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企業活動が軌道に乗ってきた段階で、新規事業を立ち上げたいと考える人もいるでしょう。新規事業を成功させるには、適切なプロセスを踏む必要があります。この記事では、新規事業を立ち上げるプロセスを8つに分けて解説します。プロセスを円滑に遂行するコツや、役立つフレームワークも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
企業が新規事業を立ち上げるべき理由
新規事業を立ち上げる過程で、従業員のビジネススキルが育ちます。また、リスク分散のためにも複数の事業を展開しておく必要があります。
人材育成のため
新規事業の立ち上げを通じて、思考力・決断力・実行力などが養われます。人材育成に成功して主体的に動ける従業員が増えると、イノベーティブな環境が新規事業創出を促すという好循環が生まれます。
リスク分散のため
中長期的に見ると、1つの事業のみ続けていては、企業の将来が危ぶまれます。その業界では優位な立場でも、トレンドが変われば業界全体の需要がなくなるかもしれません。複数の事業を展開していれば、不調な事業があっても他の事業から売上を得られます。
新規事業を立ち上げる8つのプロセス
新規事業を立ち上げるプロセスを解説します。思いつきでは事業を成功させられません。スピード感も大事ですが慎重に準備を進めましょう。
1.市場・競合・自社を調査する
自社と、自社を取り巻く環境について、新規事業のアイデアを出すための情報収集を行います。情報収集には、オンライン・オフライン含めさまざまな方法があります。たとえば、以下の方法で情報集集しましょう。
・街頭調査(インタビューやアンケート)
・会場調査や店頭調査
・座談会
・ソーシャルリスニング
・公的機関の統計情報の閲覧
・民間リサーチ会社の調査結果の閲覧
2.情報を分析してアイデアを出す
情報収集した内容を整理・分析して、新規事業につながるアイデアを出します。主観的にならず、客観的に事実を見ることが魅力的なアイデアを得るポイントです。スピーディーに情報を整理・分析するためには、適時フレームワークを活用しましょう。
3.事業ドメインを定義する
新規事業の事業ドメイン(事業領域)を決めましょう。事業ドメインは、物理的定義と機能的定義のいずれかで定義します。
物理的定義とは、食品事業や医薬品事業のように、具体的な商品やサービスで事業ドメインを定義することです。また、機能的定義とは、ヘルスケア事業やエンターテイメント事業のように、提供するもののイメージに従って事業ドメインを定義することです。
4.ビジョンを明確にして共有する
新規事業の軸となるビジョンを明確化し、関わるメンバー全員で認識をすり合わせます。ビジョンとは、新規事業で何を成し遂げたいか、どのように社会に貢献したいかという方向性のことです。メンバー全員の認識が一致するように、文章化した状態でビジョンを共有しましょう。
5.市場性と事業性を確認する
新規事業のアイデアを、市場性と事業性の観点から評価します。市場性は「どれほどの売上が得られるか」という視点で、事業性は「どのような課題を解決するか」という視点です。市場性と事業性を確認すると、事業化の必要性や成功見込みを判断できます。
6.経営資源を把握し調達する
経営資源とは、人材・資金・モノ(設備など)・情報のことです。事業を立ち上げて軌道に乗せるには、多くの経営資源を投入しなくてはいけません。
新規事業の具体的な計画を立てる前に必要な経営資源を洗い出し、不足があれば、資金調達や人材確保などに取りかかります。既存事業にしわ寄せがいかないように、経営資源を準備しましょう。
7.具体的な事業計画を立てる
ビジネスロードマップなどのフレームワークを使って、具体的な事業計画を立てます。無理のないスケジュールを組み、役割分担を決めましょう。進捗状況を確認できるように、定量的な中間目標も立てておきます。大枠を決めたら、詳細をまとめた事業計画書を作成してください。
8.事業計画を実行して成果を検証する
中間目標と状況を照らし合わせて、PDCAサイクルを回して迅速に事業を成長させましょう。迅速にPDCAを回さなければ、他の企業に先を越される恐れがあります。また、まごついている間にトレンドが変わってしまえば、参入のタイミングを失います。
新規事業の立ち上げプロセスを円滑に進めるコツ
新規事業を立ち上げるには、前述したように複数のプロセスを踏みます。立ち上げプロセスを円滑に進めるコツを解説します。
ビジョンを明確化する
新規事業立ち上げでは、発生するさまざまな問題に対して迅速に判断を下さなくてはなりません。ビジネスモデルやビジョンが決まっていれば、スピーディーに決断を下せます。
新規事業立ち上げのモチベーションを高める
メンバーのモチベーションも、新規事業立ち上げプロセスの進捗に影響します。プロセスを進めているときは手応えを感じにくく、モチベーションが低下しがちです。モチベーションを維持・向上するためには以下の手段を検討しましょう。
・職場の心理的安全性を確保する
・新規事業立ち上げにつながる取り組みに手当を出す
・ビジネスモデル・ビジョンを明確にする
企業全体で新規事業立ち上げに向け連携する
現場の従業員や経営陣を巻き込んで、新規事業立ち上げに取り組んでください。従業員に協力をお願いするときは、ビジネスモデル・ビジョンを共有して理解を求めましょう。なお、既存事業との兼ね合いもあるため、従業員に動いてもらうには経営陣の働きかけが不可欠です。
また、新規事業立ち上げには、商品の企画・開発・製造・物流・販売など複数の部門が関与します。部門間の連携にも気を配りつつ新規事業を立ち上げましょう。
補助金や助成金を検討する
新規事業にかける資金に不安があれば、補助金や助成金を申請してみましょう。補助金や助成金に採択されると、返済不要の事業資金を手に入れられます。また、公的機関に認められると社会的信用が高まります。
新規事業立ち上げプロセスの注意点
新規事業立ち上げプロセスで、多くの企業が陥りがちな問題と対策を紹介します。
最初から必要以上の人材を投入しない
最初は小規模な人数で新規事業を立ち上げ、必要に応じて人材を追加しましょう。大勢で新規事業立ち上げに臨んでも、密にやり取りできません。意思決定のスピードが遅れるとプロセスに遅れが生じます。また、個々の意見が埋もれてしまい、スキルも発揮しにくくなります。
撤退する条件を決めておく
撤退するラインをあらかじめ決めておけば、冷静に撤退を判断でき、失敗したときの損失を抑えられます。綿密に計画を立てても新規事業が成功するとは限りません。失敗を認めなければ損失が膨らんでしまい、既存事業にも影響する恐れがあります。
撤退する条件を決めるときは、新規事業を続ける経営資源が残っているか、投資した資金を回収できるか、などがポイントになります。
市場進出のタイミングを見計らう
市場進出のタイミングは、需要が高く競争率が低いときです。準備に時間をかけすぎたり、検証に時間をかけすぎたりすると、進出するチャンスを逃してしまいます。トレンドは目まぐるしく変わっていくため、アイデアが通用するうちに市場進出しましょう。
新規事業立ち上げプロセスで使いたいフレームワーク
新規事業立ち上げプロセスで使いたいフレームワークとして、代表的なものを解説します。
1.3C分析
3C分析は、競合・自社・顧客の視点に立ち、経営戦略を考えるフレームワークです。顧客が求めるものを意識しつつ、競合と自社を比較するためバランスのよい戦略を立てられます。新規事業立ち上げで自社の状況を分析するときは、3C分析の結果をSWOT分析などと組み合わせて整理します。
2.MVV
MVVは、ミッション・ビジョン・バリューの頭文字を取ったフレームワークです。ミッションは新規事業の意義、ビジョンは新規事業の目的、バリューはミッションやビジョンを遂行するための行動です。MVVを活用すると、新規事業に対する共通認識を持てます。
3.ポジショニングマップ
ポジショニングマップは、自社がどのような立ち位置を目指すかを検討するときのフレームワークです。マップの縦軸・横軸には、顧客が商品やサービスを選ぶ際に重視する要素を選びます。マップを見て他社の立ち位置を考え、競合とかぶらない立ち位置を目指すと差別化につながります。
4.SWOT分析
3C分析と組み合わせて使われやすいSWOT分析では、以下の4つのカテゴリーで情報を整理します。
・S:内部環境の強み
・W:内部環境の弱み
・O:外部環境の機会
・T:外部環境の脅威
それぞれのカテゴリーの情報を組み合わせると、以下の4パターンの戦略を立てられます。
・強みを活かして機会を利用する
・強みを活かして脅威を乗り切る
・弱みを解決して機会を活かす
・弱みを解決して脅威に対抗する
5.ビジネスロードマップ
ビジネスロードマップは、新規事業立ち上げプロセスの全体を俯瞰しながら、事業計画を立案できるフレームワークです。マップの右上に新規事業のゴールを書き、左下に現在の状況を書きます。また、対角線上にはゴールから逆算した中間目標を設定します。
新規事業立ち上げに使える補助金や助成金
新規事業立ち上げに使える補助金や助成金を、一部紹介します。
・創業助成金
・キャリアアップ助成金
・人材開発支援助成金
・ものづくり補助金
・事業再構築補助金
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
・事業承継・引継ぎ補助金
それぞれ対象となる事業は異なり、公募ごとに内容が変更される場合もあるため情報収集は大切です。補助金は競争が激しいため、申請したいものがあれば速やかに準備を進めましょう。
まとめ
新規事業を立ち上げるには、慎重かつ迅速に行動する必要があります。客観的に市場・競合・自社を調査してアイデアを出し、事業として勝算があるか確認してから、経営資源を調達し、具体的な事業計画を立案します。チームメンバーとビジョンを共有し、企業全体を巻き込んで新規事業プロセスを進めましょう。
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