人材育成方針とは?重要性やメリット、社内に浸透させるための方法を解説

人材育成は企業成長に欠かせない取り組みの1つです。効率よく人材を成長させるためには、人材育成方針を定めることが大切です。この記事では、人材育成方針の重要性やメリット、事例などを解説します。人材育成方針を社内に浸透させる方法も解説するので、ぜひ参考にしてください。

人材育成方針とは

人材育成方針は、効率的で有意義な人材育成に欠かせないものです。人材育成方針について、企業の現状にも触れつつ解説します。

人材育成方針の意味

人材育成方針とは、従業員をどのような人材へと育成するかを定めたガイドラインのことです。人材育成方針には将来的に目指すべき人物像やスキルなどに加え、方針を満たすための施策内容もまとめられています。

企業理念や社訓などで従業員のあるべき姿を掲げる企業も見られますが、人材育成方針の方が内容はより具体的です。

人材育成の現状

人材育成方針や、類似する能力開発方針を持たない企業もあります。「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)」の調査によると、規模が小さい企業ほど人材育成方針を定めておらず、従業員個人に能力開発を任せる傾向が見られました。加えて、「人材育成方針があっても社内に浸透していない」と回答した企業も少なくありません。

※参考:調査シリーズNo.216『人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)』|労働政策研究・研修機構(JILPT)

人材育成方針の重要性

人材育成方針が重要な理由は、企業の存続と成長には人材育成が欠かせないためです。人材育成に成功すると、各従業員のパフォーマンスと組織の生産性が高まり、ハイレベルな経営目標を達成できます。

近年は労働力不足で、確保できた人材のパフォーマンスを高めなければ経営目標を達成できません。限りある人的リソースを有効活用するためには、人材育成方針の策定が重要です。

人材育成方針を定めるメリット

人材育成方針に従うと求める人材を効率的に育成できるうえに、人材の多様化も促進されます。人材育成方針を定めるメリットを解説します。

自社の価値観を明確にできる

人材育成方針を定めると、自社の価値観が明確に打ち出されます。明確な価値観によるビジョンやミッションが提示されると、組織全体で共通の目標を意識することが可能です。従業員を企業のビジョンに共感させ、高い意欲を持って業務に取り組んでもらいましょう。

従業員の意欲向上につながる

従業員の意欲向上も、人材育成方針を定めるメリットといえます。人材育成方針には、具体的な施策が定められています。

方針に従えば、従業員に対して筋の通ったキャリア開発の機会を提供でき、育成担当者ごとの指導のブレを防げるでしょう。結果的に、従業員は効率よく成長できスキルに加え業務への意欲も高まります。意欲的に取り組んだ業務で成果を出せると、企業へのエンゲージメントも向上します。

人材の多様性を確保できる

人材育成方針を定めると、人材の多様化も促進されます。人材育成方針がない状態だと、採用活動や育成の方向性が決まりません。面接の基準や研修活動などの取り組みを具体化するためには、人材育成方針が必要です。現時点で企業にどのような人材がいるかを把握して、多様な人材の採用と育成につなげましょう。

人材育成方針を定める手順

人材育成方針は、具体的かつ実行可能でなければいけません。現実的な人材育成方針を定める手順を解説します。

1.社内の現状把握

まずは社内の現状を把握するために、各部門や各従業員のスキルや能力、経験などを可視化しましょう。人材育成方針を成功させるには、最終的に目指すべき状態と見比べて、企業全体や部門、従業員個々に不足しているものを洗い出す必要があります。

2.企業目標の明確化

社内の状況を把握したら、人材育成方針の目標を具体的に決めます。目標達成のためにどのような人材が必要か検討しましょう。目標は実現可能なものを設定することがポイントです。企業理念や事業領域、ノウハウや従業員数などを考慮して、達成できる範囲の目標を定めてください。

3.中期的な目標の設定

最終的な目標を見据え、人材育成の中期的な目標を設定します。従業員がスキルを高めるには時間がかかります。最終的な目標と中期的な目的を分けることで、段階的な人材育成が可能です。企業や人材の3〜5年後にありたい姿を考え、中期的な目標を設定しましょう。

4.人材育成方針の策定

設定した目標を達成するために必要となるスキルや性質を逆算して、人材育成方針を考えます。具体性に欠ける人材育成方針では、育成担当者も従業員も行動できないため注意してください。

たとえば「新人のコミュニケーションスキルを高めたい」という目標があったとしましょう。その場合は「外部から研修担当者を招き、新入社員を対象としたコミュニケーションスキルを高める集合研修を、入社◯か月までに実施する」など、具体的な人材育成方針の策定が必要です。

人材育成方針の事例

企業や自治体は組織ごとの目標を掲げ、人材育成方針を策定しています。企業と自治体に分けて人材育成方針の事例を解説します。

企業による人材育成方針の事例

多くの企業が人材育成方針を定めています。ある電機メーカーでは、グローバルに活躍できる人材確保のため、海外に従業員を行き来させる規定を設けました。また、ある自動車メーカーでは「モノづくりは人づくり」を理念に、中長期的な人材育成に取り組んでいます。

地方自治体による人材育成方針の事例

企業だけではなく、自治体も人材育成方針を重視しています。総務省は「地方自治・新時代に対応した地方公共団体の行政改革推進のための指針」において、社会情勢の変化に対応できるかは、職員の育成度合いによるとの考えを示しました。

たとえば、ある自治体では職層・分野別に求められる能力が明確化されており、その軸に基づいて人材育成が進められています。

人材育成方針における注意点

時代に合わせた現実的な人材育成方針を作り、全社で共有しましょう。人材育成方針における注意点を解説します。

企業全体に共有する

人材育成方針を策定したら、企業全体に共有することが大切です。まずは管理職に人材育成方針を理解してもらい、次にそれぞれの部下へと共有させましょう。人材育成方針を広める手法には、面談や集会、社内SNSなどがあります。

人材育成は一部の部門で完結できるものではなく、企業全体で取り組むものです。従業員への周知を徹底し理解を促しましょう。

定期的に見直し改善する

人材育成方針は、定期的に見直す必要があります。業種にもよりますが、ビジネス環境は目まぐるしく変わっていきます。企業が求める人物像も、世の中の状況を見て見直さなくてはいけません。

また、トレンドが変われば顧客ニーズも変わり、競合後れを取らないように新しい技術やスキルの習得も求められます。変化を受け入れ企業活動を続けるには、人材育成方針で掲げる目標や、詳細な施策をブラッシュアップしましょう。

現実的な方針を定める

前述のように、人材育成方針では現実的に達成可能な内容を定めてください。実現できないような方針では、かえって従業員の意欲を低下させます。努力すれば実現可能なレベルに目標を設定することで、従業員の意欲を引き出せます。

人材育成方針を浸透させるポイント

人材育成方針が浸透しないことに課題を抱える企業も見られます。人材育成方針を浸透させるポイントを解説します。

人事評価に反映させる

人材育成方針を人事評価に反映させると、従業員は人材育成に協力し、スキルアップに励むようになる可能性があります。

方針と評価基準に一貫性を持たせ、成長度合いが適性に認められるようにして、従業員の意欲を高めましょう。また、環境の変化に応じて人材育成方針を見直した場合は、人事評価制度の見直しも必要です。

文章として明文化する

文章として明文化されていれば、何度も見返せるうえに、行動基準として活用可能です。いつでも確認できる場所に人材育成方針を提示しておけば、自然に企業が求める人物像や行動が刷り込まれます。従業員が企業の目標を意識して行動すれば、意思決定の質とスピードを向上させられます。

常に目的を意識する

企業活動の目的と乖離した人材育成方針では、従業員に納得してもらえない可能性があります。人材育成方針を活用するときは、企業活動における本来の目的を常に意識しましょう。

なお、人材育成方針では中長期的な目標を掲げますが、目標は目的を達成するための指標に過ぎません。企業活動の目的が変わったときは、人材育成方針の目標や具体的な施策も修正してください。

まとめ

企業活動を支える従業員を育成するためには、企業の現状を踏まえた人材育成方針を策定する必要があります。目標に加え具体的な施策も記載した人材育成方針を、社内に浸透させましょう。また、ビジネス環境の変化を感じたときは、適時人材育成方針を見直してください。

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