特徴、加点ポイントを解説します。

事業承継・引継ぎ補助金とは

中小企業・小規模事業者を支援する事業承継・引継ぎ補助金について、役割や概要を解説します。

事業承継・引継ぎ補助金の役割

事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継・再編・事業統合などで利用できる補助金のことです。事業承継・引継ぎ補助金は、廃業する企業と関係者を守り、経済への影響を抑えるために設立されました。

日本では黒字にもかかわらず、後継者がいないために廃業を選択しなくてはならない事業が少なくありません。しかし企業が廃業すると、技術やノウハウが失われるうえに、取引先への影響や従業員の生活も危ぶまれます。

事業承継・引継ぎ補助金の概要

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継やM&Aをきっかけに、新たな試みを始める中小企業や個人事業主を支援する制度です。公募詳細や申請期間は、補助金事務局の公式サイト(https://jsh.go.jp/)で随時更新されており、補助率や上限額は申請する類型ごとに異なります。

個人事業主は事業承継・引継ぎ補助金の対象?

個人事業主も事業承継・引継ぎ補助金の対象です。事業承継・引継ぎ補助金の対象は、原則、中小企業基本法に準ずる小規模企業者です。小規模企業者とは資本金や従業員数が一定以下の事業者のことで、個人事業主や中小企業が該当します。また、経営状況が芳しくない事業者も補助金の対象となる場合もあります。

ただし、補助金を申請するためには、申請するタイミングで各類型が定める要件を満たしている必要があります。

事業承継・引継ぎ補助金の種類

事業承継・引継ぎ補助金の種類は大きく分けると以下の3つです。

・経営革新事業

・専門家活用事業

・廃業・再チャレンジ事業

それぞれの補助金は、活用できるタイミングが異なります。補助金を使いたいシーンに応じて申請する事業を決めましょう。ここからは、事業承継・引継ぎ補助金の種類ごとに、補助金の使い道や類型を解説します。

経営革新事業

経営革新事業は、主に承継後の取り組みにかかる費用を補助する制度です。どのように後継者を選ぶかによって、選ぶべき類型は変わります。次項では、経営革新事業の3つの類型を解説します。

創業支援型

創業支援型では、他の事業者の経営資源を引き継いで創業したケースが補助対象となります。たとえば、後継者人材バンクや、民間のM&Aマッチングサービスを通じて経営資源を引き継いだ場合は、創業支援型で申請しましょう。

後継者人材バンクは、事業承継・引継ぎ支援センターによって提供される事業です。起業したい人と後継者不足に悩む人とをマッチングさせると、起業と後継者不足解消を同時に実現できます。

経営者交代型

経営者交代型では、親族や従業員が経営資源を引き継ぐケースが補助対象となります。前述の創業支援型では、承継後の取り組みにかかる費用が補助対象でした。一方、経営者交代型では、後継者候補の承継前の取り組みも補助対象に含まれます。

M&A型

M&A型は、M&A(株式譲渡や事業譲渡)により経営資源を引き継ぐケースが補助対象です。たとえば、企業が株式譲渡や事業譲渡を通じて事業再編・統合する場合は、M&A型に該当する可能性があります。近年は企業だけではなく、個人事業主のM&Aも活発化しています。

なお、個人事業主は株式を発行できません。そのため、個人事業主からM&Aで経営資源を引き継ぐ際は、事業譲渡が行われます。

専門家活用事業

専門家活用事業はM&Aにかかる費用を補助する制度で、買い手・売り手双方から申請可能です。専門家活用事業について、次項で2つの類型を解説します。

買い手支援型

買い手支援型は、M&Aで買い手にかかる費用を支援する補助金です。ただし、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)・仲介業者を利用する際は、M&A支援機関登録制度に登録された業者を利用した場合のみ、補助対象として認められます。

売り手支援型

売り手支援型は、M&Aで売り手にかかる費用を支援する補助金です。買い手支援型と同様に、FA・仲介業者に要した費用に関しては、M&A支援機関登録制度に登録された業者を利用した場合のみ、補助金の活用が認められます。

廃業・再チャレンジ事業

廃業・再チャレンジ事業は、廃業する際の費用を補助する制度です。設備や原料の処分、借りていた物件の原状回復などが必要になると、廃業する場合でも高額な費用が発生します。次項では、廃業・再チャレンジ事業の2つの類型を解説します。

併用申請型

併用申請型を選ぶと、以下で解説する再チャレンジ申請型と、前述した経営革新事業や専門家活用事業とを組み合わせて申請できます。ただし、併用申請するためには以下の条件を満たさなくてはなりません。

・補助事業期間終了日までにM&Aまたは廃業が完了していること

・「廃業に伴って求められる行動」に取り組んでいるか、取り組む予定があること

再チャレンジ申請型

再チャレンジ申請型は、M&A(事業譲渡)に着手して成約しなかった場合や、新たな事業に挑戦するため既存事業を廃業する場合に申請可能です。ただし、M&Aに着手したと見なされるには、以下のいずれかに該当する必要があります。

・事業承継・引継ぎ支援センターに相談した

・M&A 支援機関との包括契約を締結した

・M&A マッチングサイトに登録した

事業承継・引継ぎ補助金の申請手順

補助金の公募期間は短いため、速やかな申請が求められます。事業承継・引継ぎ補助金の申請手順を解説します。

1.補助対象の事業を確認する

まずは補助金事務局の公式サイトの公募要領を読み、補助対象となる事業を調べて自社事業が補助対象に該当するか確認しましょう。法人か個人事業主か、承継が株式譲渡か事業譲渡かなどによって、申請すべき補助金のタイプが変わるため注意が必要です。

2.アカウントの登録

事業承継・引継ぎ補助金の申請では、経済産業省のデジタル庁が運営する、補助金の電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」を利用します。jGrantsの利用時は、gBizIDプライムアカウントが必要です。jGrantsのアカウント登録には、1〜2週間かかります。補助金を活用する予定があるなら、公募開始を待たずに登録手続きを済ませておきましょう。

3.事業承継・引継ぎ補助金の交付申請

jGrantsにログインし、事業承継・引継ぎ補助金の交付申請手続きをします。手続きは24時間365日可能です。必要事項を入力し、指示された必要書類をアップロードしましょう。申請を取り下げる場合は、交付決定通知を受けた後10日以内に限り手続きできます。

4.採否結果の通知

審査を受け採択されると、交付決定通知がjGrants上に届きます。また、補助金の種類によっては、中小企業庁や補助金事務局の公式サイトでも交付決定者が公表されます。交付決定後は補助対象事業を実施し、実績報告してください。実施・実績報告のマニュアルは補助金事務局の公式サイトから確認できます。

5.事業承継・引継ぎ補助金の交付

補助対象事業の完了後、原則として15日以内に実績報告書などの必要書類を提出しなければいけません。実績報告を元に、確定検査が済めばいよいよ補助金が交付されます。なお、経営革新事業または専門家活用事業で申請した場合は、補助金を受け取った後もjGrantsで後年報告する義務があります。

事業承継・引継ぎ補助金の加点ポイント

補助金の種類別に加点ポイントを解説します。加点ポイントは申請に必須ではありませんが、加点された方が採択されやすくなります。

経営革新事業の加点ポイント

経営革新事業の加点ポイントを解説します。

・「中小会計要領」や「中小企業の会計に関する指針」を守っている

・「経営力向上計画」の認定を受けている

・「地域おこし協力隊」に参加している

・創業支援型で「特定創業支援等事業」による支援を受けている

・創業支援型とM&A型で、PMI計画書が作成されている

・「地域未来牽引企業」に選ばれている

・コロナ禍以降に事業承継している

専門家活用事業の加点ポイント

専門家活用事業の加点ポイントを、一部解説します。

・「中小会計要領」や「中小企業の会計に関する指針」を守っている

・「経営革新計画」「経営力向上計画」「地域未来牽引企業」のいずれかに選ばれている

・中小企業基本法で定める小規模企業者である

・直近決算期の営業利益または経常利益が赤字である (売り手支援型)

廃業・再チャレンジ事業の加点ポイント

廃業・再チャレンジ事業の加点ポイントを解説します。

・再チャレンジする人の年齢が若い

・再チャレンジの内容が「起業」または「引継ぎ型創業」である

「再チャレンジする人の年齢」について、公募要領には詳しい規定がありません。また「起業」には、個人事業主としての活動も含まれます。

事業承継・引継ぎ補助金の採択率

事業承継・引継ぎ補助金の採択率は、50%前後です。事業承継・引継ぎ補助金の採択率は、補助金事務局の公式サイト内の採択結果から確認できます。経営革新事業については、採択された交付申請者名や取り組みの概要、認定経営革新等支援機関の名称も分かります。

まとめ

事業承継・引継ぎ補助金は、個人事業主も申請可能です。補助金は大きく3種類に分けられるので、何を目的に補助金を使いたいかによって申請する対象を決めてください。また、事業承継・引継ぎ補助金の採択率は50%程度です。申請の際は信頼できる専門家に相談し、採択率を高めましょう。

株式会社ハウスドゥ住宅販売は、株式会社And Do ホールディングスの100%子会社です。複数の直営店で長年培った実証済みのノウハウと、ブランド戦略による優れた集客力でお客さまの事業をサポートします。また、事業承継の無料相談も承っております。事業に役立つ資料をご用意しましたので、ぜひご覧ください。

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