
フランチャイズ契約書は、フランチャイズオーナーとして独立・開業する前にフランチャイズ本部と必ず交わす契約書です。
そこには、フランチャイズ本部と加盟者がそれぞれ負うべき義務や対価などが網羅されていて、サッと目を通しただけでは理解できないような内容も含まれています。
この記事では、難解でもしっかりと理解しなければならないフランチャイズ契約書について、フランチャイズ特有の背景を含めて詳しく解説します。
この記事の目次
フランチャイズ契約書とは?雛型から見える一般的な記載内容
フランチャイズ事業は、フランチャイズ本部と加盟の希望者との間で、フランチャイズ契約書を締結することでスタートするものです。
その契約内容にはフランチャイズという事業形態ならではの内容が含まれ、慣れない方にとっては難しく感じるかもしれません。
まずはフランチャイズ契約書の基本を知り、一般的に織り込まれている内容について説明します。
フランチャイズ契約書の目的
フランチャイズ契約書は、本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)がそれぞれ果たすべき義務や禁止事項、目的や対価などが網羅されています。
一般的なフランチャイズ契約書を見ると、加盟店側に課される義務や禁止事項が多く感じられてしまいますが、これは加盟店を守るためであることをご存じでしょうか。
フランチャイズチェーンには多くの加盟店があり、その中の一部が不祥事を起こしたとしても、影響は全加盟店に及んでしまいます。
それを未然に防ぐ意味で、一見厳しく見える義務や違約金が記載されていて、多くの善良な加盟店にとってはほとんど関係のない条項ばかりです。
基本的にフランチャイズ契約書とは、本部と加盟店が双方利益を得られるための約束事が記載されたものです。
フランチャイズ本部に関する事項
フランチャイズ契約書の最初には、フランチャイズ本部に関する事項が記載されていなければなりません。
この部分だけを第1部として作成し、具体的な契約内容については第2部とする契約も一般的です。
本部に関する事項は、社名、資本金、設立年月日などの基本情報のほか、FC事業を始めた時期や加盟店数の現況、過去5年間の財務諸表が提示されています。
これらは本部が信頼できる経営状況なのか、フランチャイズ事業の理念がしっかりしているのかなどを、加盟者側が判断するための重要な情報です。
フランチャイズ権の付与・商標の使用許諾
フランチャイズ契約書のもっとも基本的な部分になるのが、本部にフランチャイズ権を付与し、商標やロゴ、独自のノウハウを使用する権利を許諾する項目です。
商標やロゴの使用範囲は細かく規定される場合が多く、一般的には加盟店の看板やウェブサイト、名刺、チラシ、SNSについて記載されます。
また飲食店のフランチャイズなどでは、店舗のレイアウトやデザインも指定され、ブランドイメージと統一感を持たせるような配慮がされています。
経営指導に関する内容
フランチャイズは本部が成功したビジネスモデルを加盟店で再現するため、経営指導について定められることが一般的です。
加盟店側にしても、本部の経営指導と情報提供がなければ事業運営が難しくなるので、下記のように具体的に記載されているほうが望ましいでしょう。
- 店舗の内外装や看板に関する指導
- 商品の発注・管理や消耗品の指導
- 求人・スタッフ教育の指導
- 広告宣伝・集客に関する指導
- フランチャイズ加盟店システムの指導
本部が加盟店に行う指導のほとんどは、フランチャイズ事業に直接関係する項目だけです。
これはフランチャイズ全体で同一のサービスレベルと施策を維持するために必要なことで、フランチャイズ事業の基本だと思っておきましょう。
加盟金・保証金やロイヤリティなどの費用
フランチャイズ契約書には、加盟金や保証金、ロイヤリティなど加盟店が本部に支払うべき費用について記載されています。
- 加盟金…開業時の本部サポートに対して発生する費用
- 保証金…加盟店から本部への支払いに対する保証金
- ロイヤリティ…商標やロゴ、ビジネスモデルを利用する対価(一般的には毎月発生する)
ロイヤリティの決め方は、毎月の売上高に一定の歩合をかけて算出する「売上歩合方式」や、売上に関係なく毎月同じ額のロイヤリティとする「定額方式」、あるいはその両方を組み合わせたものがあります。
ロイヤリティは業種によって大きな差がありますが、一般的にロイヤリティが高額なほど本部のサポートが手厚くなるはずです。
テリトリー権
テリトリー権とは、契約において定められた範囲で競合する加盟店の出店を制限させることができる権利のことです。
このテリトリー権は、すべてのフランチャイズ契約書に記載されているわけではなく、コンビニエンスストアや飲食店ではテリトリー権を認めていないことが多いです。
フランチャイズ契約書にテリトリー権が記載されている場合でも、対象が加盟店だけの場合や直営店も含まれる場合があります。
契約期間・更新に関する項目
フランチャイズ契約書には、契約期間が明記されていて、契約の更新に関する事項も記載されています。
フランチャイズの契約期間は、加盟店の初期投資を回収できる期間をもとに決められることが多く、3~5年の範囲であることが一般的です。
ハウスクリーニングのように事業規模が小さな業種では、契約期間が3年以下という短いケースもあります。
その他FC契約で定められる義務
ここまで説明した内容以外にも、フランチャイズ契約書にはさまざまな義務が定められています。
おおむね以下のような項目が記載されているはずですが、どれも常識的な内容です。
- 権利義務の譲渡禁止
- 秘密保持義務
- 報告義務
- 反社会的勢力の排除
- 契約解除・違約金
- 合意管轄
フランチャイズ契約書は業種や本部ごとにボリュームの差が大きく、面倒であっても一項目ごとに注意深く読むことが重要です。
フランチャイズ加盟を考えている方がチェックすべきポイント

フランチャイズチェーンは非常に多いですが、時折本部と加盟店のトラブルがニュースになります。
その原因の多くはフランチャイズ契約書に起因するもので、いかに契約内容の確認が重要なのか理解できるでしょう。
ここからはフランチャイズ加盟を検討している方が、フランチャイズ契約書で必ずチェックすべきポイントについて考えてみます。
FC本部へ支払う費用が妥当なのか
先ほどもフランチャイズ契約書に記載されている事項で説明したとおり、加盟金・保証金やロイヤリティなど本部に支払う項目が定められています。
加盟金や保証金は、加盟時の初期費用として一度だけの支払いになることがほとんどなので問題になりにくいですが、ロイヤリティやそれ以外の費用については妥当なのか十分に検討しましょう。
ロイヤリティ以外の項目で多く見られるのが、研修費やシステム利用料などです。
また、飲食チェーンのフランチャイズでは、食材や包装資材、ユニフォームなども本部から購入しなければならないので、契約書に金額が記されない部分まで確認しておくべきでしょう。
これらを確認しておけば、加盟を検討している段階で提示されていた事業計画書が、本当に信用できるものだったのかもチェックできます。
不誠実な本部ほど、実績値よりも盛った事業計画書を提示してくるものなので、気を付けて確認してください。
契約期間と更新について確認
フランチャイズ契約の期間は3~5年が一般的ですが、中途解約の場合には解約金が発生する条項が入っているはずです。
つまり契約期間が長いほど中途解約に関係する金銭リスクが高くなるので、長ければよいというものでもありません。
ただ、契約更新時に更新料を支払う取り決めがある場合は、契約期間が短いほど頻繁に更新料を支払う必要があり、これはこれで問題があるといえます。
また契約更新について合意更新(自動更新でもあり得る)になっていると、悪意のあるフランチャイズ本部は更新を拒絶するケースもあり、紛争事例も多い事案です。
これに関しては、ほとんどの判例で「契約の更新拒絶をする場合、信頼関係が破壊されたと認められる事情が必要である」や、「公平の観念に照らして、信義則上、更新拒絶は許されない」と、加盟店寄りの判断が示されています。
違約金と中途解約
フランチャイズ契約書に定められている「違約金」と「中途解約金」は、それぞれまったく性格の異なるものですが、それが妥当な内容なのか確認することは重要です。
違約金は、フランチャイズチェーン全体の利益を守るために定められていると理解されており、以下のような契約違反に対して課されています。
- 競業避止義務違反…加盟店がフランチャイズ契約中に得た技術やノウハウなどを用いて同業種の店舗を新規に出店することを禁止する項目。ほとんどの場合は契約終了後に紛争になる。
- 秘密保持義務違反…フランチャイズ契約によって知り得たノウハウなどを不正使用することを禁止するもので、第三者への漏えいも対象になる。
- 知的財産権違反…本部が保持している商標やロゴなどを不正に利用することで、ブランド侵害や価値の棄損を防ぐ条項。
この違約金に関しては、普通のフランチャイズ加盟者にとっては関係のないことで、むしろ違約金が低いことはほかの加盟店の無茶を許すリスクになるかもしれません。
違約金はフランチャイズチェーンの利益を守るために必要だとして、契約期間の途中で解約することによる中途解約金はどうなのでしょうか。
過去の判例を見る限り、加盟店側の申し出による中途解約に関しては中途解約金を有効とする判決が圧倒的多数です。
ただし、フランチャイズ契約書に記載された中途解約金がそのまま認められるケースはまれなので、不相当に高くないのかは加盟前に検証しておきましょう。
競業避止義務の内容
フランチャイザーとして開業した後、事業が順調に成長した段階で大きな壁となるのが競業避止義務という条項です。
この競業避止義務とは、フランチャイズ契約の終了後に一定期間同一エリアで同種の事業を行わないことを約束するもので、加盟店側にとっては大きな足かせになる内容となっています。
基本的には、フランチャイズ本部がノウハウや顧客の流出を防ぐために定めているもので、その趣旨に対しては過去の判例からも認められるケースが大半です。
というのも、ノウハウ取得だけを目的とした加盟者が多かったからですが、あらゆる情報がネット上にあふれている今日にあっては疑問も残ります。
また、あまりに制限の大きな競業避止義務を加盟店に課すことは、憲法第22条(職業選択の自由)に抵触するおそれがあるので、その内容については吟味が必要です。
独立・開業だけではなく将来も考えておくのが重要
フランチャイズ契約を締結し独立・開業することは、長く続く事業活動のスタート地点に過ぎません。
フランチャイズ事業を永遠と継続するだけではなく、いずれ自らのノウハウや人脈で独自スタイルを確立する可能性もあります。
独立・開業ともなると目の前のことばかりに集中するのは仕方ないにせよ、頭の片隅には「もっと先の将来」を考えておくべきです。
そういった視点があれば、フランチャイズ契約書も違った見え方になるでしょう。
フランチャイズ契約書と過去に起きたトラブル事例と注意点

フランチャイズ契約書を締結してしまうと、トラブルが発生したとしても基本的には契約書をもとに紛争を解決しなければなりません。
とはいえ、契約書の内容によっては無効だと判断されるケースもあるので、過去に起きたトラブル事例をもとにフランチャイズ契約書について掘り下げて考えてみます。
FC本部の提示していた売上予測が大きく外れた
フランチャイズ加盟を検討している段階で、FC本部からは開業後の売上予測や利益の見込みなどが説明されるはずです。
大抵の場合、加盟店の過去の平均的実績をベースに数値化されているはずで、それがそのまま新規出店に当てはまるわけではありません。
この見込みが外れて、開業当初から赤字続きになるFC加盟店は多いですが、本部の提示していた予測値がよほど的外れなものでない限り、本部に責任を求めるのは難しいでしょう。
フランチャイズというシステムでは、FC本部と加盟店はそれぞれ独立した事業体です。
裏付けのある一定水準以上の情報開示を受けた以上は、開業後の売上が大きく外れたとしても、加盟店が責任を負うべきものという判断になります。
FC本部が経営・運営指導をしてくれない
フランチャイズという事業形態は、FC本部が持っている営業ノウハウを使用できるところが肝で、そのためにはFC本部が行うべき経営・運営指導は極めて重要です。
ところがフランチャイズに関するトラブルで意外と多いのが、「本部が研修を行ってくれない」「思っていたのとは違う」といった内容のもので、これは契約内容の不備に起因するものかもしれません。
フランチャイズ契約書に開業前の研修や、経営・運営指導について記載されていても、それが具体的な内容になっているかはしっかり確認しましょう。
この点はFC本部が責任を負うべき義務でもあるので、「やってくれるだろう」という思い込みはやめるべきです。
契約更新、中途解約にまつわるトラブル事例
フランチャイズの契約期間は業種やFC本部によってさまざまですが、3~5年という契約期間が一般的です。
この契約期間は長ければ中途解約時のリスクが高まり、短ければ契約更新時の更新料でトラブルになるかもしれません。
契約更新に関係するトラブルで多いのは、「契約更新の拒否」というものですが、次のような司法判断が参考になります。
「フランチャイジー(加盟店)の営業保護の観点から,たとえ契約の文言上は契約期間が定められていたとしても、フランチャイザー(本部)は,やむを得ない事由がなければ契約の更新を拒絶することはできない」(東京地裁平成22年5月11日判決)。
契約更新の拒絶には相当な理由が必要ですが、ロイヤリティや仕入の支払い遅延などは「相当な理由」に該当するので注意が必要です。
また中途解約については、双方協議の上で合意解約できれば問題はありませんが、そうではないケースのほうが多い現実があります。
フランチャイズ契約書には違約金規定が定められることが多いです。もちろん過大な違約金は裁判でも否定されますが、違約金自体は有効と解されるので、フランチャイズ契約書の中途解約に関する規定はよく確認しておきましょう。
秘密保持義務と競業避止義務
フランチャイズ契約書にほぼ必ず規定されているのが、加盟者に課される秘密保持義務と競業避止義務です。
これらの義務はFC本部がノウハウの流出を防ぎ、ほかの加盟店の利益を守るために必要だと解されています。
有名な事例では、弁当チェーン「ほっかほっか亭」から離脱し、同業を始めた「ほっともっと」の事例がありますが、最高裁で「ほっともっと」を運営する株式会社プレナスの敗訴が確定しました。
フランチャイズとして独立・開業した先に完全な独立も視野に入れている方は、フランチャイズ契約書の秘密保持義務と競業避止義務について詳細に確認しましょう。
フランチャイズ契約書と信頼できるFC本部
フランチャイズ契約書は、ある意味で信頼できるフランチャイズ本部なのか測ることのできる物差しでもあります。
フランチャイズ契約を交わす前の説明や資料も含め、最終的な判断をするために重要です。
そこで、フランチャイズ加盟を検討するにあたり、そのフランチャイズ本部が信頼できるのか判断するポイントについて考えてみましょう。
フランチャイズ契約書の内容と説明の整合性を確認
フランチャイズ契約書で紛争になるのは、FC本部の事前説明と契約内容に食い違いがあるケースです。
すべてのFC本部がそうだとはいえませんが、加盟店を増やすことを第一に考え、丁寧な説明をしないFC本部は存在します。
一方でFC本部と加盟店の共存共栄を図ろうとしているフランチャイズチェーンは、説明とフランチャイズ契約書の整合性を欠くことはありません。
信頼できるFC本部かどうかは、フランチャイズ契約書を精査すれば分かるものです。
フランチャイズ本来の姿は本部と加盟店が共に繁栄すること
「FC本部は加盟店よりはるかに優越した地位から、加盟店を縛り付けている」というような誤解がよくされています。
しかしフランチャイズシステムとは、FC本部が優れたノウハウを提供し、加盟店が自己資本を投下して事業を行うことで、フランチャイズチェーン全体の規模拡大と利益を追求するものです。
どちらか一方のみ得をするような契約内容では、結果としてフランチャイズチェーンが繁栄しないことを知っておきましょう。
不動産業界でフランチャイズを考えるならハウスドゥ
もしフランチャイズオーナーとして独立・開業を考えているのなら、不動産業界でフランチャイズチェーンを展開する「ハウスドゥ」の事業説明会に参加してみてはいかがでしょうか。
これは不動産業界での独立を考えている方だけではなく、フランチャイズシステムや契約書に興味のある方すべてにおすすめです。
事業説明会の内容とフランチャイズ契約書の整合性を試す意味でも、またとない勉強の機会になります。
まとめ
フランチャイズ契約書は、ネットなどで見ることのできる雛型だけですべてを理解するのは困難です。
極端にいってしまえば、FC本部の数だけフランチャイズ契約書の種類があるともいえます。
あまり検討せずフランチャイズ契約書を締結してしまったら、あとはその契約内容に従うしかありません。
フランチャイズ契約書は学ぶほど理解が深まるものなので、ぜひさまざまなフランチャイズ契約書に触れてみましょう。