生き残るための多角化戦略! 老舗葬儀会社が選んだ「不動産×葬儀×介護」の持続可能な未来
株式会社KAMIMURAについて
弊社は、もともと鹿児島県の大隅半島において葬儀事業を営んでおり、創業から間もなく50年を迎えます。私が入社した時点では斎場が1棟のみで、月の葬儀件数は10件~15件程度でした。その後、2代目社長である現会長がサテライト方式の斎場を大隅半島各地へと拡大し、現在では15棟で月に50件、年間では600件~700件の葬儀を執り行うまでに成長しました。
事業拡大の一環として、かつては結婚式場やレストランの運営も行い、葬祭事業部、婚礼事業部、レストラン事業部の3つの柱で構成しており、当時の年間売上は約10億円規模に達していました。しかし、コロナ禍の影響により葬祭事業の売上は約1.5億円減少。婚礼事業は、結婚式の延期が続き、さらに延期日の見通しも立たず、事業としての継続が困難になり、最終的には売却を選択しました。レストラン事業も需要が低下したため、業態を斎場へと転換しました。コロナ禍が収束する中、「このままの状態では生き残れない」と危機感を抱き、葬祭事業に付随する供養事業の展開に加え、多角化戦略に取り組む必要性を強く感じました。さまざまな勉強会に参加する中で、5年後、10年後、さらには15年後も弊社が生き残るための道筋を模索。その結果、介護事業を新たに開業することを決断しました。
介護事業の拠点は、大隅半島から車で2時間ほど離れた鹿児島市内です。大隅半島では人口減少が進んでいる一方で、鹿児島市内は人口が多く、デイサービスの利用者数や雇用需要が見込めると判断しました。挑戦ではありましたが、「鹿児島市で勝負をしたい」という想いが強く進出を決心しました。まずは4店舗まで増やすことを目標に掲げています。介護事業を選択した背景には、葬儀業界特有の課題もありました。葬儀は365日24時間体制で対応が必要なため、働き方としてはなかなか厳しくなっています。そのため私の目の届く範囲で続けていくほうがよいと感じています。一方で介護事業は、営業時間が日中に限られており、従業員にとっても働きやすい環境を提供できる点が魅力的でした。
不動産事業への参入
現在、全国的に葬儀業界の企業が不動産業へ参入するケースが増えていると感じています。その背景には、葬儀後の空き家問題や相続に伴う売却ニーズに対し、葬儀会社は早期に情報を得られる立場にあるため、不動産業との親和性が高いからだと考えます。また介護事業と同様に、不動産事業も営業時間が日中に限られており、働きやすさが確保されている点も魅力の一つです。こうした背景を踏まえ、弊社では、葬儀・介護・不動産の3本柱で事業展開をしていくことにしました。鹿児島市内でハウスドゥのノウハウを活用しながら学び、将来的には地元の大隅半島で自社ブランドによる不動産業を立ち上げることを目指しています。
フランチャイズ加盟の理由
大手コンサル会社のセミナーに参加した際、「以前は、フランチャイズの手数料などのコストが高いという理由で、自社ブランドで事業を立ち上げることが好まれる時代でした。しかし、現在は加盟により立ち上げ期間を大幅に短縮できるので、適切なフランチャイズを見極めてノウハウを学び、その後に自社ブランドへ移行することも視野に入れた時代になっている」という話を聞きました。この考え方は非常に納得できました。弊社の介護事業もフランチャイズで運営しており、プロのノウハウを活用し大いに助けられた経験が私自身にもあるからです。
不動産業を始めようと考えた際も、このフランチャイズの利点を活用しようと思いました。当初はコンサルの力を借りてスタートしようと考え、コンサル会社主催のセミナーにも参加しましたが、「何か違う」と感じる部分がありました。そのセミナーは不動産業経験者が中心で、内容が高度すぎて新規参入者にはハードルが高い印象を受けたのです。
ちょうどその頃、熊本で葬儀業を営む知人が「ハウスドゥ」に加盟したと聞きました。その知人から直接話を聞いたところ、加盟理由が私の考えと一致しており大いに参考になりました。ハウスドゥは不動産業に特化し、新規参入に必要なサポートをしっかり提供してくれる点が非常に魅力に感じました。また、テレビCMで広く認知されており、イメージキャラクターに古田敦也さんを起用したブランド力も大きな魅力でした。このような理由から、「フランチャイズに加盟するならハウスドゥしかない」と考えるようになりました。
オープンに向けて
現在は店舗も決まり、求人活動を始める段階です。応募者が集まるかどうかが気がかりではありますが、人材採用やその他の疑問については全てSV(スーパーバイザー)に相談しようと考えています。介護事業を立ち上げた際もそうしてきたので、同じように不安や疑問があれば積極的に相談していくつもりなので、SVの存在は非常に心強いです。先日もSVが鹿児島まで来てくださり、店舗選びを一緒に進めていただきました。初めての不動産事業ということもありどの物件が適切か悩んでいましたが、SVとともにいくつかの物件を回る中で、最終的に納得のいく物件を決めることができました。この物件が鹿児島での不動産事業の最初の拠点となるので、安心しています。
採用方針について
経験者・未経験者を問わず採用を検討しています。ただ、ハウスドゥ本部からは「宅地建物取引士の資格を持つ未経験者が適している」というアドバイスをいただいているため、基本的には資格を持ちながらも未経験の方を歓迎します。ただし、最終的には弊社の経営理念や職場の雰囲気に順応し、ともに働ける方を重視しています。いくら優秀であっても理念や雰囲気に合わないと感じた場合は採用を見送ることもあります。弊社の理念は「お客さまを笑顔にするサービスを提供する」というものです。葬儀事業においては、悲しい別れの場を「良いお別れができた」と笑顔になっていただけるよう努めています。介護事業では、デイサービス利用者の方々に笑顔で帰っていただけることを目指しています。そして不動産事業でも、売主さま・買主さまの双方が笑顔になれる取引が1番だと思います。この理念は、お客さまに対してだけでなく、働く私たち自身にも当てはまります。従業員が笑顔でいられる環境をつくることが、良いサービスにつながると信じています。
ハウスドゥの魅力とは?
ハウスドゥは、誰もが不動産と直感的に認識できるブランド力を持っています。特に「ハウス・リースバック」のような印象的なサービス名はテレビCMなどを通じて広く認知されており、不動産業の中ではハウスドゥの知名度はトップクラスだと思います。また私は野球好きということもあり、古田敦也さんを起用した広告も好印象を持ちました。やはり、「KAMIMURA不動産」としてやるよりも、ハウスドゥのブランドを活用するほうが、お客さまにすぐに認知していただける点は大きな強みです。
ハウスドゥに期待すること
私たちは異業種からの挑戦ということもあり、まったくの未経験からのスタートとなります。そのため、ハウスドゥには丁寧なサポートをお願いしたいと考えています。また、同時期にオープンする他の加盟店の方々や、すでに開業されている方々とのつながりも非常に重要だと考えています。開業初期の悩みや課題は共通する部分が多いはずですし、先輩オーナーの「こんな壁にぶつかった」といった経験談は、私たちにとって大きな助けになります。先ほども申し上げた通り、SVの存在は心強く、疑問や課題はSVに相談すれば多くが解決できると思います。しかし、実際に現場で経営されているオーナーや働いている方々との情報交換の場があれば、さらに有意義だと感じています。
今後の展望
現在、葬祭事業・介護事業・不動産事業という3本柱を軸に事業計画を進めていますが、不動産事業における優先事項は、鹿児島市でオープンする1号店を軌道に乗せることです。鹿児島市内での事業が順調に進めば、霧島市や姶良市、さらに隣県の宮崎県といったエリアへの出店も視野に入れています。地元では自社ブランドを活用し、それ以外の地域ではフランチャイズを活用することが最適だと考えています。また、将来的には地元の大隅半島で売買とリフォームを組み合わせた事業への取り組みも検討しています。介護事業についても、現在立ち上げ中の1店舗目を早期に損益分岐点に到達させることを重要視しています。それが実現すれば、さらに店舗を増やすことができると期待しています。
私が入社した頃、当時の社長であり現在の会長が多方面に挑戦する姿を目の当たりにしてきました。その姿を見て、自分もいつか同じように挑戦し、成長する人間になりたいと思っていました。社長という立場になった今、社員の待遇を改善し、会社全体を安定させるためには、1つの事業だけでは不十分だと考えています。そのため多角的に事業を拡げることで、規模の拡大ではなく「強い企業」を目指したいと考えています。
20歳の頃に参加したあるセミナーで、「会社を潰すのは社長、会社を伸ばすのは従業員」という言葉を聞きました。この言葉は今も正しいと思っています。社長になる前は、自分が会社を守る立場だと思い全力で取り組んできました。そして社長になった瞬間に「会社を潰すリスクを持つのは自分、伸ばすのは社員の皆さんだ」と考えるようになりました。介護や不動産といった新しい事業に挑戦できるのは、葬祭事業が安定した収益をもたらしているおかげです。この基盤を築いてくれている社員の皆さまには心から感謝しています。社員が頑張ってくれているからこそ、次の事業に挑戦できるのだと実感しています。だからこそ、社員一人ひとりを大切にし、彼らの安定を第一に考えた事業展開を進めていきたいと思います。(2024年7月)
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※掲載されている内容(撮影情報、会社情報、役職など)は、取材時点のものです。
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